私
には、それがわからないんです。
だから、教えてください。
この感情はなんですか?
「恋」を知らない少女は問う。
それは、「愛」を知るための問いでもある。
私は、知らないことが多すぎるみたいだ。
だけど、それでいいよ。これから知っていこう。
「あなたは優しい人ですね……」
「ありがとうございます」
「でも、私はもうここに来ない方がいいと思います」
「どうして?」
「私は、あなたに会わないほうがよかったと思うから」
「そっか……わかった」
「ごめんなさい」
「じゃあね」
「はい」
『さよなら』ではなく、『また会いましょう』でもない別れの言葉。
彼女は気づいているだろうか? その言葉の意味に。
そして、君はいつ気づくだろう? 彼女が君に告げた本当の意味に。
「好き」だと言えないまま、 それでもそばにいたいと願ったことを。
あなたに救われたことを伝えられない自分が嫌だった。
自分の中の醜さに気づいてしまった。
だから、もうここにはこれない。ここに来てはいけないよ。
またいつか会えたらいいね。
ありがとうございました!
「君たちの願いは何だい?」
「私達の願いは……」
「「友達を作ること!!」」
「そうかい……それじゃあ頑張って」
少女は願った。もう一度会いたいと。
少年は誓った。必ず守ると。
「「今度こそ幸せになってみせる!」」
***
「おはようございます、お嬢様」
朝目が覚めるとメイドさんがいた。
うん、夢だな。最近仕事が忙しくて疲れてるんだろうか。
それにしても、リアルな夢だった。
「お目覚めですか?では朝食の準備ができておりますのでこちらへどうぞ」
メイド服に身を包んだ女性達が、一斉にお辞儀をする。
「ご主人様! ようこそいらっしゃいました!」
ここは『ご奉仕喫茶』だ。
俺は今日一日、この喫茶店を手伝うことになっている。
「さあ、こちらへどうぞ……」
そう言って案内されたのは窓際の席だった。
窓から差し込む日射しが暖かく心地よい。
「では、何かありましたら気軽に声をおかけくださいね」
「ああ」
俺の担当時間は二時から五時までの三時間だけだ。
「じゃあ早速だが……コーヒーを貰おうかな」
「はい、ただ今持って参ります」
笑顔で答えて去って行く女生徒達を見ながら思う。
(やっぱり女子校だと男子に対する免疫がないのか?)
去年来た時に比べて明らかに態度が違う気がする。
いやまあ…………
このくらいで勘弁してやってください。
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