テラーノベル
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見つけにくいだろう場所を見つけ、あいつの目を盗んで隠れることが出来た。
が、きっとすぐにバレてしまうだろう。
申し訳ないが、 ただえさえ軽い莉犬をおんぶして走ったとしても、
肩や背中が痛くて、休みたかった。
この間に逃げるのが一番の手立てなのかもしれないが、走って逃げてる最中に疲れても後々苦しむだけだ。
それなら、今休んであいつから逃れるほうが最優先だ。
莉犬はただ背中で震えていた。
声をあげることもできず、ただ僕の服を握りしめ、涙がぽたぽたと肩に落ちていく。
恐怖と混乱で頭がぐちゃぐちゃになっているのが伝わってくる。
廊下の壁はどこまでも同じ模様で、同じ灯りがぼんやりと揺れている。
どこを曲がっても、同じ場所に戻ってくる悪夢のような迷路。
何度も扉を開けては絶望し、同じ壁紙、同じカーペットが目に焼きついて離れない。
そして、女の足音が聞こえたため、休めた足をまた動かし始めた。
館の暗い廊下を歩く。
鉛のように重い足を運び、
心臓はバクバクと早鐘を打っていた。
背中には莉犬がしがみつき、爪が深く肩に食い込んでいる。
痛みがじわじわと広がっていたが、振りほどくことはできない。
背中にしっかりとおんぶした莉犬は、もう泣き声をこらえきれずに嗚咽を漏らしている。
莉犬「やだッ……やだよッ…!!」
莉犬「あの女がッくる…くるのッ…!」
小さな声が震えて、僕の肩を叩く。
力なく掴んだ手が、汗でじっとりと濡れている。
るぅと「莉犬、目を閉じて!」
るぅと「絶対に見ちゃダメッ……お願いッ!」
声を震わせながら必死に呼びかけるが、背中にいる莉犬は、恐怖で全身がガタガタ震えていた。
莉犬「いやあああああああっ!!」
莉犬「いやだぁああああああ!!」
莉犬「助けてッ」
莉犬「るぅとくんッ!!」
叫び声が狭い館内に響く。もう叫ぶ以外に、どうにもならないのだ。
莉犬の指が僕の肩に食い込む。
莉犬「るぅとくん、やだやだやだッ…」
莉犬「あれ、いる、いる……!!」
莉犬「見たくない、やだッ……!!」
るぅと「見ないで!莉犬ッ…」
るぅと「見ないって言ったでしょ!!」
るぅとは、踵を返して走る。
莉犬「あああああっ!!やめてッ!」
莉犬「やめてよぉッッ!!」
莉犬は肩に顔を埋め、わめき散らす。声は裏返り、嗚咽が混じって途切れる。泣きじゃくる音が骨の髄まで刺さる。
るぅと「ふぅっ、……もう限界ッ……」
歯を食いしばり、息を切らしながらも前に進む。
莉犬は熱に浮かされたように、顔を真っ赤にしている。
顔は鼻水と涙でぐしゃぐしゃで、震える声が切羽詰まって響く。
莉犬「やだあああああッ…!!」
莉犬「いやあああああッ…!!」
莉犬「たすけてぇぇぇッ…!!」
声が裏返り、咳が莉犬を襲う。
喉が痛むのか、身体を大きく震わせて肩越しに嗚咽を漏らす。
背中で握りしめていた莉犬の手が、小刻みに震え、悲鳴のような嗚咽が続く。
るぅと「莉犬ッ……落ち着いてッ……!」
るぅと「僕だって怖いのッ……」
呻き声を漏らしながら言う。
肩の爪の痛みが痛烈に突き刺さる 。
莉犬「やだ……やだよッ!」
莉犬「助けてッ…あの女が来るッ!!」
莉犬がまた絶叫する。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔が、僕の首にくっついている。
息が熱くて苦しい。でも、止まれない。
止まったら――終わる。
莉犬は肩を震わせ、息を吐き出すたびに胸が締め付けられるような苦しさに顔を歪める。
莉犬「助けてぇッ…いやあああああッ!!」
莉犬「いやあああああああッ…!!」
呼吸が続かず、胸を押さえながら苦しそうに咳き込む。
莉犬は咳き込みながら、声にならない悲鳴をあげる。
体温が高いのか、痙攣しているかのように体が震える。
るぅと「しっかりしてッ……!!」
るぅと「もうちょっとだからッ!!!」
少しイラついた声で言うが、背中で震える莉犬の体温に心配が募る。
莉犬「るぅとくッ…苦しい…あついッ」
莉犬「たすけてッ!!」
るぅと「分かってるからッ!」
るぅと「もう少しだけ我慢してッ!」
足がふらつきながらも前へ進む。
館の壁が歪み、通路は無限に繰り返される悪夢のようだ。何度も同じ場所に戻り、目を見開いて必死に出口を探す。
るぅと「もうはやく終わってッ……!」
るぅと「莉犬は絶対守るッ……!」
しかし館の闇は深く、二人を逃さない。
莉犬「いやあああああっ!!」
莉犬が肩に爪をさらに食い込ませ、体が激しく震える。
るぅと「莉犬ッそれやめてッ…!!」
るぅと「痛いからッ…!!」
背中で悲鳴を上げる小さな体を抱きしめ、恐怖に震えながらも走り続ける。
莉犬「や……っ!!やだっ!!」
莉犬「来ないで来ないでぇぇッ!!」
莉犬が僕の背中で大きく暴れる。
震えて、足をばたつかせ、喉から悲鳴を絞り出す。
莉犬「助けて!!助けてっ…るぅとくッ」
莉犬「やだっ、あれ、来てるッ」
莉犬「来てるぅぅぅッ……ッ!!」
るぅと「大丈夫だからっ!!」
るぅと「大丈夫だから、暴れないで……!!」
るぅと「莉犬落ちちゃうッッ…!!!」
だがその声すら、もう莉犬には届かない。
あまりの恐怖で、過呼吸寸前だった。
館は、二人の絶望を静かに飲み込んでいく。
コメント
4件
ぅぇ、、 大丈夫かな?