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もう、言葉はいらなかった。
チャンスの大きな手が、マフィオソの熱い頬を包み込む。
親指がその形の良い唇を、割り入るようにして割り開いた。
「……ん、」
マフィオソがかすかな息を漏らした瞬間、チャンスの唇が容赦なく重ねられた。
驚きに目を見開いたマフィオソだったが、すぐにその瞳は熱に溶かされて、とろりと伏せられる。
チャンスの舌が、容赦なく口内の熱を奪い去るように侵入してきた。
いつもは冷徹なボスを支配する快感が、チャンスの理性を完全に焼き切っていく。
「ん、ふ……ぁ……ッ」
深い、深い、溺れるような接吻。
マフィオソの指先が、助けを求めるようにチャンスの肩の布地を強く掴む。
しかしそれは、拒絶ではなく、もっと深く求めてしまうがゆえの、無意識のすがりつきだった。
香水と煙草、そして二人の体温が混ざり合った濃厚な香りが、静まり返った執務室を、どこまでも甘く、深く染め上げていった。
夜の執務室を包む静寂は、今や二人の荒い呼吸と、濡れた衣擦れの音によって完全に塗り替えられていた。
「ん……、はぁっ……」
何度も角度を変えて貪るような深い接吻が、ようやく解かれた。
マフィオソの薄い唇は、チャンスの容赦ない執着によって、酷く艶やかに濡れている。
そこから一筋の銀糸が引かれ、顎のラインを伝って、はだけた鎖骨へと流れ落ちた。
マフィオソは、激しい呼吸のせいで大きく肩を上下させていた。
いつもなら冷徹に周囲を圧するその瞳は、今は涙を含んだように潤み、焦点が定まらない。
身体の芯を駆け巡る正体不明の熱は、チャンスの唇が触れたことで、彼の思考力を完全に奪い去っていた。
「……なぁ、ボス」
チャンスはマフィオソの頬を包み込んだまま、親指でその濡れた唇をなぞった。
彼のサングラスはいつの間にか床へと落ちており、露わになったその双眸には、いつもの軽薄さなど微塵もない、獣のような獰猛な情欲がギラギラと渦巻いている。
「これ、本当にあんたがいつも使ってる香水か? 身体の奥から、とんでもねぇ匂いが溢れ出てんだけど……」
「黙、れ……。お前が、変なものを……」
「さあね。強いて言うなら、あんた自身が俺に、そんな顔を見せたがってたんじゃねぇの?」
「ふざけるな……っ!」
怒りに任せてチャンスの胸を押し返しようとするが、熱に浮かされた腕には驚くほど力が入らない。
むしろ、差し伸べたその手首を、チャンスの大きな掌にあっさりと捕らえられ、頭の上へと組み敷かれてしまった。
ソファのクッションに、マフィオソの細い手首が深く沈み込む。
「っ、離せ、チャンス……!」
「嫌だね。こんなに無防備なくせに、口だけは一人前のボス気取りか?」
チャンスは低く笑いながら、空いた片手でマフィオソのシャツの裾へと手を伸ばした。
最高級のシルクが滑る音を立てて捲り上げられ、熱を孕んだ微熱の肌に、チャンスの少し硬くて冷たい指先が直接触れる。
「……あ、っ……」
予期せぬ冷感に、マフィオソの身体が弓なりに跳ね上がった。
指先が脇腹からじわじわと這い上がり、引き締まった胸元、そして鋭く脈打つ心臓の真上へと辿り着く。
チャンスが手のひら全体でその鼓動を確かめるように触れると、マフィオソは耐えかねたように顔を背け、爪が白くなるほどソファの背もたれを掴んだ。
「心臓、すげぇ速さで動いてる。嘘つけないなぁ、本当に」
「……っ、ん、う……」
「そんなに気持ちいい? 俺の、手が」
わざと意地悪く、指先が胸元をかすめると、マフィオソの口から短い、酷く甘い悲鳴が漏れた。
本人が慌てて奥歯を噛み締め、それ以上の声を呑み込もうとするが、その健気な抵抗すらもチャンスの欲望を刺激するだけだった。
チャンスはそのまま、自らの身体の重みをマフィオソに完全に預けるようにして圧し掛かった。
仕立ての良いスーツが擦れ合い、互いの熱い輪郭が、容赦なく存在を主張し合って重なる。
「ひ、ゃ……、つ、つよ……」
「強い? どこが?」
チャンスはマフィオソの耳元へと唇を寄せ、熱い舌でその輪郭をなぞり、柔らかい耳たぶを小さく噛んだ。
「……ぁん……っ!」
ビクリと身体を震わせるマフィオソ。
その瞬間、彼の身体から、甘ったるい芳香がさらに爆発的に膨れ上がった。
ウッディな香水の奥にある、彼自身の体温が醸し出す、ひどく雄々しく、同時に抗えないほど淫らな匂いだ。
「あー、もう無理。限界」
チャンスの声が、完全に掠れた。
彼はマフィオソの手首を片手で拘束したまま、もう片方の手で、自らとボスの衣服を乱暴に緩めていく。
金属音が静かな室内に、カチャリと冷たく、しかし決定的な合図のように響き渡る。
「ボス。明日、俺がどれだけ酷い罰を受けてもいいから……」
チャンスはマフィオソの身体を強引に割り開き、自らの腰をその間に沈めた。
完全に逃げ場を失ったマフィオソは、ただ、上から見下ろす男の熱い視線に射抜かれ、浅い呼吸を繰り返すことしかできない。
#1x1x1x1
ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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「今夜は、あんたの全部を、俺に壊させてよ」
「……う、あ……」
答えを求める前に、チャンスはさらに深く組み伏せ、容赦のない強烈な熱情を一気に注ぎ込んだ。
「あ、……っ! は、あ……っ」
重なり合った瞬間の凄まじい衝撃に、マフィオソは天を仰ぐようにして首筋をのけぞらせた。
脳の芯まで痺れるような快感が、背骨を伝って一気に駆け上がっていく。
チャンスは低く、獣のような呻き声を漏らしながら、マフィオソの腰を両手でガッチリと掴んだ。
その指先が、青あざを作りそうなほどの強さで食い込む。
「ん、ぁ……、ま、待て……、動くな……っ」
「待てるわけねぇだろ……、こんなの……っ!」
マフィオソの必死の懇願は、言葉の体をなさないまま、チャンスの激しい追及によって砕かれた。
「ひ、あぁっ……! ん、んぅ……っ!!」
二人の肉体が激しく衝突する衝撃が、重厚な執務室に響き渡る。
ソファのバネが軋む音さえも、二人の情欲を煽るBGMでしかなかった。
チャンスは手加減というものを完全に忘れていた。
いつもは完璧にコントロールされているボスの、こんなにも乱れた姿。
自分を拒絶する術を失い、ただその熱に翻弄されている美しい顔。
それが、チャンスの本能を、どこまでも狂わせていく。
「あ、ぁぐ……っ! ちゃ、んす……、ぁ、っ、ふ、あ……っ」
「なぁ、ボス……最高だよ。あんた、めちゃくちゃ熱い……」
「ちが……っ、これは、熱の……せい、で……っ」
「言い訳すんなよ。ほら、ここ、もっと欲しいんだろ?」
「ひっ!? あ、あぁぁあ、っ!!」
容赦なく最奥を抉られ、マフィオソの身体が大きく跳ね上がった。
指先は完全に血の気を失い、チャンスの背中に爪を立て、その仕立ての良いシャツをズタズタに引き裂かんばかりに掴んでいる。
限界だった。
頭が、完全に真っ白になる。
普段の誇りも、組織のボスとしての威厳も、すべてが溶かされ、消滅していく。
「ん、あ、あ、っ……! も、う……だめ……だっ、頭おかしくなる……っ!」
「いいよ、狂っちまえ。全部俺にくれ……っ」
チャンスはさらに愛撫と衝動のピッチを上げ、マフィオソを限界の先へと追い詰めるように激しく揺さぶった。
「あ、あぁぁぁあ、っ!」
マフィオソが絶叫に近い声を上げ、身体を弓なりに硬直させた。
それとほぼ同時に、頂点に達した熱情が二人を狂ったように締め付ける。
「くっ、そ……っ、あ、あぁ……っ!!」
その極上の昂りに、チャンスも耐えられるはずがなかった。
マフィオソの腰をこれ以上ないほど強く自分へと引き寄せ、その身体の最奥へと、何度も、激しく己の情熱を叩き込んだ。
「は、ぁ……、はぁ……、はぁ……」
静寂を取り戻した室内に、二人の重い呼吸だけが響く。
マフィオソは、完全に魂を抜かれたようにソファに横たわった。
はだけた胸元は激しく上下し、身体からはまだ、あの甘ったるい、しかし今は完全に二人の情欲の匂いと混ざり合った、濃密な芳香が立ち上っている。
チャンスは、ボスの胸元に顔を埋めたまま、余韻に浸るように小さく笑った。
「……なぁ、ボス」
「……」
「明日、俺のこと本当に殺す?」
マフィオソは、かすかに視線をチャンスへと向けた。
その瞳には、いつもの鋭い冷徹さが、ほんの少しだけ戻りつつあったが、その目元はまだ情欲の赤に染まっている。
「……お前を、ハチの巣にする……、絶対にだ」
掠れた、しかし確かな拒絶の声。
チャンスはそれを聞いて、本当に嬉そうに、彼の濡れた唇に、もう一度だけ優しいキスを落とした。