店に集まったミンドリー、ぺいん、さぶ郎の3人は開店準備をしながら、挨拶回りで聞いてきた話をしていた。
「あのね!夜に工業港でピーナッツレースあるんだって!誰でも参加できるって!さぶ郎、皆んなで行きたいっ!」
さぶ郎はイベントやアクティビティの話をした。
「あとね、遊園地のそばで卓球できるんだって!それもやりたいっ!」
ぺいんからは出会った人の話がされた。
「救急隊にズズがいた」
「ズズ?救急隊にいたの?」
「なんか自分を見つめ直したいらしい。会ったら挨拶くらいでいいんじゃない?」
さぶ郎から今度はメカニックで聞いた街の様子が話された。
「半グレとギャング、多いって」
「それは僕も聞いてきた。治安は良くないらしい。白市民でも最低限の武装をしておくか、店で暴れたら出禁ぐらいは言っていいらしい」
「武装ね………」
「それ、誰が言っていたんですか?」
「カフェの店員さん。あと『中華料理店には手を出すな』って言ってくれるって」
「その人、何者?」
「熊の被り物してメイド服着たいかつい男性だった」
「え?」
「そりゃ、『えっ』ってなるよね。でも根はいい人っぽいよ」
二人の話を聞いていたミンドリーがまとめた。
「聞いてきた話の共有はこんなところかな?」
「そうだね」
「じゃあ、夜まではお店開けて、そのあとピーナッツレースに皆んなで行こう」
夕方、ミンミンボウは開店した。
SNSで告知されただけだったが、挨拶回りをしてきたためか開店直後から賑わいをみせていた。
「こんにちは」
お客様第一号はまるんだった。
「まるん君いらっしゃい」
「警察署で暇そうにしている人連れてきました」
「こんにちはー!さぶちゃん、来たよー」
「椎名さん、あざまーす。メニューここのトレイにあります」
「わぁ、色々あるんやねぇ。選ぶのも楽しあわぁ」
カフェのクマの店員も来た。
「ミンミンボウってここであってる?」
「あ!カフェの!」
「うちの店長も連れてきたよぉ」
「ミンドリー!さっき話してたカフェの人!」
「店主のミンドリーです。ぺいん君から話は聞いています」
「まずはギョウザと烏龍茶もらえる?」
「はい。こちらどうぞ。そしたらちょっとお聞きしたいことあるので、こちらに来ていただけます?」
「いいよー」
カフェの店員と一旦裏側に退室したミンドリーだが、再度店内に戻ってきた。
「ぺいん君。出前お願いしていい?」
「オケ。どこ?」
「街中のメカニック。人数多いらしいから俺のランポ使って?全部入っているから、鍵渡す」
「んじゃ、行ってくるね」
「こんばんは」
「いらっしゃいませー。救急隊の方ですかー?」
「そう。ぺいんさんに教えてもらったので来てみました」
「メニューはこちらのトレーにありますのでご覧ください」
「トウリュウコウって何かしら?」
「お香で、ストレス軽減のジョイントになります」
「じゃあ、それ20個ください」
「了解です」
ぺいんが出前から戻り、店の客足がひいてきた頃、外はすっかり暗くなっていた。
「もうすぐイベントの時間だから、一旦店閉めて会場に行こうか」
ミンドリーの声がけで3人は店を閉め、ピーナッツレースが行われる工業港へと向かった。
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