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「……アオイ?」
『……』
床には、血を流しながら転がる最後の魔神の首。
ヒロユキの視界には、ただアオイの背中だけがあった。
「……やったのか?」
『……うん。これで――魔王たちと勇者の戦いは、終わったね』
「……」
魔神は確かに倒れた。その事実を皆に伝えねばならない。
だが、ヒロユキはそれよりも先に、どうしても確かめたいことがあった。
「……もしかして、兄さ――」
その瞬間。
ドォン! と轟音と共に、大きな瓦礫がアオイとヒロユキの間に落ちた。
それを皮切りに、魔神城全体が悲鳴をあげるように揺れ始め、壁や天井が崩れ落ちる。
「……っ!」
『積もる話は――ここを脱出してからにしよう!』
「……あぁ!」
ヒロユキと『アオイ』は、互いに視線を交わし合い、崩れゆく魔神城を駆け抜けた。
――――――――――――――――――――
《魔神城 外》
「……やったみたいだね」
「そうみたいだな」
魔神城から少し離れた場所。
気絶している仲間たちを安全な場所へ運んだ神の使徒たちは、遠くで崩れ落ちていく巨大な城を見つめていた。
「ホワイト団の方も、ルダから連絡があった。魔族も魔物も、全部消滅したみたいだよ」
「……まさか、作った本人が消えたら全部消えるなんてな。俺たちでも予想できなかった」
「タナトスたちも……消えた」
今、この場に立っているのは神の使徒たちだけ。
他の者たちは全員、【ヒュプノス】の力で深い夢の中にある。
だが、魔神が消えた今、その効力も意味を失い、やがて全員が目を覚ますだろう。
「よく頑張ったな、ユキ」
キールはスヤスヤと眠るユキを、そっと他のみんなの傍に寝かせた。
「……お、あれは」
魔神城の方から姿を現したのは――リュウトを背負った、みやだった。
「っ……」
みやは神の使徒たちを見つけ、わずかに驚いた表情を見せる。
「やぁ、元気にしてた?」
「……どぅして」
「どうして? うーん……どう答えたらいいだろう。仕事だから、かな?」
「……」
みやはルコサの横を静かに通り過ぎ、リュウトを仲間たちの近くにそっと下ろす。
「リュウトっ……みんな……」
「大丈夫。もうすぐ起きるよ」
「……ぅん」
「お、あと2人も来たみたいだね」
「……」
少し遅れて、ヒロユキとアオイも魔神城から姿を現した。