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今日もダメだった……

誰だ?明日はきっといい日になると言ったやつは。積み重ねたものはいつか必ず実を結ぶといったやつは。結局どれだけ頑張っても、黒く塗りつぶされた昨日が増えるだけ。実を結ばせようとした蕾は地に落ちて枯れていくだけ。

さぁ幕を閉じよう。この腐った物語の幕を。縄をくくりつけブランコに乗り、あとは足を離すだけ。やることはこの3つ。簡単だ。簡単なんだけど……何故か足が震えてしまう。目を瞑り、深呼吸をして今日こそはやるぞと、決意を新たにし目を開く。しかし、次の瞬間私は

(あ、しまった……)

と思った。と同時に驚いた。身長は180くらいだろうか?いかにも好青年という見た目の男が私の目の前に立っていた。その人は私が持っているものから私が何をしようとしていたかおおよその予測をつけたらしく、なにかバツの悪そうな顔をした後作り笑顔をこちらに見せた。まさか午前4時に差し掛かろうという時間にこの公園に人が来ようとは……

「あ、あの、警察とかは勘弁してください!!」

「え、あーえーと……ちょっと話しない?」

「本当にお願いです通報だけは!!……って……え?」

びっくりした。通報するわけでも、無視する訳でもなく、私を気にかけてくれるとは。でも知っている。こんなのはいわゆる社交辞令のようなものだと。

「いえ、結構です。どうぞお気になさらず。」

「いや、そういうわけにもいかないでしょ?だって君死のうとしてたんじゃないの?」

「例えそうだとしてあなたに何が関係あるんですか?」

「んー関係ないね!!」

「だったら早くどっかに行ってください。」

「じゃあその前に1つ、死にたいなら死んでいいと思うよ!!うん!!そのほうが楽だもんね!!」

「な……は?」

「じゃ!!」

「あ……ちょっと!!……」

行ってしまった……何だったんだいったい……なんか死のうと思ってたのがだんだんバカバカしく感じてきた。

「フフッ……フフッフフ!!アハハッ!!」

不意に笑いが込み上げてきた。

「死んだほうがいいって、何それ!!」

今まで止められたり同情されるようなことはあっても死ぬことを奨めるような人は誰ひとりとしていなかった。それは多分、それが社会の常識だったから。でもかえって何も言わずにいられるほうが自分のことをわかってくれてるような気がしてなんだかスッキリした。

空が明るみを増してきた。闇の中で光っていた星々は徐々に薄れ、どこまでも澄んだ青い空が東からやってくる。

「帰るか……」

夜へ背を向けた私はまた新しい今日へ進む……


「良かった良かった……」

俺は今1人闇の中を歩いている。1人でも多く後悔のない生き方をさせるために。別に人助けなんてもんじゃない。みんなを助けるわけでもない。第一そんなもの俺の柄じゃないし、俺が見える人は限られているんだから。

「俺だって後悔してるんだ。まだ君は逃げるときじゃないだろ?」

今日から逃げた俺は、またやってくる今日に背を向ける人の元へ足を運ぶ……

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