TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

そうして、僕の治療と日本語の勉強生活は幕を開いた。


一日目。


「うちの自己紹介、もうちょっとした方がええよな」


ボソッと恵海が呟いた。


「わしはなんで引っ張ってこられたんか教えてもらえやんのかな?」


頭を掻きながら恵海の隣に座っている男性は恵海の旦那、康彦(ヤスヒコ)らしい。絵しりとり方式で何とかそれが理解できた。


「うちは、この人の妻で、大阪の方から嫁いできたんよ。まぁ、一目ぼれ的な感じやなぁ」


何か、幸せそうな顔してそんな事を言っている。


大阪、確か、地名だったはずだ。三重県の少し上の方だった気がする。


「なぁ、わし、なんで連れてこられたんかまだ教えてもらえてないんやけど」


康彦は恵海に対して物凄く低姿勢だ。不思議な物だな。


「因みにこの人は此処、三重県出身やで」


恵海は康彦の事を指さしてそう言った。多分、康彦の話を一切聞いていない。


「この人が一緒に居ったほうが、此処の事もよく分かるやろ?うちは五年前に来たばっかやし」


康彦は納得したように首を縦に振っていたが、僕は何を言っているのか一切わからないぞ。


七日目。

僕達ドールは飲み込みが早い物で、簡単な単語なら分かるようにもなった。


恵海の「うち」や康彦の「わし」、外を元気に走り回ってる子供の「僕」は全部一人称らしい。これ以外にも、私や俺、あたし、あっし、、、、、、多すぎると思う。


恵海には、「まぁ、炎土くんは“僕”って言っとけばええよ」と言われた。


一人称というのは、ややこしいのだな。


僕達を助けてくれた人達に、やっと、「ありがとう」って伝えることができた。


助けてくれた人達は、全員を助けられなくて申し訳なさそうにしてたけど、一人も助からないかも、なんて思っていたんだ。残ったのがたった数十人であっても、助かったのが有り難いのだ。


四週間後。

語り継ぐ絆 〜海の恩を空で返す〜

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

43

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚