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四週間後。
『いやいや、当然の事をしただけやし』
『困ってる人がおったら助け合わなやろ?』
『お互い様さ!』
ふと、助けてくれた人達の謙虚な言葉を思い出したん。
此処の国の人らは謙虚過ぎんねん。ええ人過ぎんねん。
一ヶ月も勉強を続けとったら日本語も結構上達してきた。
僕が覚えたんは、標準語っていうやつやのうて、大阪特有の言葉らしいってのは、これから結構後に鈴華から聞いた事や。
とまぁ、そんな事は今はどうでもええんや。
今、僕が困っとるんは、恵海と康彦の事や。
「炎土くんってやっぱ、息子みたいで、ええなぁ」
「やんなぁ」
僕の頭を撫でながら二人はそんな事を言うとる。
この二人の事はどう足掻いたって突き放せんきぃする。
この二人だけは、傷つけたない。やから、対抗できひん。
恥ずいような、照れ臭いような、嬉しいような、ほんま、複雑な心境や。
そんなふうにして、治療を終えた乗組員の皆と一緒に僕は日本海軍の軍艦、“比叡”と“金剛”に乗って、イスタンブールまで送り届けられた。