テラーノベル
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戦いは、もはや人の域を超えていた。
畑中、唯我、一祟。
そして、モニター越しに戦場を見つめるジュリー。
誰も、これほどの戦いを見たことはない。
鷹野の放つ黒紫のビームは、すべて公太の身体へ吸い込まれていく。
衝撃波が大地を砕き、光が夜空を染める。
それでも、公太は微動だにしなかった。
赤黒く輝く隻眼は、ただ鷹野だけを見据えている。
「……なんだ、この戦いは……」
畑中が息を呑む。
唯我も龍焉刀を握り締めたまま、言葉を失う。
一祟も、ただ目の前の光景を見つめることしかできなかった。
その頃、ORVAS司令室。
警報が鳴り響く。
「ジュリー司令!」
「鷹野のエネルギー反応が制御不能です!」
「このままでは……地球そのものが消滅します!!」
隊員の悲鳴にも似た報告が飛び交う。
ジュリーの顔から血の気が引いた。
「……そんな……!」
すぐに通信機を掴む。
「畑中!」
「鷹野は限界を超えた!」
「もう止まらない!」
「公太に攻撃させちゃ駄目!」
「このままじゃ、自爆する!!」
「……なに……!?」
畑中は目を見開いた。
「分かった!」
「すぐ伝える!」
その瞬間。
鷹野が狂気に満ちた笑みを浮かべる。
「勝てない……?」
「そんな馬鹿な……!」
「なら、この世界ごと終わらせてやるッ!!」
黒紫の瘴気が爆発的に膨れ上がる。
空が軋み、大地が悲鳴を上げた。
そんな中、公太は静かに振り返る。
畑中を見る。
その瞳は、不思議なほど穏やかだった。
「……みんな、逃げてくれ。」
そして、小さく笑う。
「畑中……ありがとう。」
その一言に、畑中の身体が震えた。
反発ばかりしていた少年。
命令にも従わず、何度も衝突した少年。
その公太が――
初めて、素直に感謝を口にした。
「……やめろ、公太!」
「まさか、お前……!」
しかし、公太はもう迷わない。
灼獄の炎。
アークカプセルの力。
二つのエネルギーが一つとなり、全身を包み込む。
空気が焼ける。
大気が震える。
「……この世界は。」
「俺たちの手で守る。」
次の瞬間――
公太は鷹野の身体を掴み、一気に空へ飛び上がった。
轟音。
稲妻。
爆風。
二人の姿は一瞬で夜空へ消えていく。
「公太ァァァーーーッ!!!」
畑中が絶叫する。
「公太!!」
唯我も叫ぶ。
「公太さんッ!!」
一祟の声も夜空へ響いた。
その叫びは祈りとなり、崩れゆく世界へ吸い込まれていく。
赤く染まる空。
燃え続ける街。
瓦礫の海。
その上空で、公太は静かに口を開く。
「……これは、俺の運命だ。」
低く、揺るぎない声だった。
「俺は昔、不良だった。」
「誰にでも噛みついて……誰も信じなかった。」
「もしORVASに入っていなかったら……。」
「きっと俺も、お前と同じ道を歩いていた。」
鷹野は黙って聞いていた。
「だから……。」
「お前の気持ちは分かる。」
公太は静かに笑う。
「お前らと出会えて、本当に良かった。」
その言葉に、
唯我は涙を堪え、
一祟は唇を噛み、
畑中は拳を強く握り締めた。
司令室では、ジュリーが震える手で通信機を握り続けている。
「離せ!!」
鷹野が暴れる。
しかし、公太の腕は微動だにしない。
「公太!」
「何をする気だ!」
唯我が叫ぶ。
「やめてください!」
一祟も必死に声を張り上げる。
だが、公太は振り返らなかった。
その時――
鷹野が静かに呟く。
「……聞け。」
「もう、僕は止まれない。」
「取り込んだ力が臨界に達した。」
「これから自爆する。」
「その威力は……地球そのものを消し飛ばす。」
彼の身体は赤黒く発光を始める。
皮膚は裂け、
血管は脈打ち、
全身が灼熱に染まっていく。
「やめろォォォッ!!」
畑中の叫び。
「公太ァァァ!!」
唯我の絶叫。
「お願いです!!」
一祟の悲痛な声。
ジュリーも無線越しに叫び続ける。
「公太ッ!!
戻ってきなさい!!」
しかし、公太は静かに目を閉じる。
そして、小さく呟いた。
「……分かってる。」
その声は決して大きくはなかった。
それでも、
畑中の胸に、
唯我の心に、
一祟の魂に、
確かに届いた。
公太は鷹野をさらに強く抱き締める。
赤く染まる夜空。
二人の影は静かに天へ昇っていく。
世界の命運を懸けた最後の選択が、
今――始まろうとしていた。
コメント
1件
うわっ……第91話、めっちゃ重い!でもめちゃくちゃ熱いわ……。公太が初めて「ありがとう」って言ったシーン、畑中たちの反応も含めてグッときた。あの反抗的だった少年が、最終的に世界ごと守るために自分を犠牲にする覚悟を決める流れ、本当に泣ける。鷹野に「お前の気持ちは分かる」って語りかけるところも、過去の自分と重ねててズルいよな。次、どうなるんだ…まさか公太死なないよな?頼むから生きて帰ってきてくれ🔥
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成瀬りん
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