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『俺の作戦』
「……あ、そういえば俺さ、彼女とシェアすることになったから」
その言葉を聞いたのは、リビングで並んでテレビを見ていた時だった。
一瞬、テレビの音が遠くなった気がした。
「……え?」
僕はつい聞き返してしまって、すぐに後悔した。
だって、そんなの――
「嘘じゃないよ。まあ…好きな人って常に一緒にいたいじゃん?」
兄の声は、いつもより軽くて、なんだか楽しそうだった。
僕は笑うべきなのか、驚くべきなのか、何も判断がつかず、曖昧にジュースを口に運んだ。
「へえ……よかった、ね」
自分の声が、自分のものじゃないみたいだった。
兄は笑った。
けど、その笑顔はどこか――いつもと、違って見えた。