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慎吾と由紀の部屋に入ると、由紀はベッドに横たわり、顔を苦しそうに歪めていた




「由紀さん、どこが痛いのか教えてくれますか?」



洋平は、彼女の顔色を確認しながら由紀に言った




う~ん、う~ん・・・「おっ・・・お腹がぁ~・・・」




由紀は弱々しく答えた



「どうですか?洋平さん!」


「お腹が痛いんですか?いつから?」


「いっ・・・一時間ほどまぇ~・・」




由紀さん大丈夫かしら・・・・くるみはハラハラしながらベッドに寝ている由紀を見た、そこでぎょっとした




相変わらずのホットパンツで太ももとお尻の境目が出ている、彼女の着ているキャミソールから胸がこぼれ落ちそうになっていた、そして当然ブラジャーをしていない




なっ!なぁにー?あの格好-っ!乳首見えそうじゃないの!




嫌ッ!洋平君!離れて!





「洋平さん!どうしましょう!」



「由紀さん今朝は便は出ましたか?」



「はっ・・・はいぃい~ 」





ポッと由紀が頬を染めて洋平に返事する、その態度にくるみはムカッとした




なんだか・・・由紀さん仮病を使ってるんじゃないのぉ~?



う~ん・・う~ん「いたぁ~い、いたぁ~い」




彼女は洋平が近づくと、さらに表情を歪め弱々しく唸った



「ホテルの医療サービスを呼びましょう!食中毒かもしれない、もし腹膜炎なら下腹部が腫れます、僕がやったことあるんで、由紀さんどこが痛いかお腹抑えて見せて」



洋平が由紀に覆いかぶさるように近づいた





よっ・・・洋平君!それ以上近づかないでーーー!




くるみが心の中で叫んだ、なんとか冷静を装いながらも、心の中で嫉妬心が煮えくり返った




この感情をどうにも抑えつけられない




苛々しながら自分ではどうすることも出来ずにその光景を一歩引いて見ていた




「ここですぅ~~ここ、ここ~!!」




由紀が洋平の手首をぐいっと掴んで、キャミソールをまくり上げ、自分の下腹部に当てた



さらに洋平の手に自分の手を重ねて、洋平に身を寄せた




由紀は洋平の心配そうな顔を見て、何かを感じ取ったかのような、微かな笑みを浮かべた




「ここが痛いのぉ~~~」




由紀が洋平の手を自分のお腹に当てて、甘えるような声で身をよじる度、くるみの心はざわついた




思えば・・・初めて飛行機で由紀に声をかけられてから、由紀の振る舞いは、洋平を自分だけのものにしたいという欲望の表れにしか見えなかった



それを自分と仲良くしたいのだと、くるみは勘違いをしていたのだ




今ハッキリわかった!由紀の目的は洋平なのだ




由紀が洋平に甘えるような視線を投げかける度、くるみの感情が高ぶるのを感じた。




由紀が洋平の手を握り、また身をよじった時、由紀の乳房がポロリとこぼれた




ギャー――――!!乳首見えたーーーーーーー!!!もう我慢の限界よ!!





ドンッ「洋平君に触らないでよっっ!」


「キャッ!」




くるみは一歩前に進み、由紀を力強くドンッと突き飛ばした




由紀はバランスを崩し、ベッドから転げ落ちそうになりながらも驚いた表情でくるみを見上げた




わーーーー!「くっ・・くるみさん!由紀ちゃんに何するんですかっ!」



慎吾がヒステリックに叫ぶ




「くるちゃん・・・・」




洋平が驚いた顔でくるみをじっと見た




あっ・・・私ったら・・今・・・何を・・・




くるみは息を荒げ、自分がこれほどまでに嫉妬心が強い事に自分自身驚いた




「いたぁ~~~い~~~いたぁ~~い~~~」



「いっ今!由紀ちゃんを突き飛ばしたでしょー!ベッドから落ちる所だったんですよぉー!!」




必死に由紀を介抱する慎吾が怒り心頭で叫ぶ




由紀を心配そうに見つめる洋平・・・・




咄嗟にくるみは自分がした事を恥じた




今までのフラストレーションが、一気に爆発したような気がして、思わず由紀さんを突きとばしてしまった




こんなことしたくないのに・・・洋平君・・・困っている・・・・




首をかしげて洋平がくるみの傍に来た




明らかに洋平も当惑していた、自分がまるで暴力的な子供みたいで途端に恥ずかしくなった




「くるちゃん・・・由紀さんは具合が悪いんだよ?」



「そんなこと分かってるっ!けど嫌なのっ!だって洋平君は・・・洋平君はっ・・・ 」



「ゆっ・・・由紀ちゃん!大丈夫?」



「くるみちゃんこわぁ~~~いい~」





苛立だしさで顔が真っ赤になり、汗が拭きでる




なによっ!洋平君はっ・・・洋平君はっ・・・







私の旦那様なんだからっ・・・

・:.。.・:.。.





じわりと目に涙が溢れる、くるみの思考はぐちゃぐちゃでもう整理がつかない




「もう知らないっっ!」





そう吐き捨てると、嫉妬心がくるみを追い立てるかのように感じ、部屋を飛び出してしまった




「くるちゃんっっ!待って!」



「洋平さん!由紀の容態がっっ!!」




洋平がくるみを追いかけて行こうとした時、慎吾の切迫した声に呼び止められた




さっきよりもうんうん唸って由紀がお腹を押さえてゴロゴロ転がっている




「由紀ちゃん!大丈夫?由紀ちゃん!洋平さん!由紀を助けて!っ」




慎吾も必死で由紀の背中をさすっている、洋平がくるみが去っていたドアと由紀を交互に見る




「くそっ!」




洋平が苛立たしく悪態を吐いた





・:.。.・:.。.








ガチャッ

「何で誰も出ないんだよ!」




洋平は部屋の受話器を乱暴に叩きつけた、フロントに何度コールを鳴らしても繋がらない




「慎吾さん!電話じゃ埒が明かないのでフロントに行って誰か連れてきます!」



「慎吾君行ってきて!洋平さんにいてもらいたいの!容態が変わったら不安だから」




由紀が慎吾にそう言った




「え?で・・・でも・・・・」



「あと何か飲みもの欲しい」




ふ~っとため息をついて、洋平が英語でサラサラとメモを書き慎吾に渡した



「慎吾さん!フロントにこのメモを渡してください、これを読んだら医療サービスを呼んでくれるでしょう、あと日本語対応のスタッフもいるはずだから連れてきて、すぐに帰ってきてくださいよ!くるちゃんを怒らせてしまった」



「わっ!わかりました!すぐに帰ってきます!」




ダッと入口に慎吾は出て行こうとしたが、くるりと振り返って洋平に言った




「あ・・・あの・・・くるみさんは・・・」




少し肩を落とした洋平が言う



ふぅ~・・「きっと拗ねて部屋に戻ってると思います・・・とにかく待ってますから医療スタッフを呼んできてください」



洋平が肩を落として大きくため息をついた





バタバタ・・・「すっ・・・すぐ戻ってきます!」




慌てて部屋から出て行く慎吾と、それを見守る洋平の後ろ姿を見つめていた由紀が




お腹をおさえてニヤリとほくそえんだ




くるみは必死に涙をこらえながらリッツ・カールトンの豪華な廊下を走り抜けた



エレベーターを待つ時間も惜しみ、階段を全速力で駆け下りた




由紀への怒りと、洋平への愛と信頼が入り混じり心が張り裂けそうだった




鞄もスマートフォンも持たず・・・手ぶらのままホテルの外に出ると




ハワイの夜風が彼女の頬を冷たく撫でた、くるみはワイキキビーチ沿いをカラカウア・アベニューに向かってあてもなくフラフラ歩いた




波の音がくるみの耳に届き、心を少しだけ鎮めたが、それでもくるみの心の中では嵐が吹き荒れた




嫌いよ・・・嫌い・・・・由紀さんも・・・由紀さんに触った洋平君も・・・(※彼の意志じゃないけど)




グスッ・・・「どうしてこんな気持ちにならなきゃいけないの?」




自分が洋平を信じていないわけではないのに由紀の行動がくるみの心を乱すのだ



これはくるみの洋平への愛が、どれほど深いかを示す反面教師でもあった




カラカウア・アベニューは、夜でも露店が賑やかにならび、夜の外食や買い物を楽しむ観光客でごった返していた




寄り添って道行くカップルがくるみとすれ違った、とても幸せそうな二人を見ると余計に惨めになった




洋平君と来たかったな、こんなにおしゃれしているのに・・・こんな所を一人で歩いてバカみたい・・・




洋平が自分を追ってくるかもしれないと考えながらも、一方で彼が由紀のそばにいることを想像してしまい、再び心が締め付けられた




自分の中にある醜い嫉妬心をどうしていいかわからない




反対車線の道行く車のライトがくるみの顔を照らして去って行く




美しいハワイの最終日の夜



くるみは一人ぼっちの時間を過ごし、ただひたすらトボトボと歩き回った





洋平君・・・今頃由紀さんといるのかな・・・乳首見えてたし(←こだわっている)




くるみの心は、嫉妬と失望でぐちゃぐちゃになっていた、由紀が洋平に過度に依存しているように感じ、彼女の行動が仮病であるかもしれないという疑いが胸をよぎった




ボソッ・・・「私達・・・離婚するのかな・・・」




ぐすんっとまた頬を流れる涙を拭った






洋平君・・・好きなのよ・・

・:.。.・:.。.




寂しいよ・・・苦しいよ・・・

・:.。.・:.。.



走ってきて抱きしめてよ・・・

・:.。.・:.。.





くるみの目からは、ハラハラ悔し涙が溢れて止まらない




我儘かもしれないけど、他の女性なんか見ないで欲しい、だって彼と結婚しているのは自分なのだ




でも自分には、彼を繋ぎ止めておけるだけの魅力はあるのだろうか、まったく自信がない




彼の優しい笑顔が思い浮かぶ、フラダンスで死ぬほど笑わせてくれた



いつも明るくて、笑わせてくれる彼がこんなにも自分にとって特別なのに、彼は違うのだろうか・・・自分と同じように大切なのではないのだろうか




不安でたまらない、自分が愛しているのと同じように愛して欲しい、こんなに重くてややこしい女、捨てられても仕方がない





・:.。.・:.。.





私が特別だって言って



私が綺麗だって言って



私がかわいい天使で



あなたのアイドルだって言って



私が聞きたくてたまらない言葉を言って

・:.。.・:.。.





ヒック・・ヒッ・・「洋平君・・・好きなのよ・・・こんなに好きなの分かってよ・・・・あなたを知らなかった時にもう戻れないのに、どうしてくれるのよ・・・」




どうしたら洋平君の一番になれるの?




洋平君に愛されるためなら何でもする




あなたの唯一になりたいの




どうすれば私を求めてくれるの?





うっ・・・うぅ~~~~「洋平君の・・・バカ・・・・」






くるみはとうとう、その場にうずくまって泣きじゃくった







洋平君・・・・

・:.。.・:.。.


あなたに愛されるためなら何でもするのに・・・・

・:.。.・:.。.















私の偽装婚約者は億万長者

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