注意事項
・一話参照
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「sn!!」
扉を足で開けると、書類と向き合っていたsnが振り返った。
「zm…!?」
snは立ち上がって、カーテンを開いた。
「そこに寝かせて。すぐに器具持ってくるから。」
「わ、分かった、!!」
utはゆっくりとzmを寝かせる。
zmはベッドに沈むと、グゥ、と小さく唸った。
utは手を握ってやり、体温を確認しているとsnが走ってきた。
「zm、意識はある??あったら俺の手を握り返して。」
ぎゅ、と手を握ってみるが帰ってこない。
「そうか…。傷口見るよ。痛いかもしれないけど、我慢してね。ごめん。」
ヒラ、と布を退けて傷口を確認する。
刃物でざっくりとやられているようだ。
「これは酷い…。何針か縫った方がいいかな。」
「そ、そんなっ…!!zm、死んでまうん、??」
「死なせないよ。」
snは器具を取りだした。
「ut、ごめんけど少し席を外してくれるかな。この紙に何があったのか、書いてくれると嬉しい。」
「わかった、!」
カーテンの外に出て、紙にペンをぶつける。
ciがzmを刺したこと。
ciはtnに任せていること。
ciがスパイであること。
zmとciは相打ち状態であったこと。
全てをぶつけた。
…。
utの涙も紙にぶつかった。
「…ぐすッ、」
大切にしていたはずだった。
スパイだとしても、こちらに丸め込むように大切にしていた。
どうやらそれは、無意味だったようだ。
ciは、スパイだ。
こちらに丸め込まれてもいない。
後輩でも、仲間でもない。
ただの、敵である。
utはぐしゃり、と紙を掴んだ。
このまま紙を破れば、無かったことにできないか、と。
そんなことは、できるはずがないのに。
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「…ふーッ。」
tnは深呼吸をして、廊下を歩いた。
あと三十分したら起床時間。
会議を始めよう。
すると、ガチャ、と音がしてshpが出てきた。
「…はざす。」
「ああ、shp。今日は早いな。」
「なんか、少し嫌な夢を見た気がして。」
ciはshpと隣の部屋だ。
静かな部屋に嫌な雰囲気を感じたのだろうか。
ciは寝言をよく言うから、夜でも少し賑やかだ。
逆にそれがshpにとって安心するのであるが。
shpはぐいーっと身体を伸ばしたあと、ciの部屋のドアノブを取った。
「shp、待て。」
開けようとするshpの腕を掴む。
扉が少し開いて、キイ、と音を立てて止まった。
「…え??」
「会議を始める。それまで自分の部屋か会議室に居てくれ。」
「…っす。」
tnは廊下を歩いて行った。
角を曲がり、見えなくなってからshpはもう一度ciの部屋の扉を開けた。
起こしてやろうか、と思ったのだ。
「…ci、??」
もぬけの殻の冷たい部屋は、shpに不安を押し付けた。
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『幹部連絡。緊急会議を行う。会議室に集まるように。』
tnの声が、起床時間と共に鳴り響いた。
会議室には既にsnとut、shpがいた。
連絡を終えたtnが集まった頃には、rbとrp、osにhtもいた。
朝食を作ろうと準備していたemは慌ててやってきた。
それと同時にshoとkn、grもやってきた。
席に着くと、tnが立ち上がる。
「先に話しておく。shp、気分が悪なったらutを連れて外に出ておくといい。」
「…えっ、はい、」
会議室の席順では、shpの隣にciの席がある。
だが、今日はそのciの席にutが座っていた。
何を話すんだ、とshpは体を固めた。
「じゃあ、始めよう…。」
「待ってや。zmとciがおらんぞ。」
shoが手を振って言った。
tnは静かに頷く。
「それを、話すんや。」
会議室が一気に静まりかえる。
「昨日の夜中、zmから連絡が来たんや。途切れたメッセージ。zmは通信機器にはイタズラをしない。何かが起きたんや。」
「…zmさんに、」
emがぽつり、と呟く。
心配そうにtnをじっと見つめていた。
「と言っても、場所が分からへん。だからutにGPSを見てもらってん。そしたらな。」
tnはutに視線を送る。
utは視線から考えを受け取り、立ち上がった。
「zmのGPSは、ciのGPSと共に…。」
utの手がそっとshpの頭に乗る。
なで、と動かされてshpは察した。
「第三裏倉庫に、あったんや。」
shpは俯いた。
utは撫でる手を動かしたまま、続けた。
「嫌な予感しかせぇへんやろ。そんで、俺とtnで向かってん。」
「ut、ありがとう。ここからは俺が説明する。」
snが立ち上がる。
utはshpの背中をさすりながら席に座った。
「簡潔に言わせてもらうね。ciは、スパイだ。」
「…はッ、ぁ、"、ぅ、」
混乱で呼吸が荒くなってきたshpを、utは背中に乗せて扉を開けた。
「少し席外すわ。話しといて。」
「おう、shp、ut。お疲れ様。よお頑張ったわ。」
「うい。」
扉が閉まると、shoが大声を上げた。
「ciがスパイって、どういうことやねん!!そんで、zmは!?」
「zmは、ciに襲われた。」
「…え、?」
shoの声が小さくなる。
それでも、snは止まらずに喋った。
「椅子に縛られて、腹部を刺された挙句、首元に注射痕があった。何かを入れられてる。」
「…zmさんは、大丈夫なんか、??」
emが顔をsnの方に向けずに問う。
「大丈夫、生きとる。ただ、その薬によって昏睡状態になっとるわ。」
「…、くすり、」
「zmも抵抗したらしい。ciはzmの傍に倒れて気絶しとった。」
tnが話し出すと、snの話が終わったらしくsnは席に座った。
「…もう、ここから先はわかるやろ。」
rbが手を上げる。
「拷問、愚問やな。俺の出番っちゅー訳か。」
「せや。ただ、皆もciと話したいことがあるやろ。だから、交代でやろうと思うんや。」
すると、rpが不安そうにtnを見た。
「あの、拷問とか…できないんすけども、」
「大丈夫や。そういう時は愚問でええ。薬も使って、アイツを不安に落とせばええよ。」
「tn。会議は終わろう。」
grが突然口を開いた。
「え、??でも…。」
「ciと話したいものは行けば良い。tn、お前が今1番キツいだろう。少し休憩をとるぞ。」
「…ッ、せやな。」
会議室からゾロゾロと出ていく。
基本的に愚問担当のrbの元に、shoとemがやってきた。
「なぁ、今日俺とemさん行ってええかな。」
「ああ、ええよ。」
「スパイだったとしても、少しは躊躇うと思ってたわ。」
emはぽつり、と呟いた。
「それに、zmを狙うなんてさ!!ほんま許せん、絶対にアイツはぐちゃぐちゃにしてやるんや。」
「ははっ、shoすごいなぁ。お前拷問官なれるんちゃうか。」
「ごーもんは無理!きついもん!!」
shoはブンブンと手を振った。
emが隣からクスリと笑う。
「shoさんは、口が武器になるもんなぁ。」
「せやぞ!!俺は悪口やら煽りやらでアイツを壊すんやで!」
「せやな。もうアイツは仲間ちゃう。敵や。」
バキ、とrbが拳をぶつけ合う。
珍しく、emも本気のようだ。
これは格下、と呼ばれるciがスパイだと分かったからではなく、zmを傷つけられたことに対する怒りだろう。
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「…、げほッ、げほ、」
地下室に席が響く。
うんざりとして、身体を動かす。
コンクリートの床に寝転がっているせいか、体温が奪われていく気がした。
コツ、コツ、と音がしたので、階段の方へ目をやるとtnが降りてきた。
「…ッ、」
今度は何をされるのか、と寝転がしていた身体を起こしtnを睨む。
「まだ睨めるんやな。じゃあ、行けるな。」
「…は、?」
「お前はこれから、愚問を受けてもらう。だが、もしも嘘をついたり黙るのならば、拷問になるからな。」
コツコツ、と足音が聞こえる。
「…そして。」
階段から、rbとsho、emがやってきた。
「今日お前の愚問を担当する、rbとsho、emや。以後お見知りおきを。」
「愚問担当のrbや。非効率やったら、拷問に変える。」
「同じくshoやで。癪に障ったら拷問する。」
「em。キミのことは嫌いです。」
rbは縄を、shoはシャベルを持っていた。
emは何やら奥で準備をしている。
今から何をされるのか、すぐに理解したciは壁に背中を擦り付けるように後退りをした。
「お、俺やで、ci。rb、sho、emさん…ど、どうしたん、??」
「知っとるよ。嫌というほどなァ。」
牢屋に入ってきたrbはciを椅子に縛り付けた。
shoがシャベルを肩にコンコンと乗せて、真顔で睨む。
「…吐け。お前はスパイやな??」
rbが問う。
「は、スパイ??な、何言ってんの。」
「sho、やれ。」
ガツンッ!
シャベルが勢いよく肩に振り下ろされた。
「ぐぁ"はッ!!!!!!」
「お前は命令で動いたんか。自分で動いたんか、どちらや。」
また、rbが問う。
「何の話やねんッ…、でも、俺は命令されんの嫌いや。自分で判断できるっての。」
「sho。」
ガツンッ!
「があ"ッ!!!!!!」
ciは叩かれ、痛みで俯いていると、shoに髪の毛を掴まれ、上を向かされた。
「ちッ、お前はそう判断した訳かよ。確かに間違っちゃいねぇな。1番の戦力は潰しとくべきやしな。」
「俺はなんて言えば叩かれへんねんッ!!」
「素直に言えばええんやで??まあ、俺がイラッときたら叩くし、嘘ついても叩くけどぉ。」
shoはシャベルをciの頭に乗せた。
「ほんまは、このまま今すぐに消してやりたいけどなぁ。」
「sho、それはまだや。聞き出してから。」
「…せやな。知っとるよ。」
「手っ取り早くするために、クスリ入れようぜ。emさん、用意できたか。」
「勿論や。」
emがなにやら禍々しい色をした液体が入っている注射器を指でツッツッ、としながら牢屋に入ってくる。
「やめろやッ、!!emさんっ、なんで!!」
「早う楽になろな。」
プスリ。
グルグル。
ギユルギユル。
血液中に異物が入り込む。
身体が、震え始めて思わず俯く。
「emさん、説明したったら??ci、考えられるようなええ頭しとらんで。」
shoはciの頭を叩きながら言った。
「これは、身体の神経を鈍らせる薬や。つまり、キミはもう自分の思うように身体を動かすことが困難になるっちゅーこと。」
「喋りはするやろ。じゃあ、ci。お話しよか。」
rbがしゃがんで、ciの俯いた顔と目を合わせた。
「…ッ、ぐ、」
「…!sho、紙でもええからなんか取って。」
「え??ああ、うん。」
rbはciのギリギリ、と動く口に手を入れた。
歯と、舌に指を挟む。
「お前、今舌を噛み切ろうとしたな。ほお??そういう知識はあるんやねえ。」
「ふーッ…ふーッ、」
「はーい。rb、これでええ??」
「ん。ありがと。」
rbは受け取ったタオルを細く丸めて、ciの口に入れた。
歯がタオルに埋まるように、しっかりと奥に入れた。
それからciの頭の後ろで結んで取れないようにした。
「呼吸は鼻でせぇよ。」
ベシッ、と頭を叩き、ciの唾液で汚れた手を洗いに牢屋を出た。
「…なんかつまんな。emさーん、他に薬ないんか??」
shoがciの俯く頭に腕を乗せてemを見る。
「あるにはあるけど…、これ入れたら明日からだいぶ辛なるで、??」
「emさん。お前は甘すぎるわ。」
「…。」
shoはciの座っている椅子を蹴り飛ばし、ciごと床に倒した後、emに駆け寄った。
「こいつ、お前の大切な、いや…俺らの大切なzmを傷つけたんやで。こいつに、いつも通りの明日なんているかな。」
「…。」
emが足を動かし、ciに近寄る。
「…ふーッ、ぅ"ッ、う”ー!」
「キミには、失望したわ。まあ、昔から好ましくは思ってなかったけど。」
プツリ。
ガクン、とciの意識は途切れた。
すみません、まだ5000文字ですが切らせて頂きます!!
今回、物語自体が短い予定なので、丁度いいかなと思いまして!
おまけもあります、是非読んでほしいです!!
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「shp、大丈夫。しっかり呼吸せぇ。」
「ふー、…ぁ、ぁの、」
shpはutの首に掴まったまま、口をパクパクと動かした。
「shp、今は喋らん方がええよ。」
「…っ、ut、せんせッ、あのっ、」
utは背中から、shpの震えを感じていた。
「ciは…そんなやつじゃ、ない、」
「…スパイじゃないって??」
「っ、っ、!」
コクコク、と頷く。
「…スパイやったんや。もうアイツとの思い出は全て無くせ。これからきっと、アイツは愚問を受けるやろう。そしたら、俺も。shpも、そんなアイツを見なあかんねん。」
「やだッ…いや、だ、!」
「俺だって嫌やわッ!!!!」
歩いていたutの足が止まる。
「…、軍団が無くなってしまうんも、遊び相手が少なくなるのも、アイツとの思い出が消えるのも、嫌やわ。でも、仕方ないんや、アイツはスパイで、俺らは騙されてた。」
「…、ッ、」
「…仲間も、所詮他人、どうしようもない。」
「ciは…ッ、ci、は、」
「ciはそんなことするようなやつじゃないっな??そりゃそうや、俺だってそう思う。アイツが仲間を殺る勇気を持っとるはずないし、なによりzmから殺るのも考えられない!」
utから、ぐす、と鼻をすする音がする。
shpはutの肩に顔を押し付けた。
「でも…見てしまったんや、俺は。アイツが、スパイであったこと。」
「その時の瞬間は見てない…、」
「…それはッ、おれ、だって、!」
「ut、shp。」
「「…ぶちょう、」」
会議が終わったのか、knがポケットに手を突っ込んでこちらにやってきた。
utの背中からshpを下ろし、2人まとめて抱きしめた。
強く、煙草の匂いが鼻に届くほど。
「乗り越えるしかないんやで。」
「…、」
「俺は、明日アイツの愚問担当になる予定や。どうや、2人も来るか。」
「…っ、」
「拷問はせんでええから。尋ねるだけ。2人も、あいつの口から聞きたいやろ。」
「分かりました、いきます、」
「shp…。」
knはぽん、と2人の頭に手を置いた。
「俺らは、乗り越えるしかないんや。」
「…わかった、俺も行くわ。」
「ん、2人ともよぉ頑張った。」
にぱ、と笑いワシャワシャと頭を撫でる。
「まだなにもやってませんけど、」
「向き合えたやん。凄いことやと思うで?」
「knって、こんなに優しかったっけ。」
「おいコラut。」
デコピンをすると、utは笑ってknにデコピンし返した。
それから鬼ごっこが始まった。
明日、ciと話が出来る、なんて、
呑気なことを考えている3人だった。
コメント
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sypくんとut先がciくんはそんなやつじゃないって思ってるの切なすぎゆ … 😭 最初の3人は完全にciくんのことをもう敵やと思ってて 、 ciくんは昨日まで肩並べてた仲間に拷問されるのは辛いだろうな … 次knさんがやるけど 、 軍団の2人はなんもやってほしくないい … (?) んもう好きすぎますすす 🫶🫶
ヤバい、続きが見たくて仕方ない…、、、!!!!! こーいう系も大好きだわ))
心痛いけどめちゃくちゃ好きいいい...!!