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私
の名前は、アメリア・ウィルナー。
今年で17歳になる高校2年生。
父は海外出張中で母もそれに付き添っている為、現在家に一人きりの状況。
だからといって特に生活が変わるわけではないのだが……。
「おーい! 早く起きろよ!」
朝から元気よく私を起こしに来た幼馴染みの桐谷蓮司。
黒髪短髪をツンツンさせたイケメンである。
いつも何かしら事件に巻き込まれている。
「今日こそは俺と一緒に登校してもらうぞ!」
そう言って彼は勝手に部屋に入って来た。
「……まだ眠たいんだけど?」
「ダメだ! 一緒に学校行く約束してただろ!?」
私はベッドの上で目を擦った後、ゆっくりと体を起こした。
「別に一人で行けば良いじゃん」
「お前は冷たい奴だなぁ。昔はよく遊んでやった仲じゃないか」
「それは幼稚園までの話でしょうが」
私は布団から出て立ち上がる。
パジャマを脱ぎ制服へと着替えると、そのまま洗面所へと向かう。
顔を洗い歯磨きを終えるとリビングへ足を踏み入れた。
そこには朝食の準備をしている母親がいるだけだ。
それはいつものことなのだが、今日に限って妙に落ち着かない気分になる。理由はわからないのだが……。
「おはよう」
俺はリビングに入りながら声をかけた。
「あら、おそよう」
母はそう言うとフライパンから目玉焼きを移しているところだった。
「昨日は遅かったみたいね」
「ああ、ちょっと勉強しててさ」
嘘ではない。昨夜遅くまで参考書を読んでいたのだ。
「そう」
母さんはそれだけ言うと皿の上に目玉焼きを移した。
俺がテーブルに着くと、すでに父さんが座っていた。新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。
「いただきます」
俺の声に合わせて家族三人そろって合掌をする。テレビからは朝のニュースが流れていて、アナウンサーが何事かをしゃべっている。
今日の天気は晴れらしい。
雲ひとつない青空。
風もなく穏やかな日和。
今日も仕事が始まる。
通勤ラッシュに巻き込まれる前に電車に乗る。
いつも通りの風景。
昨日の続きのように繰り返される日々。
何も変わらない。
ただひとつを除いて。
目の前にいる女の子が微笑んでいるのだ。
今まで見たこともない笑顔だった。
まるで天使のようだと思った。
僕の心臓がドクンと跳ね上がった。
僕は彼女から目が離せなくなった。
鼓動が激しくなる。
頭がくらくらして倒れそうだ。
胸が苦しい。息ができない。
彼女に何か話しかけなければと思うのだが言葉が出てこなかった。
突然、彼女と目があった。
彼女は僕を見て少し驚いたような表情をした。
「あ……」
ようやく声が出た。
しかし、それっきりまた黙ってしまった。
しばらく沈黙が続いたあと彼女が口を開いた。
「あの……大丈夫ですか?」
心配そうな顔で聞いてきた。
僕は慌てて答えようとした。
「え?ああ、うん。平気だよ」
今度はちゃんと答えられた。
彼女はホッとした様子で言った。
「そうですか。よかった」
そして再び微笑んでくれた。
僕は嬉しくて思わず笑った。
笑うなんていつ以来だろうか。
きっと今の自分の顔はとてもひどいことになっているだろう。
それでも構わなかった。
こんなに嬉しいことはない。
彼女はずっと笑ってくれるだろう。
だって今まさに奇跡が起きようとしているのだから。
僕は幸せを感じていた。
「ねぇ、君はどこから来たの?」
僕は何気なく聞いた。
「はい。おしまいよ。」
「え?」
「はい!じゃあ次!」
「ちょ……」
「次は『人』ね。」
「……」
「ん?どーしたの?まさかもうギブアップとか言わないよね~?」
「あのさぁ」
「うん?」
「俺達今なんの時間してるか分かってる?」
「もちろん。国語の授業だよ?当たり前じゃん」
「そうだよな?じゃあさっきからお前が言ってることは何一つ間違ってねぇわけだよ!俺達は!」
「だからさぁ……なんでそうやって決めつけるんだよ?」
「ああ!?テメェこそいつまでくだらねーこと言ってんだよ!もう俺達の間には何もねえんだよ!!」
「はあ~……」
「……ッ!!テメー今のため息はどういう意味だコラァ!!!」
「別にぃ……ただ、君らの頭が残念すぎることに同情してるだけだよ」
「ああっ!!?」
「だってさ、結局、僕達がいくら話し合ったところで何も解決しないじゃないか。お互いに納得なんてできないんだろ?だったら何を話しても無駄だし時間の無駄だよ」
「……っ!!」
「お互いが妥協できるラインを探して交渉するのが最善策だと思うけど、どうせそれも無理なんだよね?」
「……」
「君は『俺達の仲は元に戻せる』とか思ってるかもしれないけどね……」
俺は君を傷つけてばかりいた。
「そんなことはないよ!私は楽しかった!」
そう言ってくれた君の言葉を信じたいけれど。
君の声が聞こえてくるようだ。
『楽しい時間はいつまでも続かないんだよ?』と。
あの日以来、君の笑顔を見ることはできなかった。
それでも俺は、幸せだったから。
たとえ偽りであっても、君の隣にいたかったから。
「また明日会えるよね?」
君が最後に言った言葉が忘れられなかった。
あれが最後になると知っていたら、もっと素直になれただろうか? 答えを出す前に別れが訪れてしまった。