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私
の友人に、変わった男がいます。
一見すると普通に見えるのですが、どこか違和感があるんですね。
例えば……そうですね。彼はとても真面目な性格をしているんですけど、たまに冗談を言うことがあるんですよ。
しかも、それが結構面白くて笑っちゃうこともあるんです。
でも、やっぱりおかしいところもあって……。
たとえば、彼の部屋に行った時に偶然ベッドの下を見たら、そこには大量のエロ本があったんですよ。それも全部巨乳系のものでして、それを見て思わず吹き出しちゃいましたよ。だって、あまりにもシュールだったから。
他にも、彼の部屋に遊びに行ってゲームをしていたら急に鼻血を出して倒れてしまったこともありました。一体どうしてそうなったのか全く分かりませんでした。
他には――ああ、これは先日あった出来事なのですが、友人達とカラオケ店へ行った時のことです。彼は歌うことが好きなようで、その時もマイクを手にして熱唱しておりました。しかし残念ながら音痴だったらしく、「もっと上手く歌えたら良いんだけどね~」などと苦笑しながら呟いておりました。……そうですね。音痴というのは困ったものです。何故ならばそれはつまり、『自分の歌声』に対しての評価が出来ていないということでしょうから。もし仮に彼が『上手に歌ったらどんな声になるのか?』とか、或いは逆に『自分がどれだけ下手なのか?』ということを理解出来ていれば、こんなことにはならなかったでしょうに。
さて皆さんはいかがでしょうか? もしも貴方が自分の歌声について客観的評価を下すことが出来ているのであれば、どうか自信を持って下さい。きっと貴方の声は多くの人に愛されるはずですよ!……あぁ、申し訳ございません。少しばかり話が脱線してしまいましたね。本題に入りましょう。えぇっと確か、どこで聞いた話であったか忘れてしまいましたが、昔々、とある国の王様がおりまして、ある時お妃様との間に子供が生まれたのですが、それがなんとも不思議な声をしていたそうなんです。なんでもその子の歌を聞くと誰もが涙を流すとかなんとか……まぁ、そういった噂があるわけです。私としましてはその御伽噺を信じたい気持ちもあるのですが、やはり世の中というのはなかなか上手くいかないものでして、実際に私が耳にしたところでは『あれは悪魔の子に違いない』なんて言われておりましたよ。
何故悪魔の子であると思われたのかと言いますと、それはその子の歌う歌が原因だったそうです。なんでもその国に伝わる民謡を歌ったらしいのですが、歌詞の中に出てくる動物の名前が問題だったらしくてですね。その子が歌うとその動物の鳴き声にしか聞こえなかったようで、それで皆から気味悪がれてしまったようです。
それからというものその子はずっと一人で部屋に閉じこもっておりまして、ほとんど人と会う事もなく過ごしてきたようなんですよ。しかしある日の事、ふらりと一人の男が部屋を訪れまして、その子に向かってこう言ったのだそうです。――お前はこのままで良いと思っているのか? 自分はこんな所で終わりたくないだろう? もし良かったら俺と共に来ないか? そう言って男はその子の手を取り、そのまま外へ連れ出したそうなんです。最初は戸惑っていたその子も男の熱意に押されるように一緒に歩き出して、気付けば二人で手を繋いで街へと繰り出していました。そして二人は仲睦まじくデートをして、最後はキスを交わしてお別れをしたらしいですよ。えぇ、もちろん嘘じゃありませんよ。本当かどうかは知らないけど、そういう話があるんですよ。……ふーん。あぁ、そうですか。はい、分かりました。また何かあったら連絡くださいね。それでは失礼します。
はい、もしもし。こちら『万屋』です。ご用件は何でしょうか。……えっと、すみません。もう一度お願いできますか? あぁ、『幽霊屋敷』について聞きたいことがあるんですね。かしこまりました。少々お待ち下さい。……お待たせしました。それで、どんなことが知りたいんでしょう。
へぇ、あの館についての噂ですね。ああ、知っていますよ。
え?……さぁ、なんのことでしょうかね? お客さん、あそこには近づかないことですよ。
悪い噂ばかりでしょう? なんでも幽霊が出るとか、変な生き物がいるだとか、夜中にうめき声が聞こえるとか。
もちろん、全部デマですけどね! はっはっは! それにしても、よくご存知ですねぇ。
もしかして、あそこに行ったことがあるんですかね? おっと、いけない。
こんな話をしている場合じゃなかった。
それでは失礼します。
またのお越しをお待ちしておりますよ――。
――とまぁ、こういう感じだったんですよ。
まったく、あんなところに人が住んでいるなんて驚きましたよね。
え? どんな人が住んでいたのかって? それがですね、若い夫婦だって言うんですよ! お二人とも五十代だったんですけどね、旦那さんのほうが四十代のころに奥さんのほうと結婚しまして、それ以来ずっと二人で暮らしていたそうなんです。
あぁ……そういえば旦那さんのほうはちょっと前に亡くなりましたねぇ。確かガンとかいうヤツですよ。あっという間の出来事でしたよ。で、残された奥さんのほうはと言えば、一人ぼっちになってしまわれたわけじゃないですか。そりゃもちろん、ご近所の方がいろいろ面倒を見てあげようとしてくれたみたいなんですけれど、奥さんったらぜんぶ断わってしまったらしいんです。
それで結局、誰もいない家で一人暮らしをするようになって……あれ? じゃあその家に住んでいたのは何者なんでしょうね? やっぱり幽霊かなぁ? でも、それだとおかしいですよね。もし幽霊がいるんなら、そいつらの目的は一体なんなのかって話になるじゃないですか。
それに、仮に幽霊がいたとしても、その家の人間からすれば迷惑な存在になりますよね。勝手に住み着かれて、家財道具とか壊されたんじゃ堪ったもんじゃないですし。
あともう一つ疑問なのは、どうしてわざわざ人の家に上がり込むのかっていうことですかね。
これまた単純に考えれば、「そこにあったものが欲しかったから」ってことになりそうですけど、そうなると今度は別の問題が出てくるんですよ。
だって考えてみて下さいよ。普通は欲しいものがあったら、ちゃんとお店に行ってお金を払って買うものだと思うんです。なのに何故その人は不法侵入してまで他人の物を盗んでいったのかってことになるわけです。
泥棒の心理なんて考えたくもないですけど、そこまでいくとさすがに何か裏があるんじゃないかなって疑っちゃいますよね。……うん。なんか話が脱線しましたね。
つまり何が言いたいかというとですね、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』というライトノベルがあってですね……はい! 以上!! あー楽しかった。
ちなみに俺は妹萌えなのですが、お兄ちゃん属性持ちの友人によると、「お前みたいな奴のことをシスコンっていうんだよ!」とのこと。ふむ、なるほどね。
ではまた次回〜♪ ■解説という名の言い訳 えっとですね、今回はちょっとネタバレを含むのでご注意ください。
まずは「黒猫のパジャマ」