テラーノベル
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初めて出逢ったのは、春のある一幕だった。
花咲ける木の下で誰かに話しかけ、そして、かけられる。
「あの、これ。落としましたよ」
目が合った瞬間、目を見張った。
(うわ、こわ…ぜったい先輩じゃん、話しかけなきゃよかった…)
(え…チャラ…髪の色染めたって感じの茶色だし、めっちゃ危なそ… )
「あ、ありがとう、ございます…」
「い、いえ…」
落としたものを受け取って、受け取られて、頭を下げ合う。
そして、ふたりは、踵を返した。
(今のひと、こわかったー…)
(今の人、めっちゃヤバそうだったな…)
「「(ま、もう関わることはないんだろうし)」」
その時のふたりは、そう、思っていた。
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