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この世界には男性、女性の他にもう一つの性がある。それは、才能に優れたα、最も多い一般のβ、男性でも妊娠できて、3ヶ月に一回くる発情期のΩ。
僕はΩだった。でも親はαを願っていた。それは後継がΩなんて恥ずかしいという意味がわからない回答で家を追い出された。幸いにも学校は寮で衣食住は確保できた。
この学校は才能に溢れた人が沢山いる。僕は才能がない。ただ認められて欲しかった。存在意義を確かめたかった。
テストの解答が返って来る日。中学生の時は不動の一位だったけどどうなんだ。今回はあまり手応えがなかった。不安だ。
順位は二位だった。クラスのみんなには「すごい」「天才」などほめられたがそれが全部お節介のように聞こえた。
寮なので一人の時間はあまりない。大体部屋には二人〜三人なのだが僕の場合は二人だった。
そう、僕を抜かして一位が目の前にいるのだ。勉強の仕方を教えてもらいたい。どんどん吸収して生かせるだけ生かしたい。
陸「…えっとー、一ノ瀬さん?時間って空いてる?」
空「?、空いてるけど…」
陸「えっと、勉強方法を教えてもらいたくて…」
空「?…いいけど…じゃ部屋にもどって就寝時間まで詰めちゃおっか。」
陸「はい!」
空「〜で、〜〜〜なるからXはYから〜になって〜」
分かる。それならここは省略してもいいんじゃないかと思う。でも何故だ。なぜコイツは一位を取れたんだ。地頭?記憶力?才能?わからない。なんで…どうして…
空「………てる?……いてる…?」
陸「……ッ!ご、ごめん。少し考え込んじゃって…」
空「そうなの?大丈夫…?」
陸「うん……」
……。なんで今コイツの顔を見て安心した?少し揺らいだ。僕の中の心の暗闇に小さな事で灯火がついたみたいだ。話したい。
時計を見るとあと五分で就寝時間になるところだった。
陸「あっ…明日○時にここに集まる事って出来る?」
空「うん…」
陸「ありがとう…(?)」