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戦争の日
朝の霧は戦場を白く包み、空気は鉛のように重かった。ソ連は雪で濡れた地面に片膝をつき、息を整える。右目の眼帯越しでも、視界は鮮明だ。
――あいつはもうすぐそこにいる。
遠くでナチスの旗が揺れる。視線は逸らせない。
胸の奥で何かが煮えたぎる。愛情か憎悪か、もはや区別はつかない。
ソ連「……くそ、近づくな」
独り言を呟くが、足は前に進む。無意識のうちに、あいつに触れたい、傷つけたい、両方の思いが絡み合う。
戦闘開始の号令が響き、銃声と砲撃が混ざり合う。
ソ連は冷静に命令を出すが、視線はひたすらナチスに釘付けだ。
仲間の兵士たちは彼の狂気を理解している。誰も邪魔はしない。
ナチスが姿を現す。
ナチス「ソ連……お前、変わらずだな」
声は冷たく、少しの嘲笑を含む。
ソ連は答えない。足は自然とあいつに向かって動いていく。
銃弾が飛び交う中、互いに距離を詰める。
ナチスは戦術家としての顔を見せるが、ソ連の目には全て無意味に映る。
――どうでもいい。今、目の前の奴しか見えない。
ソ連「……どうせ、お前は俺に殺される」
ソ連の声が震える。怒りと悲しみと執着が混ざり合い、凶器のように鋭い。
ナチスが一歩後ずさる。
ナチス「……お前、まだ俺を見てるのか?」
ソ連「……殺しはしない。だが、一緒に死んでくれ」
その言葉は、戦闘の号令の音をもかき消すほど重かった。
ナチスは一瞬、立ち止まる。
それが、ソ連の狂気を増幅させる。
拳を握り、足を踏みしめ、呼吸が荒くなる。
胸の奥で何かが決壊する――愛情、執着、憎しみ、すべてが渦巻く。
戦いは始まった。互いに銃を構え、距離を取りつつも、目は離さない。
ソ連「動くな……くそ、動くなよ……!」
叫ぶ声は、命令ではなく懇願だった。
だがナチスは冷静だ。敵として、かつての友として、ただ目の前に立っている。
雪の上に血が滴る。銃弾、銃剣、投擲――戦場は狂気の舞台だ。
ソ連は感情を爆発させ、怒鳴り、泣き、同時にナチスを押し倒そうとする。
ソ連「あ……お前……!」
叫び声は空気を裂き、周囲の兵士たちも息を飲む。
ナチス「……もう、俺の名前を呼べ」
ナチスの瞳に、ソ連の狂気が映る。
ソ連「……なんで……なんでお前は……!」
涙を零しながら、ソ連は足元の雪を踏みしめる。怒りも悲しみも、すべてを戦闘に変える。
ナチスも躊躇う。攻撃をためらい、僅かに表情を歪める。
その瞬間、ソ連は拳でナチスの肩を押さえ、視線を強く突きつける。
ソ連「……早く……早く……言えよ、好きだって……!」
叫ぶ声は戦場の音をかき消す。
ナチスの表情は複雑だ。驚き、戸惑い、そして少しの後悔が交錯する。
だが口を開く前に、戦場の喧騒が二人を引き裂く。
雪と血と銃声の中で、二人の距離はまた一瞬で広がる。
ソ連は肩で息をし、膝をつき、拳を握る。
ソ連「……ダメだ、俺は……こんなにも……」
頭の中はナチスでいっぱいだ。理性も戦術も、もう何も機能していない。
唯一残ったのは、狂気の執着だけ。
戦闘は続くが、心の奥底で決定的な瞬間が近づいている。
ソ連「……やっぱり殺すなら……」
ソ連の目には、もはや戦争の終わりしか映らない。
そして、あいつを巻き込む覚悟も。
展開早すぎ……
あと一気に最終回まで放出します!
すいません(;_;)ではまた!
コメント
2件
今日だけで二シリーズ最終回まで行ってますね、、、ためおき放出にしてもかなり多い気がする、、、凄い