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➰🎀
百鳥壊綺
アピカQ⭐️❄️🎨_qdm
AttentionとSettingは第1話をご覧ください。
start
🍌side
翌朝。
menからLINEが来た。
『完全復活〜』7:34
『今日は行ける!!』7:35
良かった。
治ったらしい。
今日は、昨日とは違う。
menと登校できる。
朝のそんな楽しみが、
こんなにも重要だったなんて、な。
昨日の寂しさを思い出して、
小さく笑う。
🍌「さ、準備しよ!」
スマホを置いて、立ち上がる。
いつもと同じはずの朝。
顔を洗って、
制服に袖を通して、
髪を整えて。
——それだけなのに、
なんでだろう。
少しだけ、
いつもより時間をかけている自分に気づく。
🍌「……別に、変じゃないよな?」
誰に言うでもなく、
小さく呟く。
鏡の中の自分は、
いつもと同じ顔をしているのに、
どこか落ち着かない。
ネクタイを結び直して、
また直して。
結局、三回もやり直してから手を止めた。
🍌「……よし」
深呼吸ひとつ。
カバンを持って、家を出た。
ひんやりとした風が頬をなぞる。
そろそろ夏も終わりだなー、
と、そんなことを感じる。
しばらく待っていると、
遠くから声がした。
🐷「おーい!!!」
聞こえた声に、顔を上げる。
🐷「おはよ!」
🍌「大声出しすぎw」
🐷「悪ぃw」
🍌「昨日まで喉やってたんだよね?
元気ありすぎでしょw」
🐷「w」
🍌「遅刻だよ?」
🐷「5分だけ、な?」
🍌「いや5分も、だろ?w」
いつも通りのやり取り。
いつも通りの距離。
けれど、その“いつも通り”が、
今日は少しだけ遠く感じる。
——昨日のことが、
頭から離れない。
🐷「ほら行こうぜ!」
🍌「う、うん」
🍌「……ねえ、あの、さ」
一歩分、間を置いてから口を開いた。
🐷「ん?」
🍌「昨日のこと、覚えてる?」
🐷「昨日?」
menはきょとんとした顔でこちらを見た。
🐷「え、何看病してくれたやつ?」
🍌「あ、いや、……それもあるけど」
言いながら、少しだけ視線を落とす。
言うべきか、やめるべきか。
分かっている。
これを言えば、
ただの“いつも通り”には戻れないかもしれない。
でも——
🍌「……帰らないでって」
気づけば、口にしていた。
🍌「言ってたよ…?」
足が、止まる。
風が、二人の間を通り抜ける。
🐷「……は?//」
ゆっくりと向けられた視線。
驚きと、戸惑いと、
ほんの少しの緊張。
🐷「いや、ちょっと待って…?
俺そんなこと——」
🍌「…言ってた」
重ねるように、言った。
逃がしたくなかった。
あれを、
なかったことにされたくなかった。
🐷「……マジ、で?」
さっきよりも低い声。
目を逸らさないまま小さく頷く。
しばらくの沈黙。
menは、視線を落として、
何かを考えるように息を吐いた。
そして、
🐷「いやーはっず……//」
🍌「…え?」
🐷「おんりーが優しいから
母性感じちゃったのかもなw」
🍌「え、あ、…w」
🐷「ただの病人の戯言なんで、
まぁ、忘れてもらってw」
🍌「w……、
りょーかい、」
軽く笑う声。
けれどどこか、無理やりで。
(🍌「……そっか、そうだよね」)
それ以上、踏み込めなかった。
踏み込めば、壊れてしまいそうで。
🐷side
えぇぇぇぇ??
俺寝言でそんなこと言ってたか!?
やばいやばいやばいやばい//
終わったぁああ。
キモすぎだろって……。
あー引かれたーーーー。
軽く笑って見せたものの、
心の中は羞恥心と後悔が渦巻いていた。
横目でおんりーを見てみるが、
少しだけ、 悲しそうな目をしていた。
幻滅された!?
不安に思って、声をかける。
🐷「おーい……?」
🍌「へ!?ん?なに?」
🐷「あ…いや、大丈夫か?」
🍌「え?大丈夫だよ?」
🐷「お、おう」
🍌「ほら遅れそう!行こ!」
そう言って走り出した。
🐷「あ、待て!」
🍌「追いつけるかなぁ……?って、」
🐷「よっ」
軽く手を挙げ、隣を走る。
🍌「……やっぱチートだよそれ」
🐷「足なら負けねぇよ」
今度はおんりーに追いかけられる構図になった。
🍌「待ってーー!!」
🐷「置いてくぞー」
🍌「遅れてんのは誰のせいだ!?」
🐷「俺の待ち合わせ遅刻」
🍌「分かってんのかよw」
🐷「あ、自覚はありますw」
同じ道。
同じ距離。
こうやって、 あの日も走ったな。
入学式の日を思い出す。
あの日、 ぶつかった曲がり角。
あそこが、
待ち合わせの場所になったんだよなぁ……。
過去の思い出を回想していると、
おんりーが顔を真っ赤にして走ってきた。
🍌「……っはぁ、はぁ」
🐷「セーフ、だな!」
🍌「う、うん!」
あの日もこうやって、
門の前で笑ったっけ。
あの日の思い出が、
夏の風に吹かれていた。
それからの日々は、
何も変わらないようで、
少しずつ変わっていった。
他愛のない会話。
くだらないことで笑う時間。
全部、今までと同じはずなのに——
ふとした瞬間に、沈黙が落ちる。
視線が合っても、 すぐ逸らされる…気がする。
——でも。
好きなのは、俺だけ。
そう思っていたあの頃より、
関係は前進したように思える。
いつか、ちゃんと聞く。
俺への気持ち。
ずっと片想いだと思ってたけど、
———案外そうじゃないのかも。
そんな淡い期待を抱きながら、
おんりーと時間を共にした。
🍌side
気づけば、 蝉の声は聞こえなくなっていた。
代わりに、窓から入り込む風が、
少しだけ冷たい。
「……もう秋だよ!?」
「入学してから早かったよなぁー」
「それなぁ?」
誰かの声に、
教室のあちこちから同意の声が上がる。
季節は、あっという間に移り変わっていく。
俺の気持ちなんて、 置き去りにするみたいに。
menと、何にも進展なかったなぁ。
今年。
告白する勇気なんて、
ないよ……。
来年は!
来年こそは!
なんてことを意気込んでいると、
先生「よーし、席つけー」
担任の声が教室に響いた。
🍌「なんだろ?」
🐷「さぁ?」
あ。 言ってなかったけど、
今ね、menと隣の席なんだ。
くじ運が良かった……!
だから、
最近は、 ずっとmenといるかも…。
これは、進展?
いや、ただの偶然か…。
ざわついていた空気が、
ゆるやかに落ち着いていく。
「せんせー、何すんの?」
「なんかあったっけ?」
先生「おいおい、忘れてないか?」
先生が、少し楽しそうに微笑む。
「あ」
「え?」
「あぁ!!」
「えなになに!?」
先生「そろそろ学園祭の準備、始めるぞ」
その一言で、空気が一変した。
「え、もうそんな時期!?」
「神イベント来たぁ!!!!」
「なにやる!?なにやる!?」
一気に広がるざわめき。
先生「静かにしろっ!
……まずは案出しからな」
そう注意する先生の声も、
どこか楽しそうだ。
「何やるか決めようぜ!」
その瞬間、教室中から声が上がる。
「お化け屋敷!」
「脱出ゲームとか…?」
「カジノ?」
「なんだそれ」
次々に飛び交う案。
そんな中、 数人の女子が前に立った。
ふと視線を上げる。
🐷「なんだなんだ」
🍌「……?」
女子「皆の者!聞け!」
「お、おう……?」
「お前らどうした?」
戸惑いの声が上がる。
女子「忘れていないかい?」
「『メイド喫茶』の存在をッ!!!!」
一瞬、沈黙。
次の瞬間、
「うわぁああ!!」
「その手があった!」
「うわぁ……」
「女子の皆さんでどうぞ」
「はぁあ!?」
一気に盛り上がる話し合い。
🐷「あー……メイドねぇ、」
🍌「menメイドやったら?」
🐷「死んでもやりたくねぇw」
隣のmenと顔を見合わせて、
苦笑い。
「まぁ……俺らネタ枠?」
「1-1として、な?」
「やらないわけにはいかないか、」
「ね、でしょ!?」
🐷「なんだよネタ枠ってw」
「うるせーなw」
「こまけーことは、気にすんな!」
「やろーぜ!!」
男子が、首を縦に振った。
「じゃあ……?」
「そだな」
「うん」
全員が顔を見合わせる。
『決まりーーーーー!!!! 』
女子たちの掛け声と共に、
「っしゃあぁぁ!!」
「やってやんぜ!」
さらに空気が弾けた。
「じゃあ役割決めよー!」
どんどんと会話が進んでいく。
🍌「あっさり決まったね」
🐷「決まったな」
🍌「menがメイドかぁ……w」
🐷「いや言ってねぇよ??」
🍌「えー見たいなぁ」
🐷「親友を売るのか?」
🍌「別に売れるぜ☆」
🐷「やめろ?w」
🍌「まぁ、さすがになw」
裏方がいいよな、
なんて話をしていると、
「私メイドやりたい!」
「え、ずる!私も!」
女子たちが一斉に立候補する中、
「男子どうすんの?」
誰かがそう言った。
「キッチン?」
「裏方じゃね?」
そんな中、
「……男子もメイドやんなよーw」
軽いノリの一言。
男子が一斉に否定する。
「いやイタいってw」
「足太いしよぉw」
「体ゴツいしなぁw」
教室に笑いが広がる。
——その瞬間。
「あ」
誰かが、小さく声を漏らした。
空気が、一瞬止まる。
そして、 視線が、
一斉にある一点へ向いた。
「あー……」
「確かに」
「いや、いけるわ」
きょとんとした顔で周りを見る。
全員から、見られてる……?
🍌「……………へ?」
え??
いや無理無理無理無理。
え?
嘘でしょ?
え?
「いや、音璃いけるくね?」
「それな?」
「似合いそうなんだけどw」
一気にざわつくクラス。
🍌「え、ちょっと待って!
いや無理無理//」
否定するけれど、
「いや絶対似合うって!」
「見たいんだけど!」
声は止まらない。
🍌「ちょ、men——」
そう、助けを求めるように隣を見ると、
腕に顔を埋めて、
爆笑していた。
🐷「……っふ、、w」
🍌「ちょ、おい!!」
🐷「フラグ回収、ってか?w」
🍌「……売るよ?」
🐷「それはやめて?」
すると、
🐷「……あ」
急に、menが眉をひそめた。
🐷side
あ……、待てよ?
気付いてしまった。
おんりーがメイドをするということは……?
メイド服着るってことか……。
胸の奥が、ざわつく。
理由なんて、分かっている。
見せたくねぇな……、 他のやつに。
そんな感情が、先に出た。
嫉妬心。
分かってる。
おんりーは、俺のじゃない。
でもさぁ……、
もやもやするんだよなぁ……。
🐷「……あー」
気づけば、口を開いていた。
🐷「じゃあさ」
教室の視線が、今度はmenに向く。
🐷「メイドと執事、とか…どうよ」
これなら、
おんりーが変なやつに絡まれないか、
近くで見てられる。
我ながら良い提案をしたな、
と鼻を高くしていると、
「え、なにそれ最高じゃん!?」
「冥人くん執事やんの!?!?」
女子の歓声が爆発した。
「やばい見たい!!」
「絶対かっこいいじゃん!!」
一気に流れが変わる。
おんりーへの視線も、少しだけ分散した。
🍌「……は?」
戸惑うおんりーの横で、
menは目を逸らしたまま言う。
🐷「別に。メイドだけじゃバランス悪いだろ?」
🍌「なに……?執事に憧れてんの?」
🐷「ちげーよ!w ガチトーンで引くなよw」
🍌「ごめんってw」
それっぽい理由。
でも、本当は違う。
——近くにいたい。
——目の届くところに。
それだけだった。
「じゃあ決まりじゃん?」
クラスの誰かが言った。
「女子と音璃くんはメイドで、
男子(音璃は除く)は執事!」
🍌「もー、なんでよぉ……」
🐷「w」
「うわ最高すぎる!!」
「目の保養〜」
拍手と歓声が広がる。
おんりーは、状況を受け入れたくない一心で、
頭を抱えていた。
その横で、
ほんの一瞬だけ、
おんりーの方を見た。
目が合う。
🍌「バカにすんなよ?」
🐷「いや似合いそうよ?」
🍌「……マジ?」
🐷「意外に、マジ」
🍌「menが言うなら……」
なんとか、納得はしたようだった。
「デザイン案募集しまーす!!」
「あ、あんた確か美術部だよね?」
「え、まぁ、」
「頼める?」
「……もちろん!」
「じゃ、1週間後とか?」
「おっけー!」
事務的な会話が始まる。
「じゃあ、次の時間で、
採寸といきますか!」
「りょ〜」
「楽しみー!!」
その「採寸」と言う言葉に、
今度はおんりーが眉をひそめる。
🐷「ん?どした?」
🍌「あ、いや……」
🐷「あ、もしかして」
🍌「あー言うな言うな//!」
🐷「昔っからだよな、それ」
🍌「苦手なんだもん!」
そう。
この男おんりーは、
———くすぐったいのが苦手なのだ。
🍌「他の人に触られるってことでしょ?」
🐷「その言い方やめろw」
🍌「いや、だってさ〜ッ!」
笑いながら言い返す。
でも、
その言葉の意味を、
ほんの一瞬だけ、考えてしまった。
『……他の人に、触られる』
おんりーが?
あーダメだ。
また、気にしてるよ。
さっきまで笑っていたはずなのに、
なぜか、少しだけ落ち着かなかった。
ダメだよな。
うん。
そういうのは、忘れよう。
うん。そうだ。
でも——
忘れようとするたびに、
逆に、意識してしまう。
———近くにいたい。
その気持ちだけが、
やけに、はっきりしていた。
計5827文字
次回こそは!!
採寸でイチャイチャさせますんで……!!
Next.→♡500
コメント
3件
書き方とかすべてがよっくて、、、!🍌🐷尊いすぎるし、、、 本当に神更新ありがとございます!!
読んでる時からニヤニヤが止まんない、、、 次回の採寸楽しみにしてます!