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2025年10月07日

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【注意事項】

これはnmmn作品(フィクション)です。

ご本人様とは一切関係ございません。

□sxxn

□赤水、水赤


※上記の内容は最低限の要素です。過度なネタバレを含む要素等は表記していないため、何でも大丈夫な方のみ閲覧してください。




なつくんの左手をとって、手のひらをすりすりなぞってみて、爪のまわりをちょっと引っ掻いてみて。

好き勝手触っていると、右手のスマホから目を離してなつくんはこさめの顔を覗き込んだ。

「こさ? それ楽しい?」

「たのしい」

「そぉ……」

再び視線はスマホに戻る。ソファーの上で膝枕みたいに密着しているので、なつくんの体温がわかりやすくてうれしい。安心する。好きな匂いに埋もれてるみたい。拒絶されないのも、嬉しい。

散々弄った手を自分の頭の上に乗せてみて、その重さが愛おしくて、思わずにやけた。

「うわ、」

「ニヤけてんの見えてっからな」

「え〜、なつくんのえっち」

わしゃわしゃ犬みたいに撫でられる。なつくんは元々パーソナルスペースが狭いけど、こういうとき、他のひとよりもっと内側に入れてもらえてる気がしてうれしい。

「……こさめはさぁ」

スマホにまた視線を移して言う。

「俺、のこと、好きなん」

多分、こさめの顔を見ないように。恥ずかしいとかっていうよりも、怖いんだと思う。自分の心の内側に他人を入れないように警戒する彼を知ってる。簡単に信用しないように。けれど、信用した人間を大切に大切にするなつくん。そういうところが、どうしようもなく好き。

「好きだよ」

ちょっとだけ照れくさかった。言わせんなよ、こんなこと。でも言ってあげる。言わないと離れていっちゃいそうな気がしたから。

「だいすき」

「……そ。」

さらさらの、セットされていない髪の毛。なつくんが俯く動きに合わせて耳から落ちる。

「あは、照れてんの」

下から見上げてるからバレバレだよ。顔真っ赤、うるうるの目。泣きそうなの? かわいい。愛おしい。

顔に手を伸ばすと、触れる前に掴まれて届かなかった。頬には届かなかったけど、なつくんの体温には届いて、それがくすぐったかった。

「……付き合いたい?」

こさめの「好き」は多分、そう言う意味での好きだけど。でもそう聞かれると分からなくて。

「こさめ、今まで付き合った人とかいなくて。付き合うってどういうことなのか、わかんない」

起き上がって座り直し、顔を覗き込んでみる。付き合いたいってことも、デートとか、よく分からない。どこからが恋で、何処までが友情なのかも。

なつくんは自信なさげに目を合わせてくれて、こさめの大好きな、優しくて落ち着いた声で教えてくれた。

「俺の特別と最優先が、いつもこさめになるってこと。」

なつくんの特別と最優先が、こさめに。

「じゃあ、付き合いたい」

こさめの言葉に、なつくんは笑った。これも、こさめの大好きな笑顔。笑った拍子にまつげが濡れていた。泣かないでよ。大切なひと、泣かないで。でもそれが嬉し涙なんだとしたら、嬉しい。弱くて自信のない、誰よりも優しいなつくん。心の内側に入れてもらえたことが嬉しくてうれしくて、愛おしくて。好きで。本当に、好きで。

「なつくんは?」

「……おれも」

好きって言えないとこ。付き合いたいって口にできないとこ。言ってよ、もう。こさめだって勇気出したんだからさ。

「俺も、好き」

「んふ。ふふふ、そっか」

「うわ……ニヤニヤすんな気持ち悪い」

「なつくんもかわいいとこあんじゃーん!」

「うるせ」

これ、付き合うってことでいいの? みたいな不安げな目を向けられた。聞く勇気ないんだろうな。かく言うこさめも言う勇気はなかったから、ちょっとだけ赤くなったその目に、唇を寄せてみせた。いいのか分からなかったけど、向き直ったとき、なつくんは照れたように笑ってて。安心させられたみたいでよかった。

「すきだよ。なつくんのこと、大好き」

「うん」

2回目は言ってくれなかった。でもあったかくて大好きな匂いに包まれたから、それだけで嬉しかった。

好きなひとの特別にしてもらえるなんて、こんな嬉しくて幸せなことがあってもいいのかな。幸せすぎて、明日こさめにだけ雨降ったりするかも。まあでも、もしそうなっても、なつくんとなら楽しめる気がした。


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