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朱音は神楽坂が瀕死の状態で倒れているのを見つめながら、涙を流していた。彼女の心は深い悲しみに包まれ、戦う力も、希望も、すべてが消え去ったかのようだった。

「無理だわ…」

朱音の声は絞り出すようなもので、彼女はその場に膝をついた。彼女はただ神楽坂の死を受け入れるしかないと思っていた。

その時、呪詛の王が再び動き始めた。黒い影が静かに動く中、彼は朱音に向かって歩み寄った。朱音はその影に気付き、驚きの表情を浮かべる。

「…あなた、まだ何か…?」

呪詛の王は、神楽坂のもとに立ち、手を彼に伸ばした。朱音はその行動に戸惑いながらも、ただ見守るしかなかった。

「…なぜ、神楽坂に手を…」

朱音は震える声で問いかけた。呪詛の王の顔には、冷酷な表情が戻っていたが、その眼差しには奇妙な決意が宿っていた。

「神楽坂のような強者は…サンドバッグとして使える。」

呪詛の王の言葉に朱音は驚愕し、見開いた。彼の意図は単なる破壊や殺戮ではないのかもしれない。冷徹な計算が含まれていた。

「…サンドバッグ?」

朱音は呟いた。呪詛の王が神楽坂を蘇生させる理由が、道具として使うためだと知り、怒りと共に複雑な感情が入り混じる。

呪詛の王は神楽坂の体に手を当て、呪力を注ぎ込む。神楽坂の体が微かに光り始め、その息が再び戻ってきた。彼の瞳がゆっくりと開き、意識が戻った瞬間、朱音はほっとした反面、呪詛の王の冷酷な意図に対する憤りも抱えていた。

「神楽坂、あなたは…?」

神楽坂はゆっくりと目を開け、意識が戻ったことを確認する。彼の視線が朱音に向けられ、彼女の顔には複雑な感情が浮かんでいた。

「…朱音、俺は…生きてるのか?」

神楽坂の問いに、朱音は頷いたが、その表情は硬かった。彼女は呪詛の王に向かって怒りを込めて言った。

「あなたは…本当に最低よ。人を…サンドバッグとして扱うなんて。」

呪詛の王は冷静に答えた。

「それが私の選択だ。強者は力を持って、私の戦いにおいてサンドバッグとして利用される。人間の命など、私にとっては道具に過ぎない。」

その言葉は冷酷でありながら、彼の心の奥にはどこかしらの複雑な感情が潜んでいるように感じられた。彼の言動は、人間の命を軽んじる一方で、その背後に隠された何かを感じさせた。

朱音は神楽坂が蘇生したことで、一時的に安堵したものの、呪詛の王の冷酷な選択に対する怒りは収まらなかった。彼女は神楽坂に近づき、彼の手を強く握りしめた。

「神楽坂、あなたが生きている限り、私は絶対に諦めないわ。どんなに呪詛の王が冷酷でも、私たちは…」

朱音の言葉には強い決意が込められていた。彼女は再び立ち上がり、呪詛の王に向かって毅然とした態度で挑んだ。

「あなたがどれだけ強者を利用しようとも、私たちはその道具にはならない。必ず、あなたを打倒してみせる。」

呪詛の王はその言葉に反応せず、ただ静かに立ち尽くしていた。彼の心の奥に潜む感情が何であれ、彼の選択は既に決まっていた。朱音と神楽坂の戦いは、これからさらに厳しいものとなるだろう。

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