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#悪役令嬢
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「――おい、まこと。お前に紹介したい御仁がいる」
翌朝、ダボに連れられて作業場へ向かうと、そこには仕立てのいい外套を着た、いかにも「わけあり」な身なりの老紳士が立っていた。
「彼が、今回の塀の修理の本当の依頼主、公爵家の最高執事さんだ。お前の漆喰の腕前と、何よりあの『葉っぱパンツ』から這い上がった度胸を気に入られてな……学園の施設管理の特別臨時職員として、お前を推薦したいらしい」
「えっ……学園に、俺が!?」
まことは目を見開いた。願ってもないチャンスだった。学園に入り込めれば、お昼の12時のシャッフルタイムに、現地で亜香里を直接サポートできる。
「喜んでお受けします!」
こうしてまことは、カビ臭いボロ服から、支給された少しはマシな「学園の用務員・作業着(茶色いリネン製)」へと着替え、貴族の聖域である王立学園へと潜入することに成功した。
そして迎えた、運命の翌日のお昼の12時。
キーン、コーン、カーン、コーン――。
学園の中庭でバケツと雑巾を持っていたまことの脳内に、再びあの冷酷な電子音が響く。
『――警告。お昼の12時を感知。第二シャッフルシーケンスを開始します。本日の陣形が決定しました』
エレノア(悪役令嬢)の肉体 ⇒ 中身:渡辺まこと(固定のため、入れ替わらず! まことは用務員の姿のまま)……ではなく、エレノアの肉体の中に入ったのは、なんと「本物のマリアの魂」!
マリア(ヒロイン)の肉体 ⇒ 中身:王太子ギルバート
ギルバート(王太子)の肉体 ⇒ 中身:亜香里
(本物のマリアの肉体にギルバートが入り、エレノアの肉体にマリアが入るという最悪の玉突き)
「おいおいおい、大混乱じゃねえか!!」
まことが中庭で叫んだその時、時計の針は12時25分。本来のゲームのシナリオである『校舎裏のいじめイベント』の発生時刻が、刻一刻と迫っていた。