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「……よし、行こう」
並んで座るらんちゃんの震える指先を、僕は自分の掌の中に包み込んだ。
事務所での数時間に及ぶ激しい議論。そして何より、若井と涼ちゃんの「元貴が一番大切にしたいものを、僕たちも一番大切にするよ」という力強い言葉が、僕の背中を押し、凝り固まっていた独占欲を新しい形へと昇華させてくれた。
隠し通すことが、必ずしも彼女を守ることにはならない。
それなら、僕の口から、僕の言葉で、彼女がどれだけ尊い存在かを世界に示せばいい。
「緊張してる? ……大丈夫。僕が隣にいるから」
僕たちは、インスタライブを再び立ち上げた。
昨日、騒ぎのきっかけになったあの場所。でも、今日カメラの向こうに映っているのは、一人じゃない。
「みんな、急な配信でごめん。……昨日、少し騒がせてしまったことについて、僕からちゃんと伝えたいことがあります」
画面の向こうで、コメントが滝のように流れていく。
僕は一度大きく息を吸い込み、横に座るらんちゃんの肩を抱き寄せた。カメラの画角に、初めて彼女の姿が収まる。
「彼女は、僕が5年前からずっと大切にしてきた人です。スタッフとして僕を支えてくれているパートナーであり、僕が心から愛している、かけがえのない恋人です」
言葉にした瞬間、不思議と心が軽くなった。
誰にも見せたくなかった。僕だけの場所に閉じ込めておきたかった。
でも、こうして彼女の存在を認めたことで、彼女は「疑惑の影」ではなく、僕の人生に欠かせない「光」として世界に定義されたんだ。
「彼女を傷つけるような言葉や、好奇の目には、僕が全力で盾になります。どうか、温かく見守ってくれたら嬉しいです」
カメラを止めた後、らんちゃんが堪えていた涙を溢れさせた。
僕は彼女を強く、壊れるほど強く抱きしめた。
公表したことで、これまで以上に守らなきゃいけないものは増えるだろう。けれど、もうコソコソと外を歩く必要はない。堂々と彼女の手を引いて、僕の愛する世界を一緒に歩いていける。
「……らんちゃん。もう、誰にも文句は言わせないからね」
僕の愛は、隠す段階から、世界に誇る段階へと進化したんだ。
これから始まる新しい章も、僕が君の騎士として、一番近くで書き記していく。
NEXT明日
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