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__いえもん side__
呆気に取られた2人が見つめ合う。そこだけ時間が止まったかのように動きがなくなっていた。
「ウパパロン…なんでここに……?」
ラテ、と呼ばれた少女が、絞り出すように言葉を発した。しかし、すぐに はっとして首を左右に振る。
ラテ「駄目…!今すぐ逃げて!じゃないとウパパロンが__」
男「そうのうのうと逃げられる訳には行かないんだよ」
彼女の必死の訴えは、ピシャリと遮られた。
男「ウパパロンも、なぜ逃げられた?あの村に売ったはず……」
男「……そこのやつのお陰か」
正解を見つけたとばかりに俺の方を見て細められた目は、その不機嫌な感情をあからさまに醸し出していた。余計なことをしてくれたとばかりに俺を睨む。
しかし、唐突にふっとその力を抜き、その代わりに哀れみの目を向けてきた。
男「そいつ__ウパパロンも、お前さんが今から助け出そうとしているこいつも、能力者だ。……知ってたか?」
どうやら俺が騙されてここにやってきたと勘違いしたらしい。見かけ上の同情と親切心を偽り語りかけているが、本当は自己的な仲間を作りたいだけなのを俺は知っている。
いえもん「知っている」
男に舐められないように、堂々と高らかに宣告する。
男「知ったうえでの行動か……」
いえもん「そうだが、何か?」
男「じゃあ交渉しよう……」
男「……お前と、この娘を交換しないか?」
__ウパパロン side__
は?、という感想がいえもんと重なる。
二人を交換?この村が、身内のラテや俺を欲しがる理由はまだ分かるが、よりにもよって部外者のいえもんを欲しがる理由が分からない。
ウパパロン「ッッせめて俺にしろ!俺とラテで交換。それでいいだろ…!!」
ラテの扱いを見るに、恐らく何かしらの動力のために能魔者が必要なのだろう。その動力源が必要なら、別にラテじゃなくても、いえもんじゃなくても、俺でもいいじゃないか。
これ以上、関係ない彼を巻き込みたくない。迷惑をかけっぱなしなのに。彼を奴らに引き渡すなどできるはずがない。
なのに……
いえもん「……分かった」
聞き間違えたかと思った。
いえもん「俺とラテっていう人を交換する。」
呼吸が止まった。彼の正気を疑う。
いえもん「もちろん、お前達は交換した後の2人には手を出さない。……それでいいんだろう?」
男は、ニヤリと気持ちの悪い笑顔を浮かべ、「それでいい」と返事した。
いえもん「じゃあ、まずはそっちからだ。彼女を解放させろ」
男「いや、それは無理だね。お前からだ」
ウパパロン「いや、ちょ……」
眼前の2人は、俺の言葉を聞かずに押し問答を始める。どちらが先か、しばらく口論が続いた後、しぶしぶ譲ったいえもんが先に相手に引き渡されることが決まった。
彼の足が前に踏み出される。段々と彼が遠くなっていく。俺はまるで進む時間が遅くなったかのように錯覚したが、事実を理解し始めた脳はそれどころではなく混乱の中に落とされる。
ウパパロン「…いえもんさん!!辞めてくださいまだ他の方法がきっと……」
男「うるッさいなぁ!!」
これまで俺の制止を無視し続けた男が、我慢しきれなかったように吠える。
男「これはあいつも同意している!なんせ自らの意思で俺たちにこき使われる人生を選択したんだからなww分かったなら余計な口を出すな_」
「ウパパロンさん」
いえもんに突然名前を呼ばれた。
その言葉が纏う空気の異常を感じて、身をこわばらせる。
「俺はもう大丈夫です。やり残したことはないので。……ぁ、でもめめさんとレイラーさんにはよろしく伝えといてください」
その言葉が纏う空気__それはなんの感情も込められていなかった。まるで催眠状態かのように平然と言葉が投げ出される。
その生気のなさにぞっとした。頭の中が激しく乱れ、ゴンゴンと何度も警鐘が鳴らされる。
喋りたいのに、彼と話したいのに声が出ない。喉元まで出かかった言葉が、ぐるぐると気管を巡る。
しかし、その間にも彼はゆっくりと男の元へ向かってしまう。ゆっくりと言っても、それは止まることを知らずに、確実に一歩いっぽ歩み出されていた。
彼の背中が少しずつ小さくなっていく……
__しかし、次の瞬間その背中は消え去っていた。
いいや、見えなくなった。
彼は地面を蹴って視界外に跳躍したのだ。通常の人体では考えられないほど高く、さっきまでの狭い坑道では頭をぶつけていただろう。
……ここは広場なので、その心配はなかったが。
そのまま男の頭上を飛び抜け、背後に着地する。一瞬の出来事で、男は後ろを振り向くのがほんの少し遅れた。
その刹那の間に、彼は男の両腕を掴み、背中へ回す。抵抗も虚しく、まるで針金のように簡単に曲げられた男の腕から、ナイフが取り上げられ、人がいない地面の上に放り投げられた。カランカランという固い音が空間内にこだまする。
いえもん「誰が奴隷になんかなるか。んなもんやだわww」
いえもん「俺達は自由に生きる。誰にも縛られないで。誰にも邪魔されないで」
いえもん「それが、俺の信条__」
はいってことでここで切ります。う〜ん眠い……(((
ラテさんについてはまた今度話します。話が思っていたよりも進まなかったので。
それじゃあ、またね!