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横浜デビルが横浜連合を撃破し、今まで様子見していたチームが一斉に横浜デビルの傘下に入ると申し出てきた。構成員は二千人を超えたそうだ。
「これからどうする?」
「七月に川崎を蹂躙し、八月はいよいよ首都東京への侵略を開始する計画です。総長、それでよろしいですか」
「蹂躙に侵略か。いい響きだ。よきにはからえ」
慎司たちは川崎との戦争の準備で忙しそうだ。六月の日曜、今日余は相川美紅たち四人に案内させて、噂の韓国発スイーツの猫プリンが食べられるカフェに向けて横浜の街を歩いている。たまにはこんな平和な休日もいいだろう。
余は猫が大好きだ。人間は何百万と殺したが、猫を殺したことはない。宮殿でも何十匹と猫を飼っていた。美紅から猫プリンというスイーツが流行していると聞いて、いても立ってもいられなくなった。
頭は甘いものを食べる気持ちでいっぱいで今日だけは誰ともケンカする気がなかったのに、トラブルが向こうからやってきた。
「ねえ、相川さんたちに無理やりつきあわせるのはやめると言ったよね?」
現れたのはセランティウスの妹の海瀬由香里。くるぶしまで隠れる長いスカートを履いている。真面目女は私服まで真面目だった。別にこいつは怖くないが、こいつに何かすると余に殺意を抱くセランティウスが出てくるから面倒だ。
「風紀を乱すなと言うから校内ではやめた。校外ならいいだろ?」
「校外ならいいなんて言ってない。それに私と話をしてるんだから、歩くのをやめたら?」
「余は猫プリンが食べたくてたまらないんだ。立ち止まっている暇などない」
「そのプリンの代金も相川さんたちに払わせるの?」
「払えなんて言ってない。おごってくれるとは言われたが」
「つまり恐喝ね」
「なんだと、コラ!」
思わずガラの悪い言葉が口から出てしまった。委員長は人を苛立たせる天才かもしれない。