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この垢は僕の旧垢です。 連載は現在の垢で引き続きしていきたいと思ってます。 なので現在の垢で再投稿という形になります。
破滅の使者
#1 地下洞生まれの鏖殺神Ⅰ
伏原芥と飯綱藍は塔の上に立っていた。
コンクリート造りの建物の上にたっている10メートル程の塔である。
伏原は細身の長躯に風を受け、緑と黒の髪を靡かせる。彼は夕陽が沈んでいく西の方向を指差しながら、銀髪サイドテールの飯綱にこう問いかけた。
「馬鹿なのかよ、アイツら。」
「うん、舐めてかかってきてる。馬鹿だ。」
伏原が指差していたのは夕陽ではなく、西からコソコソと隠れながらやってくる武装兵団だった。
それを見た隣の彼も、サイドテールを風に躍らせながら馬鹿だと言う。
『見つけましたか、飯綱さん』
飯綱と伏原のインカムから音声が流れ、飯綱は耳に手を当てた。
「あー、いたよ…いたけどさ、ホントに”標的”あれであってるの?精鋭って聞いてたのになんか弱そう…」
『まぁ…総合力的にあれが精鋭なんでしょう。芥が直々に行かなくても藍だけで事足りる任務なので。』
「おい、それ俺が来た意味ねぇじゃねぇか!寝させろよ!」
『基本的に2人はセットなので。お互いがいないと成り立たないじゃないですか。』
「芥くんマジレス嫌いだなぁ!悲しいなぁ!」
芥はセット扱いに反発するも、ものの数秒で論破される。
「あ、もういい?…この位置なら行けそう。」
『早く処分して芥の睡眠時間を作ってあげましょうか。』
「嬉しい♡」
「瑞浪ー、いくよー」
『どうぞー』
「シカトすんじゃねぇコラ」
飯綱はケースからライフルを取り出し、立射の構えをとった。
「ちょっと待て、俺やっぱ行きたい!殺らせて!」
「急になんでよ。」
「俺の睡眠時間とマウントとるため。俺らの方が強ぇからな!」
『子供ですか』
「まだ18だからギリセーフ!」
「俺的にはアウトだよ。同い年じゃん。」
『僕的にもアウトですね。』
「うっせぇ!」
伏原は塔から、飛び降りた。
10メートル程下のコンクリートブロックで受け身をとり、そのまま西の方へ駆け出して、また15メートル程のコンクリートを飛び降りた。
「芥、骨折ってない?大丈夫?」
『折るかよこんなので!』
飯綱がインカムに喋りかけ、伏原からの応答を確認した。
「もういいか、藍!」
『いいよ…好きに動いて、合わせる。』
「よし…!行くぞオラァ!!」
伏原は勢いそのままに敵兵団の目の前に駆け込んでいった。
to be continue…