第1章 「偽りの好意」その6
相瀬の声が、一瞬時間を止めたようだった。楽しげだった姫乃と白石の声が消え、静寂が廊下と階段を支配する。支配が及ばない外からの声が、余計に静けさを強調していた。
しんと静まり返る中、相瀬の階段を上がる足音がやけに大きく響く。
「……」
「っ……」
修介が反射で一歩壁に寄った。修介と香島の間に相瀬が割って入る形になる。
場所を、開けざるを得なかったのだ。反射で身体が動いてしまうほどに、相瀬の表情が険しかったから。
修介と香島の間に立った相瀬は、肩越しに階下を振り返った。
「……」
じっと見つめた――睨みつけた先には、姫乃がいる。
その目に込められているのは、猜疑(さいぎ)だ。
「……」
だがそんな視線に晒さているのに、姫乃はにこっと笑みを返していた。
(この状況で、どうして笑えるんだろう)
まだ姫乃は、香島を事故に見せかけて襲った犯人*********
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