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5話です!ありがとうございます!!
さのじん、幸せになって〜(お前次第だよ)。
ということで(?)、今回もたのしんでいただけるとうれしいです。
風呂から上がると、仁人はソファで眠っていた。
そりゃあそうだよな、半日くらい俺のために動いてくれて……。
風呂の前に伝えたとおり、皿は洗わずにいてくれたみたいでよかった。
少しでも楽をしてほしい一心でのことだったが、仁人なら俺を待たずに洗ってしまうかもしれないと思い、急いで上がったのだ。
心地よさそうな寝顔を微笑ましく眺めながら皿を洗い終え、シンクを洗い、仁人の元へ向かう。
ソファに凭れるようにラグの上に座り、脇腹をぽんぽんと軽く叩く。
膝を抱え込んで小さく眠る姿に庇護欲を掻き立てられ、呟いたありがとうの言葉で彼の心を抱きしめられたらいいな、と思った。
その後2分ほどの寝顔撮影会を終えて、そろそろ起こすかと肩を揺すって声を掛けた。
「吉田さーん。じんと、起きないの?」
「ん……」
「じんちゃん」
「は、やと…?」
「ん、はやとだよ。おはようじんちゃん」
長い時間寝ていたはずはないのだが、かなり疲れていたのか、なかなか寝起きが悪いようだ。
「ん……はやと、」
「、え」
薄らに目を開いた仁人は、肩に置いた俺の手を掴んで自分の頭へと誘導した。
え、撫でろって…?
ふわふわ の髪が指先に触れる感覚にどきどきして、なにも悪くないのに、なにかいけないことをしているかのような感覚に陥る。
しかし俺がこんな特大デレに抗える筈もなく。
頭を優しく撫でると、仁人はやわらかくはにかんだ。
かわいーーーーー!
こんな赤ちゃんみたいな仁人、いつぶりだろう。
「じんちゃん、ごめんけど起きてくんない、?お風呂も歯磨きもまだでしょ」
このまま寝かせてあげたい気持ちは山々だけど、さすがにソファで夜を越すのはよくない。
「ん〜〜、むりぃ…」
「ちょ、まじで汚いから!風呂は入って!!」
「つれてって、っ」
え、なんで今日こんな甘えたなの、、、。
両手を広げて抱っこを強請る姿に悶える。
そんなことされたら明日から離れるの辛いって。
「はいはい、おいで」
赤ちゃんにするみたいに抱き上げると首に強く抱き着いてくる。
「途中で寝ちゃわないでよ?」
「んー、ねちゃう、いっしょ…」
「むりむり!荷造りあるし、いってきて?」
「むぅ」
「ほっぺたぷくぅしてもダメ!」
本当は荷造りなんてほとんどないけど、一緒になんて変な気を起こしてしまう気がして置いてきた。
リビングのソファに戻って頭を抱える。
「なんっであんなかわいいんだよあいつ、困るって、ほんとに……あ゛〜もう!!」
自分の気持ちには気づかない振りをした。
──────────────────────
「あれ、おかえり」
また脱衣所まで迎えに行かなければいけないと思っていたが、意外にも仁人はちゃんと歩いて出てきた。
風呂で目が覚めたのだろうか。
「……ね、はやと、もう寝る?」
「んや、もうちょっと起きてようと思ってたけど…」
「そ…、か。……いっしょに、寝ない、?」
「っえ」
「ぁ、や、ごめ、なんでもない笑」
さっきのが本音なら。
「仁人」
「なんでもないって、気にしないで、ほんと」
「一緒に寝る?」
「……!、ぅぇ…っい、いの、?」
「歯磨きは?」
「、した」
「ん、じゃ行こっか」
強引に手首を掴んで強引に寝室へ向かう。
昨日は入れなかった、仁人の聖域。
「やっ…ぱやめようよ、はずい」
うーん、たしかに大人が2人でシングルベッドは狭いだろうな。
でもまあここまで来たしさ。
ムキになってしまう自分がいる。
「こんなチャンス今日しかないよ、ほら、じんちゃん」
仁人の手を引いてベッドに誘導すると、だって、とか小さく抵抗しながらも布団に収まった。
「もうちょいそっち」
仁人を押しながら俺も寝転がると、仁人の顔が目の前にある。
なんとなく2人とも視線を逸らして、でも思うことは同じだった。
「……じんと」
「、ん、」
「ありがとうね」
「ん、」
「仁人と一緒にいて、なんかすごい安心したし楽しかった」
「……」
「明日からはまた、いつも通りメンバーとして、よろしくね」
「…………ん、」
小さく頷いたのを感じて軽く頭を撫でると、何も言わず擦り寄ってくる。
身体は向き合っていて、互いの顔は目の前にあるのに、視線はやっぱり絡まない。
だから。
この愛おしさも、心做しか目頭が熱くなったように感じたのも、仁人が小さく鼻をすする音も、全部、この暗闇に忘れ物した。