テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
海の紅月くらげさん
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
屋台が連なる道から少し外れた鳥居前。そこに到着した私は状況をすぐに把握した。
「で、武蔵。言いたいことはそれだけ?」
いつも優しい潤が武蔵先輩にわかりやすいくらいの作り笑いを向けている。おそらく原因は私を一人にしたことだろう。
「ゴミ捨てに行ってくるから、それまでましろんのことお願いねって言ったよね?」
「えっとぉー……」
まるで親に怒られている子どもの図。
「俺もはぐれちまったから……悪かった」
歩くんが申し訳なさそうに潤と武蔵先輩の間に入った。
「無事に見つかってよかった。せんぱい」
隣にきて微笑む実里くんは少し元気がない。提灯があるとはいえ、ここは屋台がある場所とは違って少し暗いからかもしれない。
「武蔵、依子さんに連絡して」
「仰せのままに!」
武蔵先輩はさきほどのお叱りが効いたのか潤に素直に従い、足早に神社を出ていった。
「俺と実里は武蔵の家の車で帰るね。ましろんのことは和葉と歩が送るから」
「俺も用事あるから車乗ってく」
和葉の手にはわたあめの入ったビニール。もしかしたらみちよちゃんのとこに持っていくのかな。
「じゃあ、歩に任せてもいい?」
「俺はかまわねぇけど」
こちらを向いた歩くんが歯をみせて笑う。
「ましろ、いい?」
「お願いします」
そう答えると歩くんは嬉しそうに頷いた。