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斎藤匡一(さいとうきょういち)。御年35歳。職業は保険会社に勤めているごく普通な会社員。結婚はしておらず独身。家族からは「早めに結婚して子を産んで安心させて」と言われている。そんな彼は子供の頃の夢なんて覚えていなかった。
とある夏の日。斎藤は中学校のときにクラスで埋めたタイムカプセルを掘りにクラスの同級生が通っていた水浜中学校(すいひんちゅうがっこう)に集まった。斎藤は小・中で仲良くしていた木下光平(きのしたこうへい)と共に全員が来るのを待っていた。現在、この中学校は廃校となっており、来年には解体工事が行われるということだったのでタイムカプセルを掘り起こすことになった。段々と日差しが強くなってきたため斎藤と木下は校舎内を見て涼もうということとなった。教室やそれぞれ教科の部屋を見ていくに連れ2人は懐かしく思えてきた。30分ほど見て回った後、電話で校庭に集まってという合図を聞いたため、2人は校庭に戻った。
「お!集まったな」どうやら中学校時代に生徒会長をやっていた高橋(たかはし)が仕切っているらしい。長髪に茶色い髪はチャラくなり、中学の頃の印象とは違っていた。
「うわ〜楽しみだな〜俺、中学ん頃なんて書いたんだろうな〜」木下が言った。
そんな中、斎藤は辺りを見渡しなにやら違和感を感じていた。
「って…千優(ちひろ)は?」斎藤はそういった。彼の初恋相手である永原千優(ながはら)の姿がなかったのだ。
「さあな?用でもあるんじゃないか?」高橋が言った。
「連絡は?」
「繋がらなかったんだよそれが」
斎藤はなぜか怖くなってきた。なぜだろうか。その理由はわからない。千優とは小学校の頃から同じで、小3の時斎藤とクラスが一緒になりその頃、初めて恋をしたのだ。話しかけるに連れ彼女と仲良くなった。しかし、それからはクラスが一緒にならず次第に気持ちは遠のいていった。そんなか中3の頃、クラスが一緒になりついに斎藤は告白をした。しかし、千優は好きな人が居ると斎藤を振った。告白した際、なにかものを渡したがそれもいらないと言われた。それから2人はあまり話さなくなってしまった。でも斎藤は今でも彼女のことが忘れられなかった。
「…」斎藤は何も言えなかった。
それから高橋の合図でタイムカプセルの掘り起こしが開始した。時間はかかるが次第にタイムカプセルが掘り起こされていく。約15分ほど経ち、斎藤は自分のタイムカプセルを見つけることができた。
「おお!なんだろな〜中身!」木下は自分のタイムカプセルを持って斎藤のもとにやって来た。
「さあ」斎藤は言った。
せーのの合図で2人は自分のタイムカプセルを開けた。するとそこには手紙と何やら物が入っていた。
「おお!これ、俺が当時好きだったアイドルの写真集じゃねえか!!」木下のタイムカプセルの中にはピンク色の衣装に身を包んだアイドルの写真集があった。
「あ〜これライブ写真なんだな〜」と木下。
「おい。お前、変なこと考えんなよ」
「wwごめんよ〜」
「そういえば、手紙は?」
斎藤は木下に言った。
「おっ!そうだったそうだった」そう木下は嬉しそうに言う。そして、木下は手紙を開いた。
「え〜っと…未来の俺へ。そんときも丘花愛虹実(おかばなめぐみ)が好きですか?愛虹実ちゃんはライブハウスから規模がデカくなってますか?気になることたっくさんあるけど俺はいつか、愛虹実ちゃんのライブを手伝いする、ライブのスタッフになりたいです!でも一番は元気でいること!未来の俺、元気で!」
「どんだけ好きなんだよw」
「だよな〜しかも俺、今郵便局員だしw」
そんな事を言いながら次は斎藤のタイムカプセルを開けた。
「お〜なんだなんだ〜!」
その中には小さな戦隊モノの仮面のついた指輪に枯れた四本のガーベラ、そして手紙が入っていた。
手紙には「ヒーローになりたい僕へ」と書かれていた。