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誰にも必要とされない日々に、「楽しさ」なんて言うものはなかった。
毎日、毎日、落ち込み、泣く。
私は何回、「泣く」と言っただろう。
でも、それほどまでに悲しいのは事実だ。
毎日襲う重く、暗く、地獄の塊のようなものは、泣いても泣いても、流しきれない。
最初は、嫌悪感が私を取り巻いていたけれど、でも今は、悲しみが私を襲う。
「もういっそ、友達になんてならないほうが良かったのかな」
思ってもいないことを事実にしたくて、小さく声にして呟いた。
でも、1人が怖い私に、「インキャ」と言う存在に当てはまりたくない私は、誰かと一緒にいたかった。
だから、おしゃれで、周りの目を引くすずを選んだ。
私の、駒にしていたんだ。
でも、現実から逃げたくて、「友達」の型に無理矢理でも当てはめた。
きっと、すずは知ってたんだろうな。私の思い、全部。
私は、下鴨一花にだけ、全部を話していた。
愚痴も、悪口も。もちろん、学校のことだけ、だけど。
一花は、私とみさき、すずを繋げてくれた、糸だった。
それが本当の絆じゃないことはわかってる。でも、繋いでくれた。
みさきと仲が良かった岩田彩乃とも私は良く話すようになった。
すごく、嬉しかった。みんなが私を受け入れてくれた。
「なのは!」と、私の名を呼ぶ4人は笑顔一色だった。
でも、私だけは違った。
みさきが、全員お揃いだよと言って買ってきた鉛筆キャップだってそうだ。
私は、「友達」じゃないからいらない、とは言えず、笑顔で受け取り、捨てた。
最低だね、私。
自分から、繋がれていた糸を切り続けた。
それを決定的に壊したのが、長谷川瑠璃だった。
瑠璃は嫌われていた。
だから、誰か、隣に欲しかったんだと思う。
1人にならないために。
私と同じ。
怖かったんだ。「孤独」が。
だから瑠璃は、人気者の一花を選んだ。
私たちの糸の繋いでくれた一花は誰にでも優しかった。
瑠璃に対しても、そうだった。
だから瑠璃は、一花と仲の良かったみさき、すず、彩乃、私にも、「仲良くなろう」と言ってきたのだ。
私たちは逆らえなかった。
瑠璃が嫌いでも、ニコニコ笑えば、嫌われないし、いじめられない。
だから私はこの日初めて決定的な嘘をついた。
6ヶ月くらいたった頃だろうか。
一花が、瑠璃をうらぎったのは。
授業中、瑠璃から一花以外の4人に手紙が回ってきた。
その手紙には、「一花から、昼休み中庭に来て、だって。」
そう、書かれていた。この時瑠璃は、知らなかっただろう。自分がみんなに嫌われている、なんて。
「あんたみたいな自惚れてる奴に付き合わされるこっちは面倒なんだよ。」
一花はそう吐き捨てるように言った。
いつも帰り道に一花がいつも瑠璃に対して言っていた言葉だった。
「今まで、ずっと一緒にいたくせに、今更?」
瑠璃は、背筋が冷えるような目で一花を睨み、棘のある声でそう言った。
一花は、怯まず告げた。
「あんたの圧が強かったからだよ!それに私はあんたのこと友達なんて思ってなかったから!」
その言葉は、瑠璃の心を深く傷つけた。
あの時瑠璃は、今の私と同じ気持ちだったんだろうか。
きっと、瑠璃にとって、私たちはかけがえのない友達だったのかもしれない。
そう考えると、一花は、私にとってのすずやみさきと同じ…なのかな。
じゃあ、今みさきとすずが私を嫌っているから、一花も、私のこと嫌いなのかな。
一花と仲のいい彩乃も?
すずやみさきと仲のいい福原みいさ、中嶋ここなも?
最終的に私は瑠璃を一花よりも傷つけた。
「友達気取りとか、迷惑だから!」
「生きてる意味ないよ、あんたなんか。」
「死ねば?」
きっと、その場にいた一花、すず、彩乃、みさきは、私に合わせて次々と傷つく言葉を発したんだろう。
私、瑠璃と一緒じゃん。
「友達」でいる期間が長かったからとは言え、瑠璃と同じだ。
それに、瑠璃は、喧嘩したあとも、話しかけようとしてくれたけど、私はちがう。
ただ、被害者妄想膨らましただけ。
瑠璃より最低じゃん、私。
だから全部失った。
友達も、クラスメイトも、信用も、「友達」なんて言う嘘も、全部。
桃や凛とだって、いつかそうなってしまうのかな。
一人。また一人と、周り現人が消えていく。
なんで、こうなっちゃったんだろうと、考え続けてしまう。
何も、考えたくないのに。
「ごめん」。
その一言が言えれば、こんなに仲が拗れることはなかっただろう。
素直じゃない私には、いえるはずもないけれど。