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待ち合わせ場所は、駅前のロータリー。
時間より早く着いたのに、すでに先輩はいて、スマホをいじりながら風に髪を揺らしてた。
(また、かっこつけて…)
そう思ったけど、胸の奥はうるさくて仕方ない。
「――よっ、ナマエ」
出水先輩が、手を軽く振って現れる。
『……って、早いじゃん。まだ5分前だよ』
「ナマエが誘ってくれたんだから、遅れたら失礼でしょー?」
『へえ、意外と真面目なんだ』
「ひどくない? 一応これでも先輩だよー?」
ナマエは笑いながら横に並ぶ。その距離が、少し近い。
でも出水は、何も言わない。
くすっと笑う声。
それだけで、ナマエの頬はほんの少し熱を持った。
モールの入り口に入ると、冷房がひやりと肌を撫でた。
「とりあえずさ、服見る?」
『…うん。ついでに先輩のコーディネート、してあげよっか?』
「え、俺の?」
『似合いそうなの選んであげる。女子目線で』
「じゃあ、期待してます、ナマエ様〜」
『様はやめろ、様は』
服屋の鏡の前。
出水が試着室から出てきて、ナマエが選んだTシャツを着てくれる。
「…どう?似合ってる?」
『……うわ、なんか、腹立つ』
「え?なんで!?」
『似合いすぎてムカつく。ていうか、さわやか彼氏感出てる』
「彼氏……?」
一瞬、沈黙。
しまった、って思ったけど、先輩はただ笑って、
「なら、彼女のナマエちゃんも見せてよ?」
『は?却下。“まだ“彼女じゃないです〜』
「えー、ずるくない?俺だけ着せておいて?」
『じゃあ、先輩が選んで』
「おっけー。じゃ、似合いそうなの見つけるからちょっと待って」