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嫉妬はそのまま、底の見えない深い自己嫌悪へと形を変えた。自分のような者が、あんなに美しい人を独占しようだなんて、手元に置いておきたいだなんて。そんな望みを抱くこと自体、おこがましいにもほどがある。彼女は、もっと広い、眩しい世界で愛されるべき存在なのだ。
ふと、白石さんと目が合った気がした。彼女が僕を見つけ、その頬をわずかに赤らめて微笑んだ。だが、その笑顔さえも、今の僕には残酷なまでに眩しすぎた。 僕たちは今、同じ地面の上に立っているはずなのに。 僕と彼女の間には、決して超えられない「住む世界の違い」という、深くて暗い断絶が横たわっていた。
「休憩入ります! 次の撮影は十六時からです!」
美咲の鋭い声が、広場を支配していた熱狂に区切りをつけた。
白石さんは、美咲から手渡された大きなパーカーを羽織り、その神々しい「女神」の姿を布の下へと隠した。
美咲とともに人混みを避けるようにして去っていく彼女の後ろ姿を、僕はただ、遠い世界を眺めるような心地で見送った。多くの視線を独占していた彼女がいなくなった広場には、祭りの後のような虚脱感と、逃げ場のない真夏の湿った熱気だけが取り残されていた。
#ワンナイトラブ