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kaede🍁
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篝火

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地図を頼りに半日ほど歩くと、大きな城壁が見えてきた。
「着いた……!」
最初の街よりもずっと賑やかだ。
露店が並び、冒険者らしい人たちが武器を背負って行き交っている。
「まずは準備だね。」
阿部は武器屋へ向かった。
今まで使っていた初心者用の杖を見せると、店主はすぐに頷く。
魔力が通りやすいという木の杖。
少し値段は高かったが、今の所持金なら買える。
「これください。」
続いて防具屋へ。
革のブーツ。
魔法使い用のローブ。
腕を守る魔力を帯びた腕輪。
「これで少しは安心かな。」
最後に道具屋へ寄る。
「回復草を十個。」
「魔力回復の薬草も十個ください。」
店員が笑顔で袋を差し出した。
「毎度ありがとうございます。」
阿部は満足そうに荷物を確認する。
「これで準備完了。」
___________
しかし。
「仲間ってどこにいるんだろう。」
阿部は通りを歩いていた冒険者らしき男性へ尋ねる。
「すみません。」
「仲間を探してるんですけど。」
男性は不思議そうな顔をした。
「新人さん?」
「はい。」
「だったら酒場だよ。」
「酒場?」
「みんな依頼待ちや仲間探しは酒場でする。」
「ありがとうございます!」
阿部は急いで酒場へ向かった。
___________
酒場の中は思ったより静かだった。
昼間だからか、人もまばら。
阿部は一番端の席へ座る。
「待ってればいいのかな。」
ジュースを注文し、のんびり待つ。
十分。
二十分。
三十分。
「……来ない。」
その時だった。
「もしかして。」
後ろから声がした。
「君も転生組?」
聞き覚えのある声。
阿部が振り向く。
「……ふっか!?」
そこに立っていたのは深澤だった。
白を基調とした法衣。
手には長い杖。
「あべちゃん!」
「本当にあべちゃんだ!」
二人は思わず立ち上がる。
「何でここに!?」
「俺も聞きたい!」
深澤は苦笑しながら椅子へ座った。
「目が覚めたらさ。」
「天使がいて。」
阿部は思わず身を乗り出す。
「羽生えてた?」
「生えてた。」
「適当だった?」
「めちゃくちゃ適当。」
「名前勝手に決められた?」
「……え?」
深澤は驚いた。
「俺、『色々柔らかそうだからふっか』って決められた。」
阿部は思わず吹き出した。
「一緒だ!」
「俺なんて『女の子だからあべちゃんね』って。」
二人は顔を見合わせ、大笑いした。
「やっぱり同じ天使だ。」
笑いが落ち着くと、深澤はため息をついた。
「俺さ。」
「職業、僧侶。」
「僧侶?」
「回復しかできない。」
「攻撃魔法ほとんど覚えないし。」
「一人でレベル上げが本当に大変。」
阿部は納得した。
「確かに。」
「俺は攻撃魔法いっぱい覚えたから。」
「レベル三十。」
「え!?」
深澤は思わず立ち上がる。
「三十!?」
「そんな上がってるの!?」
「運良く回復する泉見つけて。」
「ずっとそこでレベル上げしてた。」
深澤は額へ手を当てた。
「そりゃ勝てないわ。」
「俺まだ十五だもん。」
「じゃあ。」
阿部は笑顔で手を差し出す。
「一緒に旅しよう。」
「俺が攻撃する。」
「ふっかは回復お願い。」
深澤はその手を見つめる。
そして安心したように笑った。
「助かった。」
「一人だと心細かったんだ。」
二人はしっかりと握手を交わす。
こうして。
賢者・あべちゃん。
僧侶・ふっか。
二人のパーティーが、異世界で正式に結成されたのだった。
___________
深澤が仲間になってから、旅は驚くほど安定した。
「前に出るよ。」
阿部が魔法で魔物の足を止める。
「任せて。」
深澤がすぐに回復魔法を唱える。
柔らかな光が阿部を包み、戦闘で受けた傷がみるみる癒えていく。
「ありがとう、ふっか!」
「遠慮しないで魔法使っていいから。」
「回復は俺に任せて。」
その一言があるだけで、阿部は安心して攻撃魔法を放つことができた。
強敵との戦いも、深澤の回復のおかげで危なげなく乗り越えていく。
気がつけば――
『レベルが35になりました。』
「もう35か。」
阿部は自分でも驚いていた。
深澤もレベルを重ね、以前よりずっと頼もしい僧侶になっている。
___________
「次の街まであと少しだね。」
街道を歩きながら、深澤が空を見上げる。
「この調子ならさ。」
「うん?」
「もう二人で魔王倒せちゃいそうじゃない?」
阿部は思わず笑ってしまった。
「いや、魔王舐めすぎ。」
「ほら、強くなりすぎるとそういうこと言いたくなるじゃん。」
「確かに。」
二人は笑いながら街道を歩いていた。
その時だった。
「……ん?」
阿部の視界の端に、人影が映る。
道の片隅。
大きな木の陰に、二人の青年が倒れていた。
「ふっか!」
「行こう!」
二人は慌てて駆け寄る。
一人は銀色の鎧を身にまとった剣士。
もう一人は身軽そうな武闘着姿の青年だった。
どちらも傷だらけで、息も弱々しい。
「大丈夫ですか!?」
阿部が肩を支える。
その顔を見た瞬間、思わず息を呑んだ。
「……めめ!?」
「照!?」
深澤も目を見開く。
倒れていたのは目黒と岩本だった。
「早く!」
阿部は杖を掲げる。
「ヒール!」
深澤も同時に魔法を唱える。
「ヒール!」
二つの回復魔法が重なり、優しい光が二人を包み込む。
しばらくすると、目黒がゆっくり目を開けた。
「……ここは?」
続いて岩本も目を覚ます。
「助かった……。」
二人はゆっくり起き上がる。
阿部は思わず笑顔になる。
「よかった。」
「無事で。」
しかし。
「えっと……。」
目黒が首を傾げた。
「二人とも、誰?」
その一言で、阿部と深澤は固まった。
「……え?」
「初めましてだよね?」
岩本も不思議そうに頷く。
「俺たち、どこかで会った?」
阿部は恐る恐る尋ねる。
「転生する前のこと、覚えてる?」
二人は顔を見合わせた。
「転生?」
「何それ。」
「気付いたらこの世界にいて。」
「戦士になってた。」
目黒が答える。
岩本も苦笑した。
「俺は武道家だった。」
「でも昔の記憶は全然ない。」
阿部と深澤は小さく顔を見合わせる。
(俺たちとは違う。)
少しだけ寂しかった。
それでも。
二人が無事だったことの方がずっと嬉しい。
阿部は二人の装備を見た。
傷だらけの鎧。
欠けた剣。
そして腰に付いた小さな札。
『Lv.10』
「十レベル……。」
深澤も小声で呟く。
「このままだと危ないね。」
阿部は静かに頷いた。
(この世界では。)
(俺たちが守ってあげたい。)
自然とそう思えた。
阿部は笑顔で手を差し出す。
「よかったら。」
「一緒に旅しませんか?」
目黒は少し考えてから笑う。
「助かる。」
「俺たちだけじゃ心細かったんだ。」
岩本も力強く頷いた。
「よろしく。」
四人は順番に握手を交わした。
戦士・めめ。
武道家・ひーくん。
僧侶・ふっか。
そして賢者・あべちゃん。
こうして四人のパーティーが結成され、新たな仲間とともに魔王討伐への旅は、さらに賑やかになっていくのだった。
コメント
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第2話、読み終わりました! ふっかと再会できて本当に良かった〜!「色々柔らかそうだからふっか」って名前の付け方、天使の適当さが笑える😂 でも2人でパーティー組めたときの安心感がすごく伝わってきて、こっちまでホッとしました。 めめと照も出てきて嬉しかったけど、記憶がないって切ない…。でも「俺たちが守ってあげたい」って思うあべちゃんの優しさに泣きそうになりました。 4人そろったところで、これからが楽しみです!