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わ〜見るの遅れちゃった…🥲寂しいのちょっと分かります…🙈歌詞が違和感なく織り込まれてるの上手すぎます!時々ある寂しさはいろはさんの作品で埋めさせてもらってます!今回もありがとうございます!
確かにめっちゃポスタ見る! 亮ちゃんの嫉妬可愛いねー🫰🏻 赤くなっていたのは何を話していたのかな?( ˶>ᴗ<˶)
たしかに主演ふたり表紙の雑誌めっちゃ出てるよね~😂 涼ちゃんの嫉妬がかわいい~! ProPoseの歌詞にちなんだ心情描写がまたよくて、、片想いとみせかけてこれはもっくんも涼ちゃんを意識してるパターンなのね(。-∀-)
「僕には貴方が必要なんだ」
なんて言葉で君が僕の世界に色をつけてしまったあの日から、いまだに僕は君に思いを告げれないままでいる。
「よっ、もっき〜」
「ちょっ、その呼び方やだって言ったじゃん!」
音楽番組の収録で元貴に声をかけてきたのは、今回披露する新曲を主題歌とする映画で、元貴と共演しているアイドルの男。懐かしい呼び方。昔自分がそう呼んだ時もたいそう嫌がられたっけ。男は元貴の嫌がる反応が楽しいらしく、会う度にわざとこの呼び方をしてくるらしい。先日この男が話題にのぼったときに、唇を尖らせて不満げにそのように話していたが、実際に目にするとなんとなく元貴もそれを楽しんでいるような、満更でもないようにみえてしまう。僕が昔、彼と早く距離を詰めたくて、内心ドキドキしながらそうやって呼んだ時はむっとした表情で「その呼び方なんかやだ!」なんて速攻拒否したくせに。そんな小さなことで嫉妬したって仕方がないことなのに、なんとなく気分が重たくなってしまう。
「紹介すんね。ふたりとは実際に会うのは初めてでしょ?ギターの若井と、キーボードの藤澤」
少し後ろに立っていた僕の腕をぐいと引いて、自分の真横にぴたりと立たせる。元貴の距離が近いのなんて慣れっこといえば慣れっこだけど、それでも心臓が高鳴ってしまうのはずっと変わらないままだ。
「初めまして〜藤澤涼架です〜。元貴がいつもお世話になってます」
先程の小さな胸の燻りなど微塵も表に出さないように気を遣いながら、僕はにこやかに彼の握手に応じる。あぁいいな。僕も彼のように振る舞えたら。最近、次々と発売される2人が表紙を飾る雑誌をふと思い出す。映画のミステリアスな雰囲気に寄せた妖艶なショットや、ダブル主演ということもあって距離の近いショットもたくさんあって、僕はいつもどこか重たい気持ちを抱えながらページをめくる。だったら見なきゃいいのにとも思うが、元貴がちょっと嬉しそうにメンバー分も渡してくれるのもあってついその表紙をめくってしまう。今回の雑誌はどこどこのページが良かったね、とかあの衣装よかった、とか伝えると少し誇らしげに、でも照れくさそうに笑う彼がかわいらしくて仕方ないのだ。そうでしょ、今回は小物も取り入れてて。この撮影の時はふまくんがね。そんな時、僕はやっぱりあの彼のことがいいなって思ってしまう。
当たり前だけど、僕と元貴のふたりだけで雑誌や番組の企画が組まれることは無い。必ず3人で。それはミセスとして当たり前で、別に僕もミセスの「藤澤涼架」として元貴とツーショットの特集が組まれてみたい訳では無いのだ。ミセスであるからこそ、元貴のすぐそばで彼の紡ぎ出す音楽を共に作り上げることの出来る立場にいるというのに、そうじゃなくて、全く別の誰かになって彼と対等に並べる立場になりたいだなんて、僕はどこまで強欲な人間なのだろうと自分でも呆れてしまう。
当たり前のように男は元貴の肩を抱き寄せて。元貴もそれを当然のように受け入れて。あの日から君に心をとらわれてしまっている僕は、ずきりとした心の痛みを上手く無視することができないでいる。
ねぇなんで。あの時僕の心に触れたりしたの。
あんなふうに君に魅せられたりしていなければ、今頃僕はもっとずっと息がしやすかったろうに。こんな醜い気持ちに自己嫌悪せずとも済んだろうに。
「ピアノやってたの?」
そう言われて頷くと、あの日の君は嬉しそうに笑った。ちょっと実家の犬を思い出して、つられるようにして笑ってしまったのを覚えている。
「そしたらさ、僕とバンド組んでくれないかな。キーボードできる人探してるんだ」
えっ、と僕はたじろぐ。フルートが好きな僕。いつかそれでステージに立って、大勢のお客さんの前で演奏したいと思っていた。それなのにキーボード?ピアノをやっていたとはいえ、キーボードの経験は無い。
「貴方がいいんだ、どうしても」
僕の躊躇いを見透かしたように、彼は僕の手をとって続ける。真っ直ぐな瞳が僕をとらえて離さない。
「僕の描いてるビジョンにぴったりで……その、つまり、僕には貴方が必要なんだ」
この言葉に見事誑かされてしまった僕は、その場で「うん、いいよ」なんて頷いてしまって。あの日から僕の人生は彼の手によって劇的に変えられてしまった。僕ひとりでは知りえなかった世界を、感覚を、景色を、彼は僕に与えてくれた。あの時僕の手をとった少年は、僕にとってかけがえのない存在になった。ねぇ、今でも僕は、君に必要な僕でいるんだろうか。
「涼ちゃん?」
元貴の声にはっとする。しまった、考え事をしていて少しぼーっとしていたらしい。彼は少し心配そうに眉尻をさげながらこちらの顔を覗き込んでいる。
「大丈夫?」
そうやって君は、またなんでもなく僕に触れて。きっと意識してるのは僕だけ。
「ごめんごめん、大丈夫だよ〜」
そうにこやかに答えれば、彼はほっとしたように笑みを浮かべる。そしてすぐにぱっ、と向こうをむいて
「それでね……」
とまた男の方に話を続ける。あぁ、やだな。僕に振り向いてくれない君も、そんな君にそれならなんであの時僕に声をかけたりしたんだなんて八つ当たり的な気持ちを抱いてしまう僕も。
僕は彼の肩を掴んでぐっとこちらに力強く引き寄せる。そのまま耳元に顔を寄せてそっと囁く。
「ほら、もう行かないと。遅れたら怒られちゃうでしょ」
ぱちりと目の前の男と視線があって、僕はにっこり笑う。ううん、別に、牽制ってつもりでもないんだけど。
「ごめん、俺たちそろそろ行かなきゃ」
そう慌てたように声を上げた元貴の耳が少し赤くなっているようにみえたのは、気のせいかもしれなかった。
※※※
映画公開記念ということで、曲も天国は関係ないんですが、ちらっとそれ関係のエピソードをもりこんだお話にしました〜
いやほんと、ふたりが表紙の雑誌たくさん出てて、もっくんも好きだけど涼ちゃんファンの私はちょっとさみしかったり……
映画は皆さんみにいきますか??内容もですが、天国聴けるのもたのしみですね〜