テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
注意喚起は1話にあり!
それを読んでから来てね!
____________
「ぃ”ッ……てぇッッ……」
アイツが近づいてきた時ヤバいとは思ったがまさか撃たれるとは思って無かった
しかもアイツ叶と通話しやがった。まぁ、多分警察署にアイツ行ったんだろ
「くッ…葛葉さッ……」
「あー…大丈夫ッス……」
と言ってもまぁ大丈夫じゃない
撃たれた所がドクドクと鼓動を鳴らすたびに稲妻の様な痛みが体に走る
「大丈夫じゃないですよッ……!」
「だけど…手当て出来ないでしょ……」
「止血位はできます!」
ただでさえ縛られていて体を動かせないのに
手錠を掛けられた状態では尚更難しい
それで無駄な動きをしてさらに出血を急かしてもしょうがない
「……なら」
だけど心とは裏腹に違う答えを出してしまう
彼女に負担がかかるし、俺自身の体にも負担がかかる可能性も捨てきれない
「わかりました」
手錠を付けられていない方の手で消毒液と包帯を取りだし、不器用ながら止血をしてくれる
流石は救急隊、いつもより遅いがしっかりと止血をしてくれる
「ぅ”ッ……ふーッ、あざすッ…」
「いえ…安静にしててくださいねッ……!」
また瞳いっぱいに涙を貯めて、精一杯の笑顔をくれる
不安にしてごめんなさいって言いたいけど
そんな事言ったらおこられるだろうと思い
「はい」と返事をして一息付く
もうあれから何分たったのだろう
50分な気もするし、5分な気もする。ただでさえ気が参るこの状況で更に、相手がとおこさんと言う、かなり気力を使う
2人とも話す気力も無いのか、2人の間には
恐怖、不安、苛立ち、ストレス、それらを含んだ荒い息使いが響く
その音に段々とパトカーのサイレンが混じってくる
とおこさんの表情が心做しか明るくなる
俺自身も少し安心して表情が緩む、肩の力が
一気に抜ける
「よかったッ……」
とおこさんが目にためた涙を零して肩を震わす
だがここで安心しきってはならない
今までの経験がそう語りかけてくる
すると奥からコツコツと足音が聞こえる
恐らくアイツらの足音だろう
とおこさんの耳元でシーッと呟く、状況を察したのか、とおこさんはキュッと口を閉じる
そして乱暴に扉を開けてアイツらの1人が入ってくる
そして足枷を外す
「来い」
とおこさんと俺の腕を乱暴に引っ張って
更に更に、上へと進んで行く
窓の方を見ると、高層の建物しか見えなく
もう低い建物はすっかり見えない
20階以上と言ったところだろうか
「ッ……」
「痛ッ……」
隣で痛みに耐えながら歩く彼女を見るのはとても苦しい。声を聞いてるだけで目の前の奴を殺したくなる
我慢しろ
この人を守る為には、我慢しろ
途中から数人が加わり
俺に1人、とおこさんに1人、見張り役に1人
3人が俺たちを見張っている事になる
1人なら強行突破でしたかもしれないが
この体で3人は負け確という言葉がお似合いだろう
おそらく屋上であろう扉を蹴り破り扉が奥に倒れる
その瞬間突風が顔に吹かかる
目を開ける事もままならない。もはや痛い。
「ちッ…速いなぁ警察さんよぉ?」
目を凝らしてみても何も無いが
さっきも聞こえた通り、下からサイレンがする
「おい警察。鴉に変われ。」
電話越しに誰かの声が聞こえる
だれかは分からないが恐らく鴉の誰かだろう
なにか交渉をしているみたいだが断られたのか
イラついた顔立ちでブチッと電話を切る
「クソッ!クソッッ…!」
「ダメだったか」
「まぁいい、立てこもるぞ」
そう言ってまた腕を引っ張られて
さっきの部屋に戻される
また足枷を付けられて部屋に置いていかれる
いくら時間がたっても、どれだけ精神が疲労しても、誰もこの地獄を解放してはくれやしない
「ぁー……」
窓の外には星空が見える
冬だからか寒い風が窓を通り抜ける
とおこさんが肩身を震わせて必死に寒さに耐えている
「……」
「とおこさん」
「はッ…はいッ……」
声も微かに震えていて
明らかに震えている
流石にこんな人を
ほおってはおけないだろう
「っぇ……」
とおこさんの片手をギュッと握りしめる
必然的に体も近くなる
驚いているのかは顔を見ていないから分からないが、俺の背中にゆっくりともたれかかる
彼女の息が耳元で聞こえて少し恥ずかしい
逆に俺の息も聞こえちゃってるかもしれない…
「ありがとうございます…」
「ッスー…まぁ、はい」
変な事を考えたせいで返事まで変な事になってしまう
彼女はその返事に対して微かに笑うと
ふぅとため息をついて、ギュッと手を握り返される
「おやすみなさい、葛葉さん」
「ぇ”ッ…オヤスミナサイ……」
急にそんなことを言われて言葉がカタコトになってしまう
だがそんな事を確認する前に、もう彼女はスヤスヤと寝息を立てて寝てしまう
彼女を起こす訳には行かないし、大人しくしておこう
「……」
“おやすみなさい”の7文字が能力にこびりつく
俺の言った、ただいまって、こんなに威力あんのか。
いや別にとおこさんにとっては、どう思ってるかはわかんないけど?!な?!
「ッーーースぅー……」
自己暗示を必死に掛けながら自分のほっぺを
思いっきりつねる
思いっきり引っ張り過ぎたのか、体全体がズキッと痛む
「はぁー……」
どうすればいいのか分からず
下を向く、すると急に隣から
モーター音が聞こえる
「あ…?」