「お、教えません!」
弱点なんて容易に言うものじゃないし!
「そっか…なら無理矢理にでも見つける!」
な、なんでぇぇぇ!?
「ところで…」
ん?…
「君、名前は?」
・・・、
目が点になる。
え?名前?
そういえば自己紹介もせずにいたんだった。
「米沢 菜摘と申します…」
できるだけ冷静を装って言う。
思ったら私も 会長の名前を知らない…
「米沢さんね、僕は 藤堂 昴。よろしくね。」
「よ、よろしくお願いします…」
ってこの状態で言うことかっ!?
・・・
「あ、あの…早く離れてくれませんか?」
「え?教えてくれるまで離さないよ?」
そう会長は不敵に笑う。
噂に聞いていた優しい生徒会長との
ギャップがありすぎて怖い!
会長と鼻先が触れ合いそうになった時、
私は会長を強く押し、 というか突き飛ばし、
空き教室を出て 全速力で廊下を走った。
会長!
見逃してくださぁぁぁい!
そう私は心の中で叫んだのであった。
生徒たちの目を 気にする余裕もなく、
私は急いで帰った。
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あの後、 私は無事に家に生還し、
家族と夜を過ごした。
今日の朝も、 なぜか玲央と一緒に
行く羽目になった。
「いってきまーす!」
家を出た途端、 手を繋がれた。
え?なにこれ?
世に言う恋人繋ぎってやつ!?
振り払おうとすれば キュッと強く握られる。
黒い笑顔を向ければ めちゃくちゃいい笑顔。
加減ってものがあると思う!
こっちはできるだけの
爽やか笑顔で圧かけてるんだけど!
結局、靴箱に辿り着くまで 圧をかけたが、
手は 離してもらえなかった。
お察しのとおり、 生徒たちの視線が痛かった。
私は空気だ、私は空気…
この時の私はまだ知らない。
お昼に起こることを…
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