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memi(めみ)
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ごめん、って何?
仁人は投下された勇人の言葉を頭の中で反芻した。
それはこれまでの行動に対する謝罪?
それとも、これからの行動に対しての予防線?
そんなのいらない。どっちも欲しくないんだよ。
こんなとこまで連れてきて。
「…今更…っなんだよ…」
少し後ろに倒れる猫耳に仁人の気持ちが宿っているようだった。
「…もうしないから。泣かないで、」
お前が泣いてる姿だけは見れない。
続けて言われて、仁人は少し拍子抜けした。
あれだけひどい事やっておいて、泣いてる姿は見たくないって?
それは流石に自分勝手すぎないか。
散々嫌だと言ったのに止めてくれず、挙句には最後まで突っ走ろうとした男が、相手の無き姿は勘弁って。
「ひどい」
「…うん…」
仁人は上半身を起こして再度、相手の目を見て言った。
「酷い、最低。自己中野郎。人でなし」
シーツがあってよかった。これだけ罵っておきながら裸だとちょっと滑稽すぎるから。
「外道、バカ…青二才…なら、ずもの…」
そうやって言葉を投げかけていると、いつもの悪ノリのようにも見える。
悪ノリに見えるが、もう二人の関係は戻れない。先にも進めない。
「…っうぅ…」
だめだ、また涙が出てしまう。
ただただこの空間がつらかった。
勇人は、虚勢を張ってたくさんの言葉を投げかける仁人がやはり愛おしかった。
だがそれが涙へと変わっていくと、また胸が平静でいられない、焦燥感を感じた。
泣かないで、なんて言える立場じゃない。
だけど放っておくには難しすぎた。
ずりずりと両ひざで仁人の近くまで行くと、そのままシーツ越しに仁人を抱きしめた。
「…ばかっ…触るな、へんたい…!」
必死に腕で押し返すが、びくともしない。
非力な自分を呪った。
「…なぁ、仁人」
「っ…なんだよ」
勇人はどうしようもない自分の行いにどう向き合えば良いか考えあぐねた。
何をどう伝えるべきだろうか。
何も伝えない方がよいだろうか。
今更何かを伝えたところで、仁人はどう思うだろうか。
ならいっそこのまま終わらせる方がいいのかもしれない。
いや、この男は…仁人は、何もない処からアレコレ結論を出してしまう癖がある。
自分がこのまま終わらせてしまうと、ますます追い詰めるだけだろう。
きっと自分の首を絞めることばかり考えて、傷ついてしんどくなって、その感情をどこかに置いて行ってしまう。
それから何事もなかった様に日常に戻る。
絶対に戻れないのに。気持ちを差し置いて無理やり戻るだろうな。
それだけはダメだ。
この存在は、例え自分自身であっても俺意外に傷つけられるのは許せない。
この心と身体を自由にしていいのは、俺だけにしてほしい。
考えれば考えるほどむくむくと沸いてくる独占欲に、勇人は辟易しながらも腹をくくるしかなかった。
「仁人」
勇人はそっと仁人の身体を離し、目を見つめた。
自分の言葉で、仁人をさらに傷つけるだろうか。混乱させるだろうか。
重苦しい空気と張りつめた勇人の気配に、仁人は不安げな表情を見せる。
どうかその不安が、これで終わりますように。
「仁人…お前のことが、好きなんだ。誰よりも」
発した言葉は相手に伝わっただろうか。声は震えてなかっただろうか。
少しでも気を抜くと肩に置いている手が震えそうだった。
コメント
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「『ごめん』の意味をぐるぐる考えてしまう仁人の心情がとても伝わってきました。「泣いてる姿だけは見れない」と言われて「自分勝手すぎない?」と返す正論、胸に刺さります。シーツがあってよかったと内心思うとぼけた感じも可愛くて。勇人の独占欲が「お前が好きだ」という言葉へ変わっていく流れ、震えそうな手の描写に切なくなりました。猫耳で感情を見せるのも良かったです。