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学パロ
同級生クラスメイトsnjn
佐野勇斗は、いつも僕に意地悪をする。
でも、それは本気の嫌がらせじゃない。
なんとなく、そう感じていた。
「もー! やめてよー! 返して!!」
「やだよー。お前いっつも本読んでんだもん笑」
また佐野くんに、読んでいた本を取り上げられた。
続きが気になるいいところで。
「仁人、本ばっか読んでるから目悪くなってメガネなんだよー」
「佐野くんには関係ないでしょ! 別にメガネも嫌じゃないし!! もー早く返してー!」
背の高い佐野くんは、
僕が手を伸ばしても簡単に届かない高さに本を掲げる。
ほんとに、いじわる。
やっと本を取り返して机で読み始めると、
クラスメイトが声をかけてきた。
「ねえ、吉田くん。いつも佐野くんに嫌がらせされてるけどさ、先生に言わないの? 、、 もしよかったら俺から言おうか?」
「心配してくれてありがとう。でも大丈夫、言わなくていいよ。佐野くん、悪い人じゃないし」
「え??」
どうやら僕の言葉の意味がわからないみたいで、変な顔をしていた。
それもそうか。
外から見れば、僕はただ
「いじめっ子にいじめられてる人」
にしか見えないんだろう。
でも、違うんだ。
とある日の放課後。
本を読もうと図書室に行くと、
いつもは誰もいないテーブルに、
一人突っ伏して寝ている人影があった。
普段見ない……誰だろう。
気になって隣に座ってみると、
嗅いだことのある香水の香りがした。
教室でいつも僕をからかってくる、佐野勇斗だった。
窓から差し込む夕日に照らされた寝顔は、
男の僕でもドキッとしてしまうほど綺麗だった。
「……何見てんの」
「うわっ!?」
突然目が合って、
思わず大きな声を出してしまった。
「ご、ごめん……佐野くん、なんでここに……?」
「んー? 図書室静かだし、昼寝しに?」
「昼寝……そっか」
佐野くんの昼寝の邪魔をしないよう、僕は本を開いた。
「……お前ほんと本好きだな。そんな近くで読んだら目悪くなるって」
「えっ、あっ、ちょ!」
急に視界がぼやけた。
佐野くんにメガネを取られた。
「うわ、度強いな……ほんとお前目悪い……」
「返して……ほんとに見えない……」
メガネを奪い返して掛け直すと、
佐野くんはキョトンとした顔で僕を見ていた。
「仁人さ、コンタクトにしないの?」
「え……?」
「せっかく綺麗な顔してんのに、勿体ねえなって」
綺麗な顔なんて、言われたことなんてなかった。
一瞬で顔が熱くなって、
耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかった。
「あ、そろそろ帰るかな。じゃあな、のりまきじんと〜」
「……のりまきじゃ、ない……」
カバンを肩に担いで出ていく後ろ姿を見送りながら、僕は自分の心臓の音がうるさくて、本なんか読めなかった。
あれから数日だった日のお昼休み。
机の中に入れておいたはずの本がないことに気づいた。
あれ……?
くまなく探していると、
クスクスと笑い声が聞こえてきた。
「吉田〜、探してんのコレ?」
クラスメイトの男子数人が、
僕の本を手にニヤニヤしている。
普段あまり関わりたくないタイプのグループ。
だけど、 今はそうも言ってられない。
「返して……」
「えー、じゃあさ吉田。俺たち腹減ったから購買でパン買ってきてよw」
「……は? なんで……?」
「なんでじゃねーよ、早く〜。買ってこねーと大事な本、窓から投げちゃうよ〜?」
大事な本を捨てられるわけにはいかない。
僕は仕方なく財布を持って教室を出ようとした。
「おい」
その瞬間、佐野勇斗の声が教室に響いた。
いつもの明るい声とは違う、低くて重い声。
空気が一瞬でピリッと張りつめた。
「佐野くん……」
「返してやれよ、それ」
「な、なんだよ。佐野だっていつもやってんだろw」
「は?? 俺がやってるからってお前らがやって良いことにはなんねえだろ」
普段あんなに怒っている佐野くんを見たことがなかった。
教室が静まり返る。
佐野くんはゆっくりと男子に近づき、
手元から本を奪い取った。
「昼飯くらい自分で買ってこいよ。あいつはお前らのパシリじゃねえから」
「……わ、わかったよ……」
「仁人、いくぞ」
「あ、うん……!」
本を渡され、
言われるがままに佐野くんの後を追った。
購買で適当にお昼を買って、
着いた先は屋上だった。
屋上のフェンスにもたれながら、パンを頬張る。
隣に佐野くんが座っているせいで、
なんだか落ち着かない。
「佐野くん、あの……ありがとう。本、取り返してくれて」
「ん? あー、おう」
目線は合わせず、空を眺めながらの会話。
「俺さ、ああいうの腹立つんよな」
「、、、」
「真似されてんじゃねえよ。俺が仁人にちょっかい出してんのは、俺だけだろ」
突然の言葉に、
パンを喉に詰まらせそうになった。
佐野くんは照れくさそうに頭を掻きながら、続ける。
「……お前が嫌がってるフリしてるの、わかってるから。
でも本気で嫌だったら、もっとちゃんと怒るだろ? お前、意外と我慢強いし」
僕は何も言えなくて、
ただパンを小さくちぎって口に運んだ。
そのあと、
結局そのまま授業をサボって屋上にいた。
佐野くんが「もういいや、今日はサボろうぜ」と笑ったから、つい流されてしまった。
放課後、
当然のように先生に呼び出された。
「佐野、吉田。二人とも今日は授業サボったな? 理由は?」
先生の前で並んで立っていると、
佐野くんがさらっと答える。
「仁人がちょっと体調悪そうだったんで、保健室連れてったんですけど、なんか長引いちゃって」
「……佐野」
「すみません」
僕も小さく頭を下げる。
説教は15分くらいで終わった。
先生は「次はちゃんと来いよ」と呆れながら解放してくれた。
校門を出て、二人で帰る道。
夕焼けがオレンジ色に街を染めている。
「今日、ありがとう……本当に」
「いいって。むしろお前が巻き込まれて悪かったわ」
少し歩いたところで、
佐野くんが突然立ち止まった。
「……仁人」
「ん?」
佐野くんが僕の腕を軽く掴んで、
路地裏の少し影になった壁際に連れていく。
人通りは少ない。
「さ、佐野くん……?」
心臓が急に速くなる。
佐野くんは僕のメガネをそっと外して、
自分のシャツのポケットにしまった。
そして、顔を近づけてくる。
「今日、お前があいつらに怯えてるの見たら……なんかムカついた」
低い声。
息がかかる距離。
「俺がいつもやってるのは、こうやってお前を困らせて、赤い顔見るのが楽しいからだよ」
指先が僕の頬を撫でる。
熱い。
「でも、あいつらがお前を本気で傷つけようとしてるのは、許せねえ」
次の瞬間、
佐野くんの唇が僕の唇に重なった。
柔らかくて、少し荒いキス。
初めての感触に頭が真っ白になる。
「ん……っ」
僕が小さく声を漏らすと、
佐野くんは少しだけ離れて、
目を見て微笑んだ。
「嫌だったか?」
「……いや、嫌じゃ……ない、けど……」
耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。
佐野くんは満足そうに笑うと、
もう一度、今度は少し深くキスをしてきた。
舌先が軽く触れる程度の、
甘くて焦らすようなキス。
手が僕の腰に回され、
壁に軽く押しつけられる。
制服越しに伝わる体温が、妙に熱い。
「、、のりまきじんと、今日から、もっと俺のものにしてい?」
「……のりまきじゃ、ないって……ばか」
照れ隠しに小さく文句を言うと、
佐野くんは愉快そうに笑った。
そのまま、 薄暗くなった道を二人で歩きながら、時々指先が触れ合う。
心臓の音は、まだ鳴り止まない。
でも、悪い気はしなかった。
むしろ、佐野くんの意地悪が、
これからもずっと続いてほしいと、僕は思った。
end
いじられる側といじる側は常に対等な立場で、、なんて話を以前していたなと思い、
そんなイメージをしながら書いてみました。
更新頻度が鬼遅いんですが気まぐれマンで本当にすみません、、💦🐢
コメント
2件
コメント失礼します🙇♀️ ちゃまさんの作品をよく読ませて頂いてるのですが、今回の作品はいつもの3倍刺さる作品でした…😭😭 ちゃまさんの作風大好きなので次の更新も待ってます!☺️(無理はしないようにゆっくりで大丈夫ですからね…💦)