「やっとついた。」
僕は今、彼がいるはずの場所にいる。
僕は君が何を考えているのかわからない
わからないからこそここにいる
君は来てほしくないかもしれない
でも、君に会いたいんだ
翡翠色の瞳も揺れる紺色の髪も
僕よりずっと高い背も
全部全部僕の脳裏に焼き付いて離れないの
君の一挙一動、僕を呼ぶ声、あの日にくれた指輪、何もかもが僕の全てなの
靴を脱いで海に落とす
だってシンデレラも靴を落としたでしょう?
僕は入る、海の中へ
彼を独り占めできるように月と針はてっぺんの時間
お手紙なら書いた。
自分がどこに行くかと、もう戻らないこと。
随分と沈み、だけれど底は見えない時、
彼を見つけた
「良かった…..やっと見つけたよ。」
言ったよね、
水底まででも迎えに行きますって。
僕と笑顔の彼は沈んでゆく
さっきまで少し苦しかったけど今はもう大丈夫
足取りも軽くなった
水のお陰で浮けるから彼とのキスもできた。
なんていい日なのだろう。
お揃いの指輪を見つめながら
僕は瞼を閉じた。
「水底まで迎えにゆきます」
終わり
コメント
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わぁ、いい物語だぁ。タイトル回収すげぇ。憧れるぅ。