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十月十四日の事、 僕は生まれて初めて”生きたい”と思った、それは僕を愛してくれた人のおかげだった。今までずっと”死にたい”って、そう思っていたんだ、けど生かされなかった命に僕は生かされた。 八月の初めの頃だった、夏休みで暇だった僕は、何気なくコンビニに向かった。家にコーラとお菓子を持って少しワクワクしながら帰った、 今日は親がいない日だ、ずっとゴロゴロできる、 でもその帰り道に僕は出会ってしまった。一目惚れってやつだ、髪は真っ赤に染まって白く透き通った服を着て夏らしい格好だった、僕は見惚れていた、そしたら向こうから声をかけてきたんだ。『何見てんの?』視線をコンビニの袋に向けながら言った、僕は上手く返事できずありきたりな言葉を言った。そしたら彼女は言った『暇なんだよね、夏休みって髪染めたり色々自由だけどさ、私友達あんま居ないし皆んな地方の実家に帰っちゃうから。』そんな事を僕の顔は見ずに、まるで独り言かのように僕に言ってきた。僕は思ったこの人と過ごせたら楽しい夏になるんじゃないか、物語で見るような青春を過ごせるんじゃないかって。するとドミノ倒しみたいにことは上手く進んで、彼女が連絡先を交換しようと言ってきた、僕は嬉しかった、でもその夜泣いた、どうして期待してしまうのか、自分なんかと過ごしてくれるわけないと、何故か泣いた、僕はそうやってすぐ泣く。次の日は外に出ずに家で寝ていた、そしたら連絡が一件来た、”お前暇?”、そう彼女から連絡が来た、もちろん暇だと返した、そして僕らはあの公園でまた会った、まるで何度か会ったかのように、彼女の名前を連絡先を交換して初めて知った僕はどうやって呼べばいいか分からなかった。だから僕は美夜音(みよね)を君と呼んだ、『君はどうして僕をよんだの?何して遊ぶの?』そう問いかけると彼女は言った、『あんた死にたがってるでしょ。』そう僕に問いかけた、いや問いかけじゃなくて確信していた、僕はその通りだと言うしかなかった、彼女は小学校の時にいじめに遭ってたらしい、僕らは互いの境遇を話した。僕は単純だ、いや男は単純なんだ、すぐ君と恋愛したい、そう強く思った、それから僕らはご飯を食べたり学校のことを話したりゲームをしたり沢山遊んだ、八月の十六日くらいだったと思う、彼女から大切な話を聞いた、彼女が生きられないという事実を、僕は泣いた彼女より泣いた、来年も再来年も学校なんかが終わってもずっと関わると思ってたから。彼女は来年にはこの世を去ると医師から伝えられていた、彼女は受け入れていた、でも僕にはそれができなかった、今まで死にたいなんて考えてた事が馬鹿みたいに、生きるも死ぬもそんな事を考えずに”生きていた”、彼女は言った『私の名前は美夜音だよ、どうして名前で呼ばないの?私は死ぬ前に秋斗に呼ばれたいと思ってるのに』、僕は心の中で言った『理由なんかない、理由がないから何も考えなかった、けどそれで君を傷つけるの嫌だ。』、僕は口にしてこう言った『美夜音、君が好きだ。』、人生初めての告白、どうなるか分からなかった、怖かったけど同時に嬉しかった、君に言えた事、美夜音という一人の友達に告白できた事、彼女は答えた、『どうして?もう死んじゃうんだよ。私も好きだけど、だからこそダメだよ。』、僕は納得した頭では納得した、その通りだ、でも違う頭じゃない、『僕が素直になりたいのは心なんだ、頭に素直になっても何も幸せじゃない。』時は短くとも長い沈黙が続いた。僕達はハグをしたどっちが先とかじゃない、空気がそうさせた二人とも心に素直になったんだ、キスをした、愛を伝えた。美夜音は静かに、嬉しそうに言う『また明日ね、また明日も会える。』僕は明日を信じた、そして明日は応えた、また今日が始まる、そうやって毎日が続いてる事に感謝した。恋人である美夜音との初めてのデートだ、映画を見た、少し遠いところに出かけた、だって今夜はホテルだから、僕ら初めて同じ場所に帰った。恋人がするようなことはしなかった、でも美しい夜だった、抱き合って寝た
、でもただ抱き合っただけだ、その先をするのは空気が否定した、僕らの心もそれは違うと言った。十月十三日、彼女は僕が行けない場所に行った。交通事故だ、僕は相手を恨むなんて事しなかった、美夜音も恨んでいなかったから。彼女と過ごした日々は忘れられない、ご飯を食べて将来を話した事、3年後があるかのような計画を立てた事を、その幸せは実際にそこにあったから。僕は君の為に”生きる”んだ、君の分なんて意味のないものじゃない、君が僕に残したものを、僕は誰かに渡す、僕は十月十四日の彼女の葬式の日に誓った。僕は毎日の夜を美しく思おう、明日が来る合図だから、その音はとても美しかった。美しい夜の音に、僕は美夜音を思い出す。だから僕は最期まで生きる、明日が最後にならない為に。さよなら、