心理カウンセリングにかかるのは
生まれて初めてだった
私の想像では無機質な部屋に昔の理容店みたいな
真っ黒なレザーの寝椅子に寝かされ
白衣を着た教授みたいな専門家に
カルテ片手に私のおかしい所を色々つつき回されるのかと思っていた
でも義姉の紹介でやってきたのは
まるで美容サロンのような
ビルの一室だった
通された診察室Aには天井まで一面の
水槽が壁に埋め込まれていた
水色の水槽に照らされて自分の顔も水色になる
その中を優雅に美しい熱帯魚が泳いでいる
「わぁ・・・・すごい・・・」
まるで海の中に潜っているような錯覚を覚えた
私はあまりの迫力の水槽に思わず
手をついて見入っていた
「この水槽はお気に召しました?」
柔らかい声に振り向くと
そこにはとても美しい女性が立っていた
「え・・・・と・・・ 」
サーモンピンクのタートルニットに
オフホワイトのパンツ姿
茶色のセミロングのストレートの髪の
ほっそりとした女性が立っていた
瞳は優しそうな少しタレ目で
キラキラしていた
「はじめまして
櫻崎鈴子さんですね?
私は離婚カウンセラーの羽野上奈々です 」
私はなんだかあっけにとられたような気持ちで
しばらくこのカウンセラーらしくない人を眺めていた
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