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上野文
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都築七美
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てく
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——その日から狐雲は、足繁く華乃の元に通い続けた。
人目を忍び、夜更けに華乃の部屋にて繰り返される逢瀬が日課となっていた。
出逢いから一月数えた頃、仙界の泉前で物思いに耽る狐雲を学法が目にした。
「狐雲、狐雲」
「……なんだ」
「声がけしてもなかなか気づかないとは、何を考えていたのです?」
「……関係ないであろう」
「あの気性の荒い狐神がこのところやけに大人しいと、神々の間でもっぱらの噂ですよ」
「どうでもよい……」
心ここにあらずの狐雲を見て、鋭い学法は勘づいた。
「その遠くを眺め憂いる姿……まるで恋の病のようですね」
“恋”という単語に、狐雲は動揺を示した。
噂では聞いたことはあったが、自身には一生無縁だと思っていたからだ。
学法は狐雲の様子に、確信を得た。
「……なぜ、そのように思う? 経験があるのか?」
「まさか。小生は学問の神ですよ。人の書物はすべて把握しておりますので。その中には恋の話も多くありますから」
学法が語る“恋”とはこうだった。
誰かのことが頭から離れず、夜も眠れない。胸が熱く、苦しくなる。常にともにいたいと感じ、逢瀬の時が待ち遠しくなる。大切に、自分だけのものにし、守りたくなる——。