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第3章:告白と祈り
神父は独房の扉の前に立つ。
沈黙の中で少年を見つめ、胸の奥の重みを感じる。
面会室で神父は沈黙のまま少年の横に座る。
やがて少年が口を開く。
「神父…俺は…殺していません」
視線を合わせられず、壁を見つめながらつぶやく。
「裁判で言えなかったのは…
死刑が決まった後に裁判官から事件の詳細を聞かされたからです」
少年は震える声で続ける。
「弟が兄を…偶然に殺してしまったこと、
俺に濡れ衣を着せたこと…
その時にはもう言う機会が残されていませんでした」
神父は胸の奥で祈りながら静かに頷く。
沈黙の中で少年の言葉が行動の正当性を示す。
神父は弁護士への連絡や刑務所長への書類申請を進める決意を固めるが、時間は迫り、死刑執行は避けられない。
焦りと祈りが交錯する中、少年の視線だけで理解を示す神父の存在が、胸の奥の火を支える。