コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ハイキュー 放課後パロ
「すぐ戻るから、ここで待ってて。」
月島くんはそうゆうと急ぎ足で家へ入っていった。一体私に何の用なのだろうか。夕日が沈み星が輝く空を見ながらそう考える私。ぼーっとしていると目の前に人の影が。どうやら1人みたいだ。もしかしたら月島くんのお兄さんが帰ってきたのかなと思い目を細める。そこにはガラが悪い男の人がいた。
「んおっ。お姉ちゃん人様の玄関でなーにしてるの?もしかして今から帰るとこ?良かったら俺と遊ばねぇか?」
私は戸惑いながらも言葉を選び出し口を開く。「あっ…えっと…。違います…。」
「ふーん。でも退屈でしょ?良いとこ連れてってあげるからおいでよ?楽しいよ?」
「…大丈夫です。遠慮しときます…、!?ちょっ、ちょっと!?ここ友達のお家なんですよ!?勝手に入ってこないで下さいよ!」
男の人がズカズカとこちらへ向かってくる。私は咄嗟に言い返したとともに後ずさりした。
「いいじゃん、ちょっとくらい。お姉ちゃんだって入って待ってるんでしょ?ならおわいこでしょ?」
「…!?違います!私はちゃんと友達です!ここで待っててと言われたからいいんですよ!」
「…はぁ。んな事どうでもいいか。それよりも早く行こうよ〜」ガシッ
「!?…ちょっ、ちょっとやめてください!無理なものは無理なんです!離して…ください!」必死に抵抗するもとても力強く振り解くことが出来ない。
(…あぁ、あぁっ…。や…めて…。怖い…。嫌だっ…。誰か…。)耐えるのにもやっとな私の脳裏に昔の記憶が蘇る。とても怖い記憶。二度と見たくなかったあの光景。
(言葉が出ない。どうしよう。このままじゃ…私…。)目の前が真っ暗になっていく。ゆっくりと昔の記憶に飲み込まれていく。頭の中は真っ白だった。が、私は無意識にこう叫んでいた。
「…っ、助けて!!月島!!」
「うわ!?うるせぇな、おい。元気がおわりでいいこと。ほら、早く行こうか???」もう遅い。駄目だ。そう思った。が、その瞬間。
ガシャンッッ「松井!?何してんだようちのマネージャーに!そいつから手離せっ!」
「男かよ!?…っち、大事はごめんだ。しょうがねぇ、諦めてやんよ。」乱暴に振りほどかれ慌てた様子で走り去っていく。私はしばらくその場に立ちすくんだ。そんな私に月島くんは心配で声をかけてくる。
「松井?大丈夫か?…松井?」
「…っ!?あっ…、だっ…大丈夫…。多分…。」「まだあいつが近くにいたら危ないし、気持ちが落ち着くまで俺の家でゆっくりして行きな?帰る時はまた送ってあげるから…。」
「…っえ、あっ…ありがとう…。」月島くんに手を引かれながら玄関へと向かう。
…ガラガラガラ「ほら上がって。」
「…お邪魔します。」初めての友達のお家。しかも男子のお家。だか先程の1件があり、そんなことなど考える暇はない。今の私には恐怖に耐える事で精一杯だった。身体はまだ震えが止まっていない。少しでも抑えようと私は必死になっていた。そのまま月島くんに誘導され2階へと上がる。部屋へ向かう途中1番奥の扉が、バンッッ!っと音を立て勢いよく開く。中から出てきたのは月島くんのお兄さんだった。
「蛍!大丈夫か!?さっきのは何だったんだ?」「うちのマネージャーを連れ去ろうとしたバカがいたんだよ。でも大丈夫。僕を見た途端大事はごめんだって、言ってすぐ逃げたから。」
「そうか…。それならいいけど。その子がそのマネージャーさん?君、顔色悪いけど本当に大丈夫だっt…」
「…!?嫌…、来ないで…!」私は咄嗟に月島くんの後ろに隠れてしまった。それを見たお兄さんは驚いていた。
(怖い…。近くに来ないで…。また何される…。)頭の中は混乱したまま。だか我に返ったのか私は失礼な事をしてしまったことに気づく。
「あっ…、その違います!まだ頭の整理が追いついてなくて…。ごっ、ごめんなさい!」
「いやいや!こっちそこごめんね!そうだよね、混乱してるよね。近づいてごめんね。」
「…。僕しばらく部屋でマネージャーのそばにいるから。お母さんに言っといて。」
「わかったよ。言っておく。」お兄さんはそう言うと階段を降りていった。その姿を見ながら月島くんは何も言わず私を部屋に連れていく。
ガチャ…キー、パタン…「適当に座ってていいよ。なにか飲み物持ってくるね。」そう一言言うと月島くんは部屋を出ていった。1人になった私。心を落ち着かせるために深呼吸する。
「….すーっ。はぁーーーー。」あの時私はたしかに昔の記憶に飲まれていた。なのに…。なのになぜ無意識に叫んでいたの?自分でも分からない。でも何かがあったから。何かが…。その何かが思い出せない。考えてこんでいると月島くんが戻ってきた。
「お待たせ…。少しは落ち着いた?」
「う…ん。さっきよりかだいぶ…ね。」
「そうか。…冷たいお茶だけど大丈夫?」
「うん…。大丈夫。ありがとう。」ぎこちない会話。その後しばらく沈黙が続く。その沈黙を消したのは月島くんだった。
「…ねぇ松井。さっき、兄貴が近づいた時僕の後ろに隠れたでしょ?」
「…うん。」
「僕のことは平気なの?」
「…え?」
「だって今だって2人でいるのに、なんともないから何か理由でもあるのかなっ。」
「あっ…。その…。」なんでだろう。自分でも分からなかった。なんで月島くんは平気なのかな。なんで…。私は思い出そうと必死になって考えた。ずっと月島くんといたのはなぜ?私がトラウマを克服するためスカートを着るのに、1人でいるのが怖かったから。帰る方向が一緒だったから。…いや違う。全部私が言い出したことじゃない。彼が、月島くんが…。
「信じて…たから。月島くんが言ったこと、信じてたから。」
「…え?」
「月島くん言ってくれたよね。何があったら僕が必ず守ってあげるからって。だから怖がらずに自分の好きな物着なよ。自分が生きたいように生きなって。私、さっき絡まれてた時昔の記憶に飲まれてたの。だけど…信じてたから!助けてくれるって!だから無意識に叫んでたの!」
「そっか。そうだね、たしかに僕言ったね。守ってあげるって。君の声が聞こえたからすぐ走ってったよ。」
「でも私…、ずっと月島くんに守られてばっかじゃいつまでたっても強くなれない…。守って貰えるからって私…、甘えてた!ごめんね?迷惑だよね…。月島くんばっかり大変なことさせて。1人で頑張るから…。」
「そんなことない!!そんなことないから!松井は松井の生きたいように生きろよ!迷惑じゃないから!僕がそばにいるから!だから…。」
「でも…。でも!ずっと月島くんばかりに頼るのも申し訳ないよ!」
「っ…。」月島くんは黙りこんでしまった。月島くんは私のことはそこまで迷惑ではなさそうだ。でも私はとても申し訳ないと思う。月島くんに甘えすぎるのはよくない。自分でも何とかしていかないと…。月島くんを説得させようと言葉を選んでいると、急に顔を手で覆われ上へ向けられた。「…僕は、一緒にいたい」
「え…」「僕、松井が笑っている時が1番好きなんだよ!スカート着てから段々と明るくなっていく松井見てとても嬉しかったんだよ!部活の皆もいつも練習で疲れていても、松井が最後まで僕達を応援してくれて、笑ってくれてるから…!僕、ずっと松井に笑っていてほしいんだよ!松井の笑顔が…松井が好きだから!」
「月島くん…。」泣いている。こんなにも泣きながら一生懸命話してくる月島くんは見た事ない。そう思った。月島くんは涙を拭うと私を見つめる。
「松井。僕は全然迷惑なんて思ってない。だから…明日から毎日一緒にいたい。」
「…。」
「僕は松井が好き。付き合ってください。」「!?」
「こうゆう雰囲気じゃない時にごめん」動揺が隠しきれなかった。月島くんに告白され心臓がバクバク鳴っている。とてもうるさい。だけど…、私も…。
「今やっとわかった。月島くんに迷惑だから、申し訳ないからって言っちゃった。けど本当はそんなこと思ってない。もっと一緒にいたい。離れたくないって思ってた。ずっと自分の気持ちに気づいてなかった。私も、月島くんが大好きです。」