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トオル「イクト君!」
トオルはイクトの元に駆け寄り、その体を優しく抱き起こす
アゲハ「大丈夫ですか?」
アゲハ達4人も急いでイクトの元に駆け寄った
イクトは重たい瞼を開けてアゲハを見やる
アゲハ「……スパルタ教師は、イクト先輩が生み出したものだったんですよね?」
イクト「…!!……」
イクトは目を見開くと、悲しそうに俯く
イクトside
……ここにいれば、誰とも争わなくていい…
優等生じゃなくていい……
完璧じゃなくったっていいんだ…!
僕は、学園に戻りたくなくて、スパルタ教師を生み出してしまったのかもしれない…
いつもテストは1番だった。
問題を解くのが、兎に角楽しかったんだ
…でも、それが当たり前になると98点でも許せなくなった
わからない問題があるのも嫌だったし、必ず100点じゃないとって思ってた僕は、
ある日、テスト中に頭が真っ白になった
……気が付いたら、白紙の答案を提出していたんだ…
それで、アカテントラズ行きになって、後は君達の知っての通りさ……
イクトside終了
マタロウ「98点でも凄いのに…;」
コマ「悩みの次元が違う…;」
2人はずーんとなって落ち込む
トオル「……100点取れないからなんなの?」
イクト「…!」
トオル「そんなに大事なの?
…僕はずっと努力して、勉強し続けてきた。
人の何倍も、何十倍も!
……でも、そんな僕がどれだけ努力しても、君には勝てなかった」
トオルは目を閉じて一息つくと、更に続ける
トオル「…でも!僕は君の言葉に勇気づけられたんだ!」
イクト「ぇ…?」
トオル『くっそぉ!!あんな簡単な所で間違えるなんて…!』
夕方の歩道橋の上、トオルは悔しそうにガンッ!と手摺りを叩いた
イクト『……ふふっ…』
愉快そうに笑うイクトにムッと来たトオルは、イクトに向かって怒鳴る
トオル『何が可笑しいの!?』
イクト『テストの結果が悔しいのは、トオルがそれだけ努力したからだ。
…そうやって努力して困難に向き合ってる君は、何時か僕を超えるさ…』
イクトは淋しそうに目を伏せて俯いた
トオル『……………』
トオル「100点じゃなくてもいい。この悔しさこそが、精一杯やった証なんだって。
僕は君の言葉でそう思えるようになったんだ!」
トオルは胸に手を当ててイクトにそう声をかける
イクト「…そうだったのか……でも、そんな君がどうしてここに…?」
アゲハ「イクト先輩の為ですよね?」
イクト「え?」
アゲハ「トオル先輩は、態とアカテントラズに送られてきたんですよね?」
「「「え!?」」」
ジンペイ「そうなのか?」
3人も驚いてトオルを見やる
イクト「な…なんでっ…」
トオル「君と一緒に、帰る為だよ。
テストの結果が悔しいのは、それだけ努力したから。
……あれは、自分に言ってたんだよね?」
図星を突かれてイクトは目を伏せる
トオル「君はとっくに分かっていたんだ。
本当に大切なのは何か?……でも、怖かった。
努力した後に待ってる現実が!」
イクト「……あぁ、そうだ…。だから逃げ出したんだ…
僕は。そんな弱い奴なんだ。凄くなんか…」
トオル「君は!!誰が何と言おうと、凄い奴だよ!
悔しいけど、僕にはできないことを易々とやって退ける。
…でもいつか、その君に僕の事を凄いって、言わせてみせる!」
イクト「トオル……」
すると、トオルはすくっと立ち上がり、挑発的なを浮かべる
トオル「君は、僕の挑戦から逃げる程弱い奴だったっけ?」
イクト「…!……」
イクト「クスッ……やれやれ、この僕に勝とうなんて、100万年早いよ?」
イクトは漸く元気を取り戻したようで、自慢げな顔をして立ち上がる
トオル「言うねぇ♪」
2人は互いに顔を見合わせると、クスリと笑う
イクト「君のお陰で、現実を受け止める勇気が持てそうだ」
トオル「帰ろう!」
イクト「うん!」
2人は重い扉を押し開け、朝日に照らされてる階段を元気よく下りていく
マタロウ「あの2人、良いライバルになりそうだね」
後から出てきた4人は微笑ましそうに2人を見つめる
ジンペイ「ふぁぁぁ……テストの結果何てどうでもいいけどなぁ…」
コマ「ジンペイ君らしいね…;」
呑気に欠伸をするジンペイに、3人は苦笑いしか出来ない
すると、アゲハは何かを思い出したかのように口の横に手を当て、
トオルとイクト目掛けて声をかけた
アゲハ「トオルせんぱ~い!イクトせんぱ~い!!
今度私の部屋でこの3人と勉強会するんですけど、よければ一緒にしませんか~?」
船に乗り込もうとしていた2人は驚いてアゲハの方を振り返った
そして、嬉しそうに顔を見合わせると
「「うん!///」」
と、満面の笑みで頷いた