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坂田銀にゃん
26
花梨
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哀雷🥀
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コメント
2件
萩原さんかっこよい……!
うわあ……冒頭から度肝を抜かれました。観覧車の72番ゴンドラが光の球になる描写、もう映像が目に浮かぶようで。松田さんが一度死んで、白い世界で萩原さんにぶん殴られるように現世に蹴り返される展開、めちゃくちゃ熱いです。「お前の席なんてここにはねぇんだよ」の台詞、痺れました。美和子さんの泣き声が無線越しに聞こえるラストも切なくて、続きが気になって仕方ないです!
# 第1章:天国からのバンジージャンプ(前編)
東都水族館の観覧車、その72番ゴンドラが文字通り「光の球」と化した瞬間、防護服に身を包んだ機動隊員たちの視界は白一色に染まった。
遅れてやってくる、鼓膜を破壊せんばかりの爆音と、大気を震わせる激しい熱風。
「松田ァーーーッ!!!」
黄色い規制線の手前で、佐藤美和子は喉がちぎれんばかりに叫んでいた。
彼女の視線の先で、爆風に煽られた鉄の塊が悲鳴を上げ、黒煙を吹き出しながら歪んでいく。
その中心で、松田陣平の意識は急速に融解していた。
爆発の衝撃波が肉体を叩いた、凄まじい衝撃。重力から解き放たれ、自分の身体がどこか遠くへ、奈落の底へと吹き飛ばされ、落ちていく感覚がハッキリとあった。
(あー……わりぃ、萩。そっち行くわ)
だが、その落下感すらも、途中でぷつりと途切れた。
五感も、思考も、重さも、すべてが唐突に消滅する。完全な「無」の暗黒。
最後に耳の奥へ残ったのは、無線越しに聞こえた気がした、大好きな女の、ボロボロに引き裂かれたような泣き声だけだった。
観覧車のふもとでは、黒煙の中から一つの小さな物体が、不自然な放物線を描いて落ちてきていた。
カツン、と軽い音を立てて美和子の足元に転がったのは、レンズにヒビが入り、フレームの歪んだ、見覚えのある黒いサングラスだった。
「嘘……嘘でしょ、松田……」
美和子は震える手でそれを拾い上げ、胸に抱きしめた。
「嫌……嫌よ! 目を開けてよ松田!! 終わってない、まだ何も始まってないじゃない!!」
周囲の制止を振り切り、ボロボロになった松田の肉体へと駆け寄る美和子の目から、大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちていた。
# 第1章:天国からのバンジージャンプ(中編)
気がつくと、松田は真っ白な世界に立っていた。
地面があるのかどうかもわからない。ただ、目の前には、どこまでも、どこまでも上へと伸びていく、淡く光り輝く長い階段がある。
「チッ……完全に死んだか」
松田はいつも通り、黒いスラックスのポケットに両手を突っ込み、軽い足取りで階段へ歩み寄った。
タバコに火をつけようとしたが、ライターがない。まぁいいか、と口元を緩める。
見覚えのある後ろ姿が、その階段の手前に佇んでいたからだ。
「よぉ、萩。待たせたな」
振り返った萩原研二の顔を見て、松田は言葉を失った。
いつでも軽薄に笑っているはずの幼馴染が、これまでの人生で一度も見せたことのないような、鬼気迫る真剣な形相――いや、明確な「激怒」の表情を浮かべていた。
「……何しに来てんだよ、陣平ちゃん」
地を這うような萩原の声。松田は眉をひそめる。
「何って、爆弾の解体ミスってよ……お前と同じところに行こうかと――」
「バカ野郎ッ!!!」
萩原の怒号が、白い世界を震わせた。萩原は猛然と距離を詰めると、松田の胸ぐらを両手で掴みあげた。その目は、今にも涙がこぼれ落ちそうに潤んでいる。
「誰が今すぐ来いって言った!? 4年も待たせて、お前が持ってきた手土産がこれかよ! 冗談じゃねぇ、お前の席なんてここにはねぇんだよ!」
「おい、萩、待て、お前――」
「待たない! 天国への階段から飛び降りろ! お前は、生きろ!!」
萩原は松田の身体を強引に反転させると、光の階段の「外側」――底の見えない奈落へと、その背中を力任せに突き落とした。
「松田ァ! 美和子ちゃんを、もう泣かせるんじゃねぇよ!!」
遠ざかっていく萩原の絶叫と、その顔に浮かんだ、いつもの最高の笑顔。
松田の身体は、真っ逆さまに現実へと墜落していった。