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第58話『蘇りし魂、揺れる信念』
⚔ 神の試練:リオン編
神の光に包まれたリオンは、ひとり、虚無のような空間に降り立った。
そこには、音も、風も、時間さえも存在しない。
ただ、静寂。
リオン(ここは……死の世界か? いや、違う……)
目の前に現れたのは――もう一人のリオンだった。
彼は静かに、だが冷たく問いかける。
「お前はなぜ、生き返った?」
⸻
🌓「死んだ者が、戻ってきていいと思うか?」
「死は終わりだ。なのに……お前は何を成し遂げるために戻った?」
リオンは返せない。
復活の時、確かに“仲間たち”の絆が自分をこの世に呼び戻した。
だが、それが“正しい”のか、“傲慢”なのか――答えは見つかっていない。
幻影のリオン「お前は、過去の栄光にすがっているだけじゃないのか?
“英雄”と呼ばれた自分を、捨てきれていないのではないか?」
⸻
⚡ 戦士としての誇り、兄としての想い
過去の記憶が蘇る。
戦いの中、幾度も仲間を守るために剣を振るい、命を賭けた。
だが、最後には――命を落とし、セレナやゲズに全てを託した。
リオン(俺は……あの時、終わったはずだった。
でも、俺は戻ってきた。ゲズたちの想いに応えて)
だが、それは“本当の意味”での再出発ではなかった。
リオンはまだ、過去の自分――“英雄だった頃の自分”に縛られていた。
⸻
🔥「英雄なんて……ただの肩書だ!」
リオンは拳を握りしめる。
「俺は、昔の“英雄”じゃない。
でも今の俺には、“守りたいもの”がある!
過去じゃない、“今”を生きてる仲間がいる!」
その言葉とともに、幻影のリオンが剣を抜いた。
「ならば証明しろ。過去の栄光ではなく――今の自分の“信念”を!」
二人の“リオン”が剣を交える。
刃が火花を散らし、心の奥でくすぶっていた“迷い”が削ぎ落とされていく。
⸻
🌠「俺はもう、“過去”に生きない!」
最後の一撃が、幻影を貫いた。
光の中で、もう一人のリオンは静かに消えていく。
その顔は、満足げに微笑んでいた。
「……なら、進め。今度こそ、“お前自身”の信じた道を」
⸻
🌅 試練の果てに立つ、再誕の戦士
現実に戻ったリオンは、静かに目を開く。
その背中には、英雄の影ではなく――
「一人の戦士」としての覚悟が宿っていた。
リオン「俺は、“リオン”として戦う。
肩書じゃない、誰かの期待でもない。
俺自身の力で、この運命に抗ってみせる」
その言葉は、かつての自分との“決別”であり、新たな“始まり”でもあった。
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