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✨第59話『ウカビルの試練 ― 魂の償い ―』
🌌 神々の試練領域 ― 滝の幻界
眩い光に包まれ、ウカビルの意識は“試練の空間”へと導かれた。
そこは静かに水が流れ落ちる美しい滝のほとり――しかし、空はどこまでも暗く、空気には張り詰めた“哀しみ”が満ちていた。
ウカビルが目を開けると、そこにはひとりの戦士が立っていた。
かつて共に戦った仲間。
かつて――愛した者。
「……カティア」
⸻
⚔ 幻影との再会
「また会えたね、ウカビル」
カティアの声は、優しくも、どこか冷たい。
だが彼女の瞳には、もうルシフェルに操られていた時の“狂気”はなかった。
「ここはあなたの心の奥よ。
後悔、罪、そして……忘れられなかった“想い”。」
ウカビルは剣を抜こうとするが、その手は震えていた。
「もう……お前を、斬りたくはない」
カティアは首を振った。
「それでも向き合って。私は、あなたの試練。
あなたはずっと、私を“過去の幻”に閉じ込めていたでしょう?」
⸻
🌩 魂の痛み、心の叫び
二人の剣が交わる。
しかしそれは、怒りや憎しみのためではない――
「なぜ……なぜ、あの時止めてくれなかったの……!」
「お前が行くと知っていたら……俺は……!」
剣戟の間にこぼれる、交錯する声と涙。
「私はね、あなたを救いたかったの。
あなただけが苦しむ未来なんて……望んでなかった。」
「俺は……お前を守れなかった。
救うことも……死なせないことも……!」
カティアは剣を止め、そっと微笑む。
「だから、私はここにいる。
あなたの心の奥で、あなたが向き合ってくれるのを、待ってたの。」
⸻
🕊 許しと旅立ち
滝の水音が静かに鳴る中、カティアの姿が光へと変わっていく。
「もう、大丈夫。
あなたは――仲間を守るために、今を生きてる。
それで、私は報われるわ」
ウカビルは、涙をこらえながら言葉を絞り出す。
「ありがとう……カティア。
俺は、もう逃げない。もう迷わない。」
「その瞳……とても、優しいね」
カティアは微笑みのまま消えていった。
残されたのは、ウカビルの胸の中に灯った静かな決意。
⸻
⚡ そして目覚める時
光が差し込み、現実の神殿へとウカビルは戻ってきた。
その眼差しには、過去を受け入れた男の静かな強さがあった。
(俺はもう、過去に囚われない。
あの時、あの仲間を救えなかった分――
これからは、目の前のすべてを守り抜く)
試練の刻は終わった。
だが、新たなる戦いの予兆が、空に微かに響いていた――。
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