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「謝らないで下さい…」
それよりも、先程の遠藤さんの言葉で気になる所があった。
“葵ちゃん、紺野くんの事…小学生の頃からずっと…”
きっとこの言葉の後に続くのは“好きだった”に違いない。
葵さんは、その頃から僕に出逢い結ばれる事がわかっていた。
そうだとしたら、葵さんは高校で僕と運命的な出逢いを果たすまで僕を想い続け、ひたすら僕を待ちわびていた…。
それなのに僕は、葵さんではなく亜季ちゃんに恋をして好きになってしまった。
何も知らなかったとはいえ、自分で自分が許せなかった。
「それにしても、誰が遠藤さんにメールを送ったんでしょう?」
「能力者ですよ。私をサポートしている…」
「その能力者が葵さんのスマホを使ってメールを送ったという事ですか?」
「その通りです」
「でも葵さんのスマホを奪って、メールをする瞬間はありませんでしたよね?」
「あったじゃないですか…」
「えっ!? いつですか?」
「2人が眠っている間ですよ…」
「眠っている間…。もっ‥もしかしてあの突然の眠気って?」
「能力者にやられましたね」
「でも、どうしてこんな事をする必要が?」
「たぶんですけど、私と紺野さんが一緒にいるのを面白く思っていないんじゃないですか…」
「それって葵さんを好きって事ですか?」
「もしくは、紺野さんを好きって事もあり得ますよね」
葵さんは誰かに聞こえるようにトーンを上げて言った。
「それはないでしょう…」
「ないとは言い切れませんよ」
葵さんは、不機嫌そうに言った。
「お話し中悪いんだけど…葵ちゃん、結局今日は帰るの? 帰らないの?」
遠藤さんは、バツの悪そうな顔をして話に入ってきた。
「どうしよう…?」
「葵さん、今日は帰った方がいいですよ。せっかく遠藤さんも迎えに来てくれた訳だし…」
僕は、どちらか決めかねている葵さんに向かってそう言った。
「そうですね…」
葵さんは僕の言葉が気に入らなかったらしく、更に不機嫌そうな顔になった。
「美咲ちゃん、行こう」
そう言うと、葵さんは遠藤さんの手を引っ張って歩き出した。
怒らせちゃったみたいだ…。
それから遠藤さんは、レジで会計を済ませてくれたうえに、遠回りをして車で僕を自宅まで送ってくれた。