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蕾の桜も思わず咲きたくなるような暖かい春の宵。鼻腔をくすぐる桜の匂いは強い血の匂いが大部分を占め、真っ青になった凛の頭を麻痺させる。
「よ、よいち…?」
凛…リ…リン…だ…いぃじょぉうぶ…だ…よぉ……り、り、リン………お、ぁえ…..だけ……は、、りんは…おえと………が…ま、もる……よ…それが…
“約束”
────────
『約束だ、世一。凛は俺と世一で守るんだ』
『グスッ……う゛ん…』
『俺たちはあいつの兄ちゃんだ。あいつが明日を笑って過ごせるように自分で守れるようになるその日まで俺たちが守るんだ』
『う゛んうん…は死なないでね』
『あぁ絶対だ。あと世一もうひとつ───…』
『わかったか?』
『うん…うん』
『いい子だ世一』
約束だ
___________________
場所東京都立 呪術高等専門学校。日本に二校しかない呪術教育機関の一校。そこは多くの呪術師が卒業後もここを起点に活動しており教育のみならず、任務の斡旋・サポートもおこなっている呪術界の『要』。今日そのに1人の転入生が仲間に加わる____
木造の建物に2つの足音が響く。1人は白髪の長身の男で目元には目を覆い隠すアイマスク、もう1人は薄く緑がかった髪にターコイズブルーの瞳を持つ男だった。
「___てな感じで今日からやってって貰うけど…って聞いてる?」
「うるせぇ話しかけんな」
「もう!そんなんじゃ友達出来ないよ!」
「要らねぇよ」
「全く!まぁあの子たちなら仲良くしてくれるから心配しないでね!」
「…」
無視ィ!?白髪の男五条悟は無視されたことに怒り1人地団駄を踏んでいた。かたやターコイズブルーの瞳の男、糸師 凛はそんな五条を無視し窓の外に視線を向けた。空を雀が数羽横切っていく、糸師凛は特級過呪怨霊に呪われ今日からここ呪術高専に転校してきた。
凛がここに来たのは、凛に取り付く特級過呪怨霊__潔 世一が一般市民を殺してしまう1歩手前で五条の手により糸師凛が捕まったことが原因だった。
肌を撫でるような冷気は鳥肌を誘発させる。五条はこの部屋が嫌いだった、ここ完全秘匿死刑者が入れられる部屋が。
五条が部屋の中に入るとそこには今にも殺さんとばかりの鋭い眼光を宿す手足・口を拘束された男、糸師 凛がいた。
五条は靴底を鳴らし、それ以上近ずいたら殺すぞと言わずともひしひしと肌身に感じる凛に近づく
「こんにちは、糸師 凛君。これから凛って呼ぶね」
「フーッフーッ」
「やだなそんなに熱い眼差しで見つめないでよ」
「うぅっう゛!!」
「ハハッ怖笑まぁ冗談はさておき、口だけは外すね。喋れないとこっちが困るし」
抵抗が激しかったため厳重に拘束されている凛に五条は近ずき覆われた凛の口の布を外すと、外された瞬間「ぶっ殺す!!くたばれ!!」額に青筋を浮かべ口々に罵詈雑言を浴びせてくる。五条は活きのいい凛に随分元気だねと肩で笑うと近くにあった椅子に腰掛け凛を見つめ口を開く。
「さて、単刀直入に聞くけど君に憑いてる『ソレ』はなに?」
「…」
「わかってると思うけど君に黙秘権はないよ。そんな事してたら爺様達にすぐ殺されちゃうしね」
「…あいつは俺のだ。誰にも渡さねぇ」
「論点がズレてる。僕は『アレ』が何か聞いてるんだけど?」
「……幼なじみだ」
「へぇ…随分両者とも思入れが激しいようだけど…成程トクベツな関係という事だね」
「…チッ」
それを見た五条は深い笑みを浮かべる。それを見た凛はあからさまに不機嫌になりクソがと文句を言う。だが五条の言う通り、凛は世一に対して初めて会った時からずっとトクベツな思いを寄せていた。
世一との関係は物心が着く前からあった。着いた頃には傍にはずっと兄と世一がいて、ふとした瞬間よく2人で俺抜きで話し込んでいる時があった。それを見た俺は仲間はずれにされてると思い込み2人に泣きながら怒りをぶつけた。あと世一を兄ちゃんが独り占めしてると思い嫉妬もしていた…とおもう。絶対に言わねぇが。俺の怒りに戸惑いもらい泣きし始めた世一に兄、糸師 冴は世一と凛の頭をポンポンと撫で落ち着かせてくれた。兄曰く、俺が見えない何かから俺を守ってくれてるらしかった。詳しく聞くと2人は其れをオバケと呼び俺に集まるオバケを2人は協力して退治しているようだった。
俺は初めて聞いた事実に2人を怒鳴ってしまったことを後悔し大粒の涙を零しながら謝った。世一は花が咲いたように笑みを浮かべ『全然大丈夫だよ!凛泣かないで』と自分も泣きながら言ってきた。それを兄ちゃんからもう泣くなとペシりと叩かれその後3人でサッカーをして遊んだ。
ずっとこんな日が続くと思っていた、3人で笑い合いサッカーをしたりアイスを食べたりして3人で帰る。そんな日常を抱いていた。だが現実は打ち壊すように急に現れ俺たち3人を引き裂いた。
それは俺が9歳のときだった。その日兄ちゃんは不在で世一と2人きりだった。世一からは『なんか今日嫌な予感がするから凛、俺から離れんなよ』と深刻そうな顔で世一から忠告されていた。世一の感はよく当たる、それは俺ら3人の共通認識だった。だがその日俺は酷く機嫌が悪く、悪くもない世一に怒鳴り散らかし世一の忠告を無視し家を出ていってしまった。自然と動く足はフラフラとどこかを目指す。少し歩きふと見上げると空は鉛色で辺りには雪がチラついていて、俺は冷静になった頭でそれをぼーっと見ていた。それが今思えばいけなかった。 ガタンっと大きな音が頭上でするとあいつの張り詰めた声が聞こえた
『凛ッ!!!!』
世一?と振り返った時にはもう遅かった。突き飛ばされた俺の体は白く濡れたアスファルトに打ち付けられ衝撃から目をつぶり瞑ってしまったまぶたを開く。そこには…
『え…』
そこには突き飛ばした本人はおらず、目の前には重く錆び付いた看板の下敷きになっている青白い手があった。俺は、震える体を動かし世一の元へ行こうとするが、意思に背くからだはピクリとも動かない。短い息が口からこぼれ何回も震えながら『世一、世一…』と名前を呼ぶが看板の下からは流れてはいけない量の血がダクダクと流がれている。
涙が溢れるのを感じやっと動けるようにった体は世一の元に向かう。
『世一…よいち…はッ…よっちゃん…』
世一は何も答えてくれない。いつもみたいに顔に笑顔を咲かせ『どうした?凛』と世一が答えてくれない…顔から涙がつたい顎から落ちた涙が世一の血濡れた手に落ちたその時、指がピクリと動いた。看板の下から流れる血が変に波打ち凛に向かって流れてくる。
『よいち…?』
凛…リ…リン…だ…いぃじょぉうぶ…だ…よぉ……り、り、リン………お、ぁえ…..だけ……は、、りんは…おえと………が…ま、もる……よ…それが…
プツリそこからの記憶は途切れた。気づいた時には顔面を蒼白にさせた兄ちゃんと世一の両親が俺たちの母さん達に慰められているシーンだった。何も出来ない俺は兄ちゃんの服の裾を掴もうとすると、スっと避けられ俺に向き合った兄ちゃんは俺に向かって話すがその目には俺は写ってなかった。
『そこに世一はいるか?』
『兄ちゃん?』
『世一、必ず約束を守る。だからお前も待ってろ___』
『ッ!待って兄ちゃんどこ行くの!?』
兄ちゃんは何も言わず家から出ていってしまった。この後兄が家に帰ってくることは二度となかった。母は急にいなくなった息子に精神を病み精神病院に入院することが決まり、父は現実から逃げるように仕事熱心になり家に帰ってくることはほぼ無くなった。いつもの日常が崩壊を告げ、家はシンと静まり返り家族の声は聞こえなくなった。だけど俺は寂しくはなかった。何故なら死んだはずの世一が
『傍に居てくれたから』
五条が意地悪い笑みを浮かべながら凛を見つめる。凛は歯をギリりと鳴らし今にも飛び掛りそうな勢いで五条を睨む
「こんなんでしょ?君のおいだち」
「知ったような口ぶりでペラペラ喋ってんじゃねぇよ!」
「でも本当でしょ?まぁこれじゃ埒が明かないから、本題に入ろうか」
「このままじゃ君は殺されちゃうけど、それでいいの?」
「…俺が死んだら世一はどうなる」
その質問に五条は思わず口角を上げてしまう。生きている自分より死んだ彼を心配する。まだよく詳しく分からないが、この歪な関係が潔世一を縛る理由があるはずだ……面白い
「君が死んだ後、上のやつらは彼を呪術界の玩具にするだろうね」
「なんせ、人の形を保ちながら自我を持って君をずっと護っている。こんな事前例がないよ」
「クソが…んなこと」
「させない、なんて言わないよね?」
「そこら辺の雑魚呪霊すら倒せない君が、どんなマジックを使って彼を救うの?」
「…」
「何も出来ないよね」
五条は黙りこくってしまった凛を見下ろす。きっと彼も自分が無力だということを理解している、だからこそむず痒いはずだ。だから俺はこの子に手を伸ばすんだ、この子達を救うために
「僕なら出来る。僕最強だからね、君たちを邪魔する奴らは僕が何とかする。だから凛は学校に行って自分が何をすべきか見つけ己を守るすべを学ぶんだ。ここ呪術高専に行ってね」
「…チッ」
「了解とみていいね。これからよろしく凛ちゃん♡」
「殺すぞ」
______________________________________________
「てなわけで、「凛ちゃん大好き俺も大好き潔世一くん」に呪われちゃって今日から僕たちの仲間になります!糸師 凛ちゃんです!はい!拍手!!」
「死ねよ」
急に五条と転校生が来たことに素直に拍手を送る虎杖悠仁、目先のイケメンにはぅっと言っているのが釘崎野薔薇、その隣で冷や汗を垂らしているのが伏黒恵。呪術高専1年メンバーだった。
「悠仁はいい子だね!そんな子は凛ちゃんと握手させちゃう!こっちおいで」
「はい!」
「うぜぇ、こっち来んなカス」
満面の笑みで歩いてくる虎杖にギロリと睨みをきかせる凛に野薔薇は「口悪!!」と残念イケメンに頭を突っ伏して落ち込んでいた。そんな野薔薇をよそに伏黒は目の前の凛の後ろにいる異様なモノに警戒していた。
「さぁ悠仁!凛ちゃんとよろしくの挨拶して」
「俺虎杖悠仁!よろしくな」
「ぬりぃんだよ、仲良しこよししに来てんじゃねぇんだよこっちは」
「は?どういうこ「虎杖!!」うぇっ!」
虎杖が凛に1歩近ずこうとすると凛の目の前に黒い穴が空き、そのから伸びる青白い手が虎杖の目の前に現れる
『凛に触る︎︎゛な!!!!』
瞬間虎杖は幼い腕からは考えられない強さで後方に吹っ飛ばされて壁にめり込む。静止を試みた伏黒は伸ばした腕をとどめ目の前にいる小さい子供に警戒する。子供からは禍々しい雰囲気が流れ出し1歩踏み出すだけでひねり潰されるようだった。誰もが動けず冷戦が続いていると凛が先程までの殺気の含んだ声色を霧散させ、今度はまるで愛おしいものを呼ぶかのような声で『世一』と呼ぶ。
「戻ってこい世一、俺から離れてんじゃねぇよ」
『ごめん凛、怪我はない?』
「ない、だから傍から離れてんじゃねえよバカ世一」
『だってアイツ、中に変なの飼ってるんだもん』
「ぶふぉっ!!!!両面宿儺をペット扱いww」
凛は子供を世一と呼び、離れてしまった世一を呼びつけ自身の右腕に乗せるように抱っこをしている。突然の事にほぇ?とまだ立ち上がれない虎杖と、先から立ち上がり釘を構えてる釘崎、伏黒も何時でも影を媒体とし式神を出せる状態になり五条に説明を求めている。
「ひぃ〜笑った!改めて紹介するね、彼は糸師 凛 幼い時幼なじみの潔 世一君改めて特級過呪怨霊に呪われちゃった被害者だよよろしくね」
「「いや簡潔すぎる!!」」
「クソうるせぇ」
虎杖を除き2人に五条は責められる。そのそばにいた凛は鼓膜を敗れる程の大声に青筋を作る。そしていつの間にか復活した虎杖は世一に近づき、「名前なんて言うの?俺虎杖!!」
と人懐っこい性格で世一と向き合い警戒心を緩めた世一と仲良くなった。
___________________________________________
ここから少し内容飛ばして世一は凛ちゃんをもう守らなくて大丈夫だな。という事で成仏しようとする所まで飛ばします
『もう俺が護らなくて大丈夫だね』
「…あぁ…」
『フフッ泣くなよ凛、また会える』
「泣いてねぇ」
『いつの間にこんなに大きくなってたんだろう…寂しいな』
世一を狙ってきた呪詛師を全員で協力し倒すことができた満身創痍の凛達は、目の前の金色に光成仏する世一を見送っていた。世一は目の前で座り込み俯いている凛の右頬に、本来生きていたならそうなっていただろう17歳の姿で撫でていた。目からはポロポロと涙を零し凛を慰めるが、体は半透明になりサヨナラが近づいてくる。
世一は凛から数歩離れにこりと最後の笑みを浮かべる
『強くなったな、凛』
お前のことずっと見てるよ、確かに世一はそう紡ごうとした。しかし、
チリィン
何処かで鈴がなる
「このときを、ずっと、」
“待ってた”
『えっ?』
ジャリジャリと鎖の音が響くと消えかけていた世一の首を目掛けて緋色に染まった鎖が巻き付き体を拘束する
消えかけていた体は完全に戻り世一は力が抜けたように崩れ落ちる。しかし崩れた体を抱き込むように誰かが抱き留めた。
世一の鼻腔には懐かしい匂いが擽る。
「俺との”約束”今果たすぞ、世一」
「世一ッ!!!!!!!」
闇より出でて闇より黒く その穢れを禊ぎ祓え
「離れろ皆!!やつだ!!最悪の呪詛師 糸師 冴 だ!!」
「やっとお前は俺のものだ。今度こそ一生離さない」
「え?冴…?ん゛ん゛ンゥ!!!」
「約束を果たすぞ」
「うぅん、…んッ…や!…ぁゥ…!!…さ…え…んん゛ッ」
帳が完全に下りる前に凛の目に飛び込んできたのは、行方不明になっていた兄が世一を抱き込み深い口付けをしているところだった。凛は目の前が真っ赤に染った。凛は殺す!!と叫び飛び出そうとするが、鋭い声で「止まれ!!!凛!!!」と急に凛の前に飛び出した五条がアイマスクを外し神秘的な瞳を晒しながら凛を止める。
「離せ!!クソ野郎!!!」
「待てって言ってるだろ凛!今あの帳に近づくな!!」
「五条先生どういう事だよ…世一成仏するんじゃなかったのかよ」
凛は自分の服を掴んでいる五条に「離せ!!」と何度も殴り続けているが、五条はずっと目の前の帳を見続けていた。状況が分からない虎杖達は戸惑い混乱していた。
「糸師 冴…噂に聞くイカレ野郎だ」
「ど…どういうこと?先生」
「今糸師冴は、禁術とされた呪いを世一にかけてる。あれは、堕天と呼ばれてる古の術式だ」
「堕天…?」
「死んだものをこの世に縛りつけ自分の眷属にするものだ。あれを使ったもの・受けた者は輪廻転生の輪から外れ人では無いものになってしまう…それは既に失われた術式のはずだった…のに」
「一体何処で見つけてきやがった…」
一方帳の中では冴によって身動きの取れない世一は、キスと共に流れてくるナニカにビクビクと体を震わせ冴からのキスに意識が朦朧としていた。すると、チュッと軽いリップ音を鳴らし頬を高揚させた冴は涙を滲ませた世一を見下ろす。ぼぅとしている世一にかすかに笑い、世一の体を支えていない左手で世一の下腹部を撫でグィッと軽く押す
「ひぅっ…やッ何!!あぁッ!あぅ…いやぁッッ怖いやだッ冴!!」
「世一世一、今からひとつになるぞ」
「んァあぁああッッッ!!」
何か唱えながら世一の下腹部を押された瞬間雷が落ちたような衝撃が体を走る。世一は冴の下で「あっいややめて!触らないで」と顔を赤く染め悶え何とか抜け出そうとしている。だが、それに眉間をピクリと動かした冴は気に入らないとばかりに顔を顰め、世一の下腹部をもっと強く押しグプッと胎内に左手を挿れる。
「ッん゛ン゛ッッッ、〜〜〜〜ッ!!!!ビクビクッあ゛ぁ」
体を大きくのけぞりガクガクと腰を揺らす。目を大きく見開き薄く空いた口からはツゥーと涎が顎を伝う。世一は残る力を振り絞りズリズリ…と下腹部から上がって行く冴の手を止めようとするが、なんの抵抗にもならずあっあっあっ!と喘ぐばかりだった。突然冴は進める手を止め世一を見つめると世一は急な睡魔に襲われパタリと力を失い徐々に視界が黒くなっていく。最後に世一の耳に残ったのは何時ぞやの慈しみを含ませた冴の声
『──…後もうひとつ、世一、もしお前が死ぬようなことがあれば俺はどんな手を使ってでもお前を迎えに行く。だからそれまで俺を待っててくれ───』
゛約束だ ゙